電子ピアノをパソコンで鳴らす!高音質化と遅延対策ガイド

MIDI コラム

「電子ピアノ パソコンで鳴らす」というキーワードでこのページにたどり着いたあなたへ。お手持ちの電子ピアノの音質に物足りなさを感じたり、パソコンの力を借りてより豊かな音楽表現や本格的な制作に挑戦したいと考えていませんか。この記事では、電子ピアノの演奏をパソコンのソフトウェア音源で鳴らし、その可能性を最大限に引き出すための具体的な方法を詳しく解説します。

電子ピアノから送られるMIDI信号をパソコンで受け取り、高品質なソフトウェア音源で音を鳴らすことで、あなたの電子ピアノのサウンドは劇的にアップグレードされます。しかし、この連携において多くの人が直面する課題の一つが、鍵盤を弾いてから実際に音が鳴るまでの「遅延(レイテンシー)」です。この遅延を最小限に抑えることが、快適な演奏環境を構築する上で不可欠となります。

本記事では、この遅延問題を解決するための重要な要素として、ASIOドライバの使用による大幅なレイテンシー軽減策と、オーディオ処理の効率を左右するバッファサイズの適切な調整方法に焦点を当てて解説します。これらの知識と設定をマスターすることで、あなたの電子ピアノの音質を飛躍的に向上させ、ストレスなく演奏や音楽制作を楽しむ環境を手に入れることができるでしょう。

この記事のポイント
  • 電子ピアノとパソコンを接続する際の具体的な方法と必要な機材の種類を把握できる
  • パソコンのソフトウェア音源を活用することで、電子ピアノの音質を大幅にアップグレードできること
  • リアルタイム演奏時に発生する音の遅延(レイテンシー)の原因と、ASIOドライバやバッファサイズの調整によるその解決策
  • DAWソフトウェアを使って電子ピアノの演奏をパソコンで鳴らしたり録音したりする基本的な設定

電子ピアノをパソコンで鳴らす基本設定と接続方法

インデックス
  • パソコンで電子ピアノを鳴らすメリット
  • MIDI接続で電子ピアノをパソコンで鳴らす方法
  • USB接続で電子ピアノをパソコンで鳴らす手順
  • 音源を鳴らすためのASIOドライバ設定
  • 無料・有料ソフトウェア音源の選び方

パソコンで電子ピアノを鳴らすメリット

MIDI

電子ピアノをパソコンに接続し、ソフトウェア音源を通して音を鳴らすことには、多くの利点がある。結論として、手持ちの電子ピアノの音質を大幅に向上させ、音楽制作の幅を広げられる点が挙げられる。この方法は、特に古い電子ピアノや、エントリーモデルの電子ピアノを使っている人に大きなメリットをもたらす。内蔵音源の制約から解放され、より高品質で多様なサウンドを手に入れることができるだろう。

電子ピアノの音質は、その機種の内蔵音源に大きく依存する。しかし、パソコンと連携すれば、パソコン上で動作する高性能なソフトウェア音源を利用できるため、まるで別の楽器を演奏しているかのような豊かな音色で楽しめる。市販されているギガバイトクラスの大容量ピアノ音源の中には、無料配布されているものも存在し、これらを活用すればコストを抑えつつ、劇的な音質アップグレードを図れるのだ。

また、音楽制作の観点から見ても、パソコンとの連携は非常に有効である。DAW(Digital Audio Workstation)と呼ばれる音楽制作ソフトウェアを使えば、電子ピアノの演奏情報をMIDIデータとして録音・編集できる。録音後に音源を差し替えたり、エフェクトをかけたり、細かなタイミングや音の強弱を修正したりと、自由自在に楽曲を構築できる柔軟性がある。一方で、デメリットとしては、パソコンやオーディオインターフェース、ソフトウェア音源の導入に初期費用がかかる場合があること、そして設定がやや複雑に感じられる可能性があることだ。さらに、PCのスペックによっては音の遅延(レイテンシー)が発生し、演奏に影響を及ぼす場合もあるため、適切な環境構築が求められるだろう。それでも、一度環境を整えてしまえば、音楽制作の楽しさや演奏技術の上達速度が飛躍的に向上する可能性を秘めている。

