こんにちは!電子ピアノナビの運営者、ピア憎です。
「ピアノや好きな楽器を弾いてみたい!」その第一歩として、目の前にある楽譜。でも、いざ向き合ってみると、まるで未知の言語で書かれた暗号文のように見えて、そっと閉じてしまった…なんて経験はありませんか?「音符読み方一覧」と検索してこのページにたどり着いたあなたは、きっとそんなもどかしい思いを抱えているのかもしれません。
ピアノ教室で習う「ドレミ」は分かるけど、吹奏楽部に入ったら突然「ツェー、デー」というドイツ語の音名が出てきてパニック。バンドスコアを開けば「C」や「G」といった英語のコードネームが並び、もう何が何だか…。ト音記号は何となく読めても、ヘ音記号が登場した途端に思考がフリーズ。シャープやフラットの読み方も曖昧だし、4分の4拍子といった拍子記号の意味もよく分からない。おまけに、フォルテとかスタッカートとか、謎の記号や用語の一覧を前にして、「自分には楽譜を読む才能なんてないのかも…」と自信をなくしてしまいそうになりますよね。その気持ち、痛いほどよく分かります。
でも、どうか諦めないでください。楽譜は決して、一部の特別な才能を持った人だけが読めるものではありません。実は、とても論理的で美しいルールに基づいて作られた、世界共通の「音楽の言葉」なんです。一度そのルールとコツを理解してしまえば、今まで暗号にしか見えなかった五線譜が、メロディとリズムが躍る楽しい世界へと変わります。このページでは、単に記号を一覧にして丸暗記するのではなく、「なぜそうなるのか?」という理由や背景まで踏み込んで、あなたの「分からない」を「なるほど!」に変えるお手伝いをします。読み終える頃には、楽譜への苦手意識が自信に変わり、音楽を「自分の目で読む」という新しい喜びを発見できるはずですよ。
- ドレミ以外の音名の読み方がわかる
- シャープや休符など基本記号の意味を理解できる
- 表現を豊かにする記号の役割がわかる
- 楽譜アレルギーを克服するコツが見つかる
基本の音符読み方一覧:音名と長さをマスター
楽譜を解読する旅は、ここから始まります。音楽を構成する三大要素のうち、最も基本的な「音の高さ(ピッチ)」と「音の長さ(リズム)」。この2つを理解することが、楽譜読解の土台となります。一見すると覚えることが多くて大変そうに感じるかもしれませんが、実はそれぞれのルールは非常に合理的で、一度理解すれば応用が利くものばかり。まずは肩の力を抜いて、一つずつじっくりと見ていきましょう。ここを乗り越えれば、楽譜の世界が一気にクリアに見えてきますよ。
音名の英語・ドイツ語・日本語対応
私たちが子供の頃から慣れ親しんでいる「ドレミファソラシ」。これは音楽の共通言語だと思われがちですが、実はイタリア語の「階名」というもので、数ある音の呼び方の一つに過ぎません。特に日本では、クラシック音楽の教育がドイツから大きな影響を受けた歴史的経緯や、ポピュラー音楽がアメリカ(英語圏)から発展した背景があるため、様々な言語の「音名」が混在しているという、世界的に見ても少し特殊な環境にあります。これが、多くの音楽初心者を悩ませる最初の壁になっているんですね。
まずは、基本となる7つの音(ピアノの白鍵部分)が、各言語でどのように呼ばれているのか、一覧表で確認してみましょう。これから楽器を学ぶ上で、この対応関係を知っていることは必須の知識になります。
| 階名 (イタリア語) | 日本語 | 英語 | ドイツ語 | ドイツ語読み |
|---|---|---|---|---|
| Do (ド) | ハ | C | C | ツェー |
| Re (レ) | ニ | D | D | デー |
| Mi (ミ) | ホ | E | E | エー |
| Fa (ファ) | ヘ | F | F | エフ |
| Sol (ソ) | ト | G | G | ゲー |
| La (ラ) | イ | A | A | アー |
| Si (シ) | ロ | B | H | ハー |
なぜ言語が混在するの?