MIDI接続で電子ピアノをパソコンで鳴らす方法

もしあなたの電子ピアノにUSB端子がなく、MIDI端子しか搭載されていない場合、MIDI接続がパソコンで音を鳴らす主要な手段となる。MIDIとはMusical Instrument Digital Interfaceの略であり、電子楽器間で音符の長さや音程、強さといった「演奏情報」をデジタル信号としてやり取りするための世界共通規格である。これは音そのもの(オーディオデータ)ではなく、あくまで演奏の指示を伝える「信号」である点に注意しよう。

MIDI接続を行うためには、まず「MIDIインターフェース」と、接続する電子ピアノのMIDI IN/OUT端子の数に応じた「MIDIケーブル」が必要となる。MIDIインターフェースは、電子ピアノのMIDI信号をパソコンが理解できるUSB信号に変換し、パソコンへ送る役割を担う機器である。接続は比較的シンプルで、電子ピアノの「MIDI OUT」端子とMIDIインターフェースの「MIDI IN」端子をMIDIケーブルで接続し、同様に電子ピアノの「MIDI IN」端子とMIDIインターフェースの「MIDI OUT」端子を接続する。これにより、電子ピアノからパソコンへ演奏情報を送り、またパソコンから電子ピアノへ信号を返す双方向の通信が可能になる。

次に、MIDIインターフェースをUSBケーブルでパソコンに接続する。多くのMIDIインターフェースはUSBバスパワーで動作し、特別な電源は不要だ。WindowsやMacには、通常、MIDIデバイスを認識するためのCoreMIDI機能が標準で搭載されているものの、場合によってはメーカーが提供する専用ドライバのインストールが必要になることもある。Macの場合、「Audio MIDI設定」を開き、「MIDIスタジオを表示」から「MIDIを再スキャン」することで、接続したデバイスが正しく認識されているか確認できる。接続がうまくいけば、DAWソフトウェアなどで電子ピアノの鍵盤を叩くと、パソコン内のソフトウェア音源が鳴るようになる。ただし、古い電子ピアノの音そのものを高音質で録音したい場合は、別途オーディオ用ケーブルを使ってオーディオインターフェースに接続する必要がある。

USB接続で電子ピアノをパソコンで鳴らす手順

近年の電子ピアノは、ほとんどの機種にUSB端子が搭載されており、パソコンとの接続が以前に比べて格段に簡単になった。USB接続を活用すれば、MIDIケーブルや別途MIDIインターフェースを用意する手間を省き、一本のUSBケーブルで電子ピアノの演奏情報をパソコンへ送れる。これは、手軽に電子ピアノの音質をアップグレードし、音楽制作を始めたい初心者にとって非常に大きな利点と言える。

具体的な手順として、まず電子ピアノの「USB TO HOST」端子とパソコンのUSB端子をUSBケーブルで接続する。電子ピアノ側の端子は「USBタイプB」である場合が多いので、対応する「USB-B ↔ USB-Aケーブル」を準備しよう。通常、USBケーブルを繋ぐだけでパソコンが電子ピアノをMIDIデバイスとして自動的に認識するはずだ。もし認識されない場合は、電子ピアノのメーカー公式サイトを確認し、必要な専用ドライバがあればインストールする。ドライバが古い場合や破損している場合も、認識されない原因となることがあるので、最新版にアップデートすることも検討しよう。

接続が完了したら、DAWソフトウェアやスタンドアロンのソフトウェア音源を起動し、電子ピアノの鍵盤を弾いて音が出るか確認する。ほとんどの場合、MIDIチャンネルなどの細かい設定はデフォルトのままで問題なく動作する。しかし、USB接続ならではの注意点も存在する。例えば、質の悪いUSBケーブルや長すぎるケーブル、またUSBハブを介した接続は、通信の不安定さや音の遅延(レイテンシー)を引き起こす可能性がある。そのため、可能であれば、パソコンのUSBポートに直接接続し、他のUSB機器の接続は一時的に解除するなど、安定した接続環境を確保することが望ましい。シンプルな接続方法である一方で、トラブル時の対応策も頭に入れておく必要がある

音源を鳴らすためのASIOドライバ設定

電子ピアノをパソコンで鳴らす際、演奏と実際の音の間に生じるわずかな「遅れ」は、レイテンシーと呼ばれ、快適な演奏を妨げる要因となる。このレイテンシーを最小限に抑えるためには、ASIO(Audio Stream Input/Output)ドライバの設定が極めて重要である。ASIOドライバは、Windows環境においてオーディオ信号の処理を高速化し、音の遅延を劇的に改善する役割を果たす。