この表を見て、「どうしてこんなにたくさんの呼び方を覚えないといけないの?」と感じるかもしれません。それぞれの言語が使われるシーンは、だいたい次のように分かれています。
- イタリア語 (ドレミ): 主に歌う時や、音の高さを相対的に捉える「階名」として使われます。ピアノのレッスンで先生が「次のドを弾いて」と言うのはこの使い方ですね。
- 日本語 (ハニホヘトイロ): 調の名前(例: ハ長調、イ短調)を表す時に主に使われます。日常会話で「ハの音を出して」と言うことは稀ですが、楽典の学習には欠かせません。
- 英語 (C, D, E): ジャズやポピュラー音楽のコードネーム(例: Cメジャー、Gセブンス)で圧倒的に使われます。現代の音楽シーンでは、世界的な標準と言ってもいいでしょう。
- ドイツ語 (C, D, E): クラシック音楽の世界、特に日本の吹奏楽やオーケストラ、音楽大学の教育現場ではドイツ語読みが根強く残っています。楽器の名前(例: B♭クラリネット→B管)にも使われますね。
シャープやフラットの読み方ルール
基本の7音(白鍵)の間に存在する音、つまりピアノの黒鍵にあたる音を表すのが「変化記号」です。代表的なものが、半音高くする「♯(シャープ)」と、半音低くする「♭(フラット)」。これらの読み方にも言語ごとのルールがあり、特にドイツ語のシステムは非常に合理的で覚えやすいのでおすすめです。
ドイツ語の合理的で美しい接尾辞システム
ドイツ語の派生音の作り方は、まるで数学の公式のようです。基本の音名に、ある決まった「接尾辞(語尾)」を付けるだけで、全ての変化音を表現できます。
- シャープ (♯) の場合: とてもシンプルです。基本音名の後ろに「is (イス)」を付け加えるだけ。このルールに例外はありません。
例: C (ツェー) のシャープ → Cis (ツィス) / D (デー) のシャープ → Dis (ディス) / G (ゲー) のシャープ → Gis (ギス) - フラット (♭) の場合: 基本音名の後ろに「es (エス)」を付け加えるのが基本ルールです。
例: D (デー) のフラット → Des (デス) / G (ゲー) のフラット → Ges (ゲス)
ダブルシャープとダブルフラット、そして異名同音
さらに進んだ音楽理論では、半音を2段階変化させる必要が出てきます。それが「重嬰記号(ダブルシャープ)」と「重変記号(ダブルフラット)」です。
| 記号 | 名称 | ドイツ語読み | 意味 |
|---|---|---|---|
| x (または ##) | ダブルシャープ | isis (イシス) | 半音2つ分(=全音)高くする |
| bb | ダブルフラット | eses (エセス) | 半音2つ分(=全音)低くする |
ドイツ語では、これも接尾辞を重ねるだけで表現できます。例えば、「C」のダブルシャープは「Cisis(ツィスィス)」となります。この「Cisis」は、Cの音を全音上げた音なので、実際の音の高さは「D(デー)」と同じになります。このように、名前(記譜)は違うけれど、実際の音の高さは同じになる音の関係を「異名同音(いめいどうおん / エンハーモニック)」と呼びます。例えば、「C♯」と「D♭」は、ピアノでは同じ黒い鍵盤を弾きますよね。これが異名同音です。なぜこんなややこしいものがあるかというと、その曲の調性(キー)によって、楽譜をシンプルに書くために使い分けられている、と考えてください。
ト音記号とヘ音記号の読み方
五線譜の左端で、その楽譜の音の高さを決める基準となるのが「音部記号」です。これがなければ、五線上の音符がどの高さの音なのか全く分かりません。いわば、地図の「北」を示す方位磁針のような、非常に重要な役割を持っています。主に使われるのは高音部用の「ト音記号」と低音部用の「ヘ音記号」です。
ト音記号 (G Clef / Treble Clef)
多くの人が楽譜と聞いて最初に思い浮かべるのが、このト音記号ではないでしょうか。その優雅な渦巻き模様は、実はアルファベットの「G」を装飾的にデザインしたものです。この記号の最も重要なポイントは、渦巻きの中心が五線譜の下から2番目の線(第2線)を通過していることです。これは、「この第2線がGの音、つまり日本語の『ト』、イタリア語の『ソ』ですよ」という宣言を意味しています。だから「ト音記号」と呼ばれるわけですね。この基準さえ分かれば、あとは線と間を順番に数えることで、他のすべての音符を読むことができます。主に、ピアノの右手、バイオリン、フルート、トランペット、そして女性ボーカルなど、比較的高音域を担当するパートの楽譜で使われます。
ヘ音記号 (F Clef / Bass Clef)
ト音記号と並んで重要なのが、このヘ音記号です。耳のような形に2つの点が付いたこの記号は、初心者がつまずきやすいポイントの一つ。これもト音記号と同様、アルファベットの「F」が変形したものです。書き始めの黒い丸と2つの点が挟んでいる線、つまり五線譜の上から2番目の線(第4線)が「Fの音、つまり日本語の『ヘ』、イタリア語の『ファ』ですよ」と定めています。これが「ヘ音記号」の由来です。この記号は、ピアノの左手、チェロ、コントラバス、トロンボーン、男性ボーカルなど、音楽の土台を支える低音域の楽器で使われます。最初は読みづらく感じるかもしれませんが、ヘ音記号が読めるようになると、音楽全体の構造が立体的に見えるようになり、演奏の楽しさが格段にアップしますよ。
大譜表と「真ん中のド」
ピアノの楽譜では、ト音記号とヘ音記号をセットで使った「大譜表」が一般的です。この2つの譜表は独立しているように見えますが、実は繋がっています。ト音記号の加線1本を下に引いた「ド」と、ヘ音記号の加線1本を上に引いた「ド」は、全く同じ音、つまりピアノの鍵盤の真ん中にある「ド」を指しています。この「真ん中のド」を架け橋として、2つの譜表がなだらかに繋がっているとイメージすると、ヘ音記号への苦手意識も少し和らぐかもしれませんね。
難解な加線の効率的な読み方
五線譜は、5本の線と4つの間で構成されていますが、これだけでは表現できる音域に限界があります。そこで、五線からはみ出す高い音や低い音を表すために使われるのが、短い補助線「加線(かぜん)」です。この加線が2本、3本と増えてくると、「下からド、レ、ミ、ファ…」と一本ずつ数えてしまいがち。しかし、この方法では演奏のスピードに全く追いつけず、ミスの大きな原因になってしまいます。
実は、熟練した演奏家は加線を数えていません。彼らは、いくつかの目印となる音を記憶し、そこからの距離感で瞬時に音を判断する「パターン認識」を行っているのです。このプロのテクニックを、あなたも身につけてみませんか?