具体的には、ASIOに対応したオーディオインターフェースを使用することが、最も推奨されるレイテンシー対策だ。オーディオインターフェースを導入した場合、パソコンのDAWソフトやスタンドアロン音源の設定で、使用するオーディオデバイスとしてASIOドライバを選択する。しかし、もしASIO対応のオーディオインターフェースがない場合でも、フリーソフトの「ASIO4ALL」をインストールすることで、擬似的にASIO出力環境を構築できる。ただし、ASIO4ALLは汎用ドライバであるため、ノイズや音の遅延が完全に解消されない場合もある点を理解しておく必要がある。

ASIOドライバ設定における最大のポイントは、「バッファサイズ」の調整である。バッファサイズは、オーディオ信号を一時的に蓄えるデータの量を指し、この数値を小さく設定するほどレイテンシーは減少する。しかし、小さくしすぎるとパソコンのCPUに高い負荷がかかり、音切れやノイズが発生する可能性があるため、自身のパソコンのスペックや安定性を考慮し、音切れしない範囲で最も低い値を見つけるのが理想だ。多くのDAWソフトウェアでは、オーディオ設定や環境設定メニューからバッファサイズを調整できるので、実際に色々な数値を試しながら最適なバランスを探してみよう。

無料・有料ソフトウェア音源の選び方

電子ピアノをパソコンで鳴らす醍醐味は、内蔵音源に縛られず、多種多様なソフトウェア音源を自由に選べる点にある。ソフトウェア音源は、パソコンの内部で動作する「バーチャルなシンセサイザー」であり、DAWソフトウェアに追加して利用できる外部ソフトシンセとも呼ばれる。これらは、付属の音源に比べて音質が格段に優れていたり、特定の楽器のリアルなサウンドを追求していたりと、その種類は非常に幅広い。

音源を選ぶ際にまず確認すべきは、使用しているDAWソフトウェアが、その音源の「プラグインフォーマット」に対応しているかという点だ。主要なプラグインフォーマットにはVST、AudioUnits(AU)、AAXなどがあり、DAWと音源の両方が同じフォーマットに対応している必要がある。例えば、CubaseはVSTに対応しているため、VST形式の音源を選べば良い。

予算に限りがある場合でも、無料のソフトウェア音源は強力な選択肢となる。インターネット上には、ギガバイトクラスの大容量で高品質な無料ピアノ音源も存在し、これらを利用すればコストをかけずに大幅な音質改善が期待できる。ただし、無料音源の中には音の強弱表現が乏しかったり、ノイズやバグが発生したり、調律に微妙なズレがあるものも存在するため、試聴や評価を参考に選ぶことが大切だ。一方で、よりプロフェッショナルなサウンドや安定した動作を求めるのであれば、有料のソフトウェア音源の導入を検討すると良い。総合音源の「KOMPLETE 14」、ピアノ音源の「Keyscape」、シンセ音源の「SERUM」など、多くの定番音源が存在し、これらは高価だが、その品質と機能は折り紙付きだ。自身の音楽制作の目的や予算に応じて、最適なソフトウェア音源を選ぶことが、電子ピアノとパソコン連携の成功に繋がるだろう

電子ピアノをパソコンで鳴らす際の課題と応用

インデックス
  • 電子ピアノをパソコンで鳴らす際の遅延(レイテンシー)対策
  • DAWソフトとの連携で電子ピアノをパソコンで鳴らす
  • ワイヤレス接続で電子ピアノをパソコンで鳴らす
  • 接続が認識されない場合のトラブルシューティング
  • 電子ピアノの演奏をパソコンで録音する方法
  • 電子ピアノをパソコンで鳴らす際の注意点と展望
  • 電子ピアノをパソコンで鳴らす方法のまとめ

電子ピアノをパソコンで鳴らす際の遅延(レイテンシー)対策

MIDI

電子ピアノをパソコンに接続して演奏する際、多くの人が直面する問題の一つが「レイテンシー」、つまり鍵盤を押してから実際に音が鳴るまでのごくわずかな遅れである。この遅延は、演奏の正確さや快適さに直接影響を及ぼすため、可能な限り軽減することが求められる。