戦略①:基準点(アンカーポイント)を暗記する
まずは、五線譜の内側だけでなく、外側にあるいくつかの重要な音の位置を「基準点(アンカー)」として覚えてしまいましょう。これをランドマークのように使うことで、読譜のスピードと正確性が劇的に向上します。
例えば、ト音記号で加線が3本引かれた音符が出てきたとします。下から数えるのは大変ですが、アンカーである「加線2本目のド」を知っていれば、その音が「ミ」であることはすぐに分かります。このように、アンカーを飛び石のように利用することで、未知の音符へのアクセスが格段に速くなるのです。
戦略②:3度音程のパターンを覚える
もう一つの強力なテクニックは、音の「並び方」のパターンを視覚的に捉えることです。音符は「線→間→線→間…」と交互に進んでいきますよね。ということは、「線から次の線」や「間から次の間」に音が飛ぶ場合、その2音間の音程は必ず「3度」の関係になります(例: ド→ミ、ソ→シなど)。
この性質を利用して、「ドミソシレファラ…」という3度ずつ音が積み重なっていく順番を呪文のように覚えてみましょう。すると、加線の音符が「線の上にある」のか「間にある」のかを見るだけで、音名の候補を大幅に絞り込めるようになります。例えば、ト音記号の加線2本目が「ド」だと分かっていれば、その次の加線3本目は「ミ」、加線4本目は「ソ」だと、計算せずともパターンで判断できるのです。このスキルは、コード(和音)を理解する上でも非常に役立つ、一石二鳥のテクニックですよ。
拍子記号の意味を分数で理解
楽譜の冒頭、音部記号や調号の隣に書かれている分数のような記号、それが「拍子記号」です。これは、その楽曲のリズム的な骨格、つまり「1小節の中にどれくらいの長さの音符がいくつ入るか」を定義する、いわば曲の“設計図”です。多くの人がこれを算数の分数と同じように捉えてしまいがちですが、音楽的には少し意味合いが異なります。正しくは、「下の数字(分母)=拍の基準となる音符の種類」「上の数字(分子)=1小節にその基準音符が何個入るか」を示す指示記号と理解するのが正解です。
単純拍子:リズムの基本形
拍の基準となる音符が、2つに分割できる通常の音符(2分音符、4分音符など)で構成されているものを「単純拍子」と呼びます。私たちが普段耳にする音楽のほとんどは、この単純拍子でできています。
- 4/4拍子 (Common Time): 「4分音符を1拍として、1小節に4拍入ります」という意味。ポップス、ロック、ジャズなど、現代音楽で最も広く使われている標準的な拍子です。「強・弱・中強・弱」という自然なグルーヴ感が特徴で、楽譜上ではアルファベットの「C」で代用されることもあります。
- 3/4拍子: 「4分音符を1拍として、1小節に3拍入ります」という意味。ワルツやメヌエットに代表される、優雅な3拍子のリズムです。「ズン・チャッ・チャッ」という円を描くような、踊りだしたくなるリズム感が特徴ですね。
- 2/4拍子: 「4分音符を1拍として、1小節に2拍入ります」という意味。行進曲(マーチ)のように、「1、2、1、2」という力強いビートが特徴です。
- 2/2拍子 (Alla Breve): 「2分音符を1拍として、1小節に2拍入ります」という意味。数学的には4/4拍子と同じ音符の量ですが、音楽的な感じ方は全く異なります。4/4拍子が4つのビートで進むのに対し、2/2拍子は大きな2つのビートで感じます。そのため、速いテンポの曲でもゆったりとした大きなノリを感じさせることができます。「C」に縦線を引いた記号で表されます。
複合拍子:初心者がつまずきやすいポイント
単純拍子に対して、拍の基準が「符点音符」(3つに分割できる音符)で構成されているものを「複合拍子」と呼びます。ここがリズム理解の少し難しい部分です。
音符と休符の長さの種類と関係
音符の形は「音を出す時間」、そして休符の形は「音を出さない時間(休む時間)」の長さを視覚的に表しています。これらの記号はたくさん種類があるように見えますが、その関係性は非常にシンプル。すべての基本となる「全音符」の長さを「1」とした場合、それをどんどん2分割していく「倍々ゲーム」の法則で成り立っているのです。このシステムを理解すれば、どんな複雑なリズムも正確に読み解くことができます。
まずは、基本的な音符と休符の対応関係と、4/4拍子における一般的な長さを一覧で見てみましょう。
| 音符 | 名称 | 休符 | 長さ (4/4拍子での目安) | 関係性 |
|---|---|---|---|---|
| 𝅝 | 全音符 | 𝄻 | 4拍 | 基準 (1) |
| 𝅗𝅥 | 2分音符 | 𝄼 | 2拍 | 全音符の1/2 |
| ♩ | 4分音符 | 𝄽 | 1拍 | 2分音符の1/2 |
| ♪ | 8分音符 | 𝄾 | 0.5拍 | 4分音符の1/2 |
| ♬ | 16分音符 | 𝄿 | 0.25拍 | 8分音符の1/2 |
リズムを多様にする特殊な記号
この基本的な音符・休符に加えて、リズムに更なる多様性を与えるための特殊な記号が存在します。
- 符点(ふてん): 音符や休符の右側に付けられる小さな点。これは、元の音符(休符)の長さの「半分」をそれに加える、という意味の演算子です。つまり、元の長さ × 1.5倍になります。例えば、「符点2分音符」であれば、2分音符(2拍) + その半分の4分音符(1拍) = 合計3拍の長さになります。この符点が付くことで、リズムに「タッカタッカ」というような弾む感じが生まれます。
- 連符(れんぷ): 3連符、5連符など、本来その拍には入らない数の音符を均等に割り込ませる特殊なリズムです。最もよく使われるのが「3連符」で、これは本来2つの8分音符が入るスペース(4分音符1つ分)に、無理やり3つの8分音符を均等に詰め込むリズムです。「タタタ、タタタ」という独特の転がるような、割り切れない流動感を生み出します。クラシックからジャズ、ロックまで幅広く使われる重要なリズムパターンです。
これらのルールを組み合わせることで、作曲家は無限に近いリズムのバリエーションを生み出しているのです。
応用編の音符読み方一覧:表現記号を読み解く
さて、ここまでで楽譜の骨格である「音の高さ」と「長さ」を読み解く方法をマスターしました。これでメロディとリズムを正確に追うことができます。しかし、音楽の魅力はそれだけではありません。ここからは、楽譜に書かれた音楽に命と感情を吹き込むための「表現記号」の世界へと入っていきましょう。強弱、速度、奏法といったこれらの記号は、作曲者が楽譜に込めた「メッセージ」そのもの。これらを読み解くことで、演奏は単なる音の羅列から、心に響く芸術へと昇華するのです。
強弱記号の一覧と演奏ニュアンス
音のボリュームを指示するのが強弱記号(ダイナミクス)です。しかし、これを単に「大きい音」「小さい音」と物理的に捉えるだけでは不十分。それぞれの記号には、その音量にふさわしい感情や情景、音の質感といった豊かなニュアンスが含まれています。演奏者は、これらの記号から作曲家の意図を汲み取り、まるで俳優がセリフに感情を込めるように音を表現する必要があります。
主要な強弱記号とその音楽的なニュアンスを一覧にしました。記号は基本的にイタリア語の頭文字から取られています。
| 記号 | 読み方 | 意味 | 演奏上のニュアンスやイメージ |
|---|---|---|---|
| ppp | ピアニッシッシモ | 極めて弱く | 息を殺すように、遠くから微かに聞こえる音、消え入りそうな囁き |
| pp | ピアニッシモ | とても弱く | 繊細に、秘密を打ち明けるように、真夜中の静けさ |
| p | ピアノ | 弱く | 優しく、穏やかに、柔らかいタッチで、子守唄のように |
| mp | メゾピアノ | 少し弱く | ピアノよりは芯のある音で、しかし主張しすぎず、落ち着いた語り口 |
| mf | メゾフォルテ | 少し強く | ごく自然な会話の音量で、豊かに響かせる、音楽の標準的な状態 |
| f | フォルテ | 強く | 自信を持って、明確な意志を込めて、はっきりと主張するように |
| ff | フォルティッシモ | とても強く | 堂々と、空間全体を音で満たすように、力強い宣言 |
| fff | フォルティッシッシモ | 極めて強く | 限界に近いエネルギーで、爆発的に、雷鳴のように |
音楽に物語を生む変化記号
静的な強弱だけでなく、音楽に方向性とドラマを与えるのが、徐々に変化させる記号です。
- crescendo (クレシェンド / cresc.): 「だんだん強く」を意味します。未来に向かう期待感、感情の高まり、近づいてくる足音などを表現します。
- diminuendo (ディミヌエンド / dim.) / decrescendo (デクレシェンド / decresc.): 「だんだん弱く」を意味します。解決や鎮静化、遠ざかっていく情景、ため息などを表現します。
さらに、sforzando (スフォルツァンド / sfz) のように「その音だけを特に強く」といった、瞬間的なアクセントを表す記号もあり、これらが組み合わさることで音楽の表情は無限に豊かになります。
アレグロなど速度記号の意味
楽曲全体の速さ、つまりテンポを決定するのが速度記号(テンポ記号)です。これも強弱記号と同様に、単に機械的な速さ(BPM)を示すだけでなく、その曲が持つべき「性格」や「雰囲気」を指示する重要な言葉です。多くはイタリア語が使われ、その言葉の本来の意味を知ることで、より深く作曲家の意図を理解することができます。(参考: ヤマハ株式会社 楽器解体全書 音楽用語まめ知識)
ここでは、代表的な速度記号を遅いものから順に紹介します。
速度を変化させる記号
曲の途中でテンポを変化させ、表情を豊かにする記号もあります。
- ritardando (リタルダンド / rit.): 「だんだん遅く」。曲の終わりや場面の転換などで、余韻を持たせるために使われます。
- accelerando (アッチェレランド / accel.): 「だんだん速く」。興奮や焦りを表現し、クライマックスに向けて盛り上げる効果があります。
- a tempo (ア・テンポ): 変化させた速度を元に戻し、「元の速さで」演奏することを指示します。
これらの速度記号に加え、「M.M. ♩ = 120」のように、1分間に4分音符を120回打つ速さ、という絶対的な速さを指定する「メトロノーム記号」が併記されることもあります。作曲家の意図をより正確に再現するための重要な手がかりとなります。
スタッカートやスラーの奏法記号
個々の音符をどのように発音し、音符同士をどのようにつなぐか。それを指示するのが「アーティキュレーション記号」です。これは、文章における句読点(、や。)や、話し方のイントネーションに相当するもので、メロディの歌い方(フレージング)を決定づける非常に重要な要素です。同じ「ドレミ」というメロディでも、アーティキュレーションが違えば、その印象は全く別のものになります。
音の形とつながりを変える主要な記号
- スタッカート (・): 音符の符頭の上または下に付けられる点。イタリア語で「切り離された」という意味で、音を短く切って演奏します。一般的には元の音符の半分程度の長さで演奏されることが多いですが、単に短くするだけでなく、音に「軽やかさ」「鋭さ」「歯切れの良さ」を与える効果があります。跳ねるようなリズムや、コミカルな表現で多用されます。
- テヌート (-): 音符の上または下に付けられる横線。「保たれた」という意味で、その音符の長さを十分に保って演奏します。時には少し音を伸ばし気味に、そして音に重みを持たせて、一つ一つの音を噛みしめるように大切に演奏するニュアンスが含まれます。スタッカートとは対極にある表現ですね。
- スラー (弧線): 高さの異なる複数の音符を滑らかな弧線でつなぐ記号です。これは「レガート(滑らかに)」で演奏せよ、という指示。具体的には、ピアノであれば鍵盤から指を離さずに音を繋げ、管楽器であればタンギング(舌突き)をせずに一息で吹き、弦楽器であれば弓を返さずに一弓で演奏することを意味します。これにより、旋律が途切れることなく、美しい「歌うようなライン」が生まれます。
- タイ (弧線): スラーと見た目がそっくりですが、こちらは同じ高さの隣り合う音符をつなぎます。機能は全く異なり、後ろの音符は弾き直さず、前の音符の長さを延長するために使われます。小節線をまたいで音を伸ばしたい場合や、シンコペーション(本来の拍とは違う位置にアクセントを置くリズム)を作り出すために不可欠な記法です。
- フェルマータ (𝄐): 音符や休符の上に乗った、鳥の目のような記号。イタリア語で「停留所」を意味し、記譜された拍子(テンポ)の流れを一時的に停止させ、その音や休符を程よく(通常は2倍程度)伸ばすことを指示します。どれくらい伸ばすかは指揮者や演奏者の解釈に委ねられており、音楽に深い余韻や dramatic な間を生み出す、非常に表現力豊かな記号です。
- アクセント (>): その音を目立たせて、強く演奏することを示します。単に音量を上げるだけでなく、アタック(音の出だし)を鋭くするニュアンスが含まれます。
これらの記号を正しく読み取り表現することで、演奏は平坦なものから、抑揚と感情に満ちた立体的なものへと進化するのです。
調号の読み方と長調・短調の判定
楽譜の冒頭、音部記号と拍子記号の間に挟まれた♯や♭の集団、これが「調号」です。これは、その曲全体を通して適用される「基本ルール」のようなもので、「この曲では、楽譜中に臨時記号がなくても、特定の音は常に半音上げたり下げたりして演奏してくださいね」という宣言を意味します。この調号を瞬時に読み解くことで、その曲の「調(キー)」、つまり音楽の色彩や響きの中心となる音階(スケール)システムを把握することができます。
調号の付き方には厳格なルールがあり、それを知っていれば丸暗記は不要です。シャープは「ファ→ド→ソ→レ→ラ→ミ→シ」の順番に、フラットは「シ→ミ→ラ→レ→ソ→ド→ファ」(シャープの逆順)の順番に必ず付きます。この順番は「五度圏(Circle of Fifths)」という音楽理論に基づいています。
長調と短調の関係性
さて、調号からキーを判定しましたが、実は一つの調号には2つの可能性があります。それが、明るく華やかな響きの「長調(メジャーキー)」と、少し切なく哀愁を帯びた響きの「短調(マイナーキー)」です。これらは同じ調号を共有する親戚のような関係で、「平行調」と呼ばれています。
長調のキーが分かれば、その平行調である短調を見つけるのは簡単です。長調の主音から「短3度(半音3つ分)」下がった音が、短調の主音になります。
例:ハ長調(C Major / 調号なし)の主音は「ド」。その短3度下は「ラ」。したがって、ハ長調の平行調はイ短調 (A Minor) となります。
では、楽譜が長調と短調のどちらで書かれているかは、どうやって見分ければよいのでしょうか?最も分かりやすいヒントは、曲の最後の音です。多くの場合、曲は主音で終わることで安定感や終止感を得るため、最後の音が長調の主音か短調の主音かを確認することで、その曲のキーをほぼ特定することができます。
この音符読み方一覧で楽譜が好きになる
ここまで、音の高さ・長さといった基本から、音楽に表情を与える応用的な記号まで、楽譜を読むための様々なルールを巡る長い旅にお付き合いいただき、ありがとうございました。情報量が多くて、少し頭が疲れてしまったかもしれませんね。でも、一つ一つの記号が持つ意味と、それらが組み合わさって美しい音楽が生まれる仕組みを、少しでも「なるほど!」と感じていただけたなら、とても嬉しいです。
この音符読み方一覧で最もお伝えしたかったのは、楽譜の読解は、決して才能やセンスだけで決まるものではない、ということです。それは、ルールを学び、練習すれば誰でも身につけることができる、素晴らしい「スキル」なのです。大切なのは、最初から完璧を目指さないこと。すべてを一度に暗記しようとせず、まずはご自身の好きな曲、知っているメロディの楽譜を手にとって、今日学んだ知識と照らし合わせてみてください。「あ、この記号はスタッカートだ」「ここはクレシェンドするから盛り上がるんだな」といった小さな発見が、やがて大きな自信へと繋がっていきます。
楽譜は、ベートーヴェンやモーツァルト、あるいは現代の素晴らしいアーティストたちが、時を超えて私たちに送ってくれる「音楽の手紙」です。その手紙を自分の力で読み解き、そこに込められた感情や物語を音として再現できた時の喜びは、何物にも代えがたいものがあります。この記事が、あなたにとってその喜びへの第一歩を踏み出すための、信頼できる地図となることを心から願っています。さあ、一緒に楽譜の世界を冒険しましょう!
楽譜の読み方について、さらに基礎からじっくり学びたい方は、【ピアノ初心者向け】楽譜の読み方を世界一やさしく解説した決定版の記事もご用意していますので、ぜひご覧ください。