この問題を解決する最も効果的な方法は、ASIOドライバに対応したオーディオインターフェースを導入することだ。ASIOドライバは、Windows環境でのオーディオ信号の処理を高速化し、レイテンシーを大幅に短縮する。もしオーディオインターフェースがASIOに対応していない場合でも、無料のASIO4ALLという汎用ドライバを試すことは可能だが、完全な効果は期待できない場合もある。ASIOドライバ導入後は、DAWソフトウェアの設定で「バッファサイズ」を調整することが重要だ。バッファサイズを小さくすると遅延は減るが、パソコンのCPU負荷が増加し、音切れやノイズが発生する可能性があるため、自身のPCスペックと相談しながら、音切れしない範囲で最も小さい値を見つけることが肝要だ。

加えて、電子ピアノの接続方法にも留意すべきである。USB接続の場合、使用するUSBポートの規格(USB 3.0以上など)や、USBハブを介した接続、また長すぎるUSBケーブルの使用は、通信速度の低下や不安定さを招き、レイテンシーの原因となることがある。そのため、できる限りパソコンのUSBポートに直接接続し、安定したデータ転送を心がけよう。ワイヤレス接続であるBluetooth MIDIも登場しているが、無線通信の特性上、有線接続に比べて遅延が発生しやすい傾向にあるため、リアルタイム演奏にはあまり向かない場合が多い。最後に、使用するソフトウェア音源の種類もレイテンシーに影響を与える。CPU負荷の高い音源は処理が遅れる原因となるため、演奏時には軽量な音源を使用し、後で高品質な音源に差し替えるなどの工夫も有効だ。これらの対策を総合的に行うことで、快適な演奏環境を実現し、音楽制作をよりスムーズに進められるようになるだろう。

DAWソフトとの連携で電子ピアノをパソコンで鳴らす

電子ピアノをパソコンに接続する最大の目的の一つは、DAW(Digital Audio Workstation)ソフトウェアとの連携にあると言える。DAWは、作曲、編曲、録音、ミックス、マスタリングといった音楽制作の全工程をパソコン上で行うための総合的なソフトウェアだ。電子ピアノをDAWと連携させることで、単に音を鳴らすだけでなく、演奏を記録し、修正し、様々な音源やエフェクトを組み合わせて、本格的な楽曲制作に挑戦できるようになる。

まず、電子ピアノをMIDIキーボードとしてDAWに認識させる。USB接続の場合、電子ピアノをUSBケーブルでパソコンに繋げば、ほとんどのDAWで自動的にMIDI入力デバイスとして認識されるだろう。MIDI端子しかない電子ピアノの場合は、MIDIインターフェースを介して接続する。DAW上で新規のプロジェクトを作成し、インストゥルメントトラックにパソコンにインストールされているソフトウェア音源(VSTプラグインなど)を読み込む。これで、電子ピアノの鍵盤を弾くと、DAWに読み込んだソフトウェア音源から音が出るようになるはずだ。

DAW連携の大きな利点は、電子ピアノで演奏した内容が「MIDIデータ」として記録されることだ。MIDIデータは、音の高さ、長さ、強さ(ベロシティ)といった演奏情報であり、実際の音の波形ではないため、録音後に自由に編集・修正できる。例えば、間違えて弾いてしまった音符を削除したり、タイミングを修正したり、音の強弱を細かく調整したりと、後からいくらでも「演奏を打ち直し」できるのだ。さらに、MIDIデータは音源に依存しないため、後から別のピアノ音源やストリングス、シンセサイザーなどの音源に簡単に差し替えることも可能である。Cubase、Studio One、Logic Pro、Ableton Liveなど、多機能なDAWソフトウェアが数多く存在し、中にはDominoのようなMIDIの打ち込みに特化した無料のDAWも利用できる。DAWとの連携は、電子ピアノを単なる練習用楽器から、本格的な音楽制作ツールへと進化させるための鍵となるだろう。

ワイヤレス接続で電子ピアノをパソコンで鳴らす

近年の技術の進歩により、電子ピアノとパソコンをワイヤレスで接続する方法も登場している。これは主に「Bluetooth MIDI(BLE-MIDI)」と呼ばれる規格を利用したもので、ケーブルの煩わしさから解放される点が大きな魅力だ。ケーブルの配線を気にすることなく、電子ピアノを好きな場所に設置できるため、より自由で快適な演奏環境を構築できる可能性を秘めている

Bluetooth MIDIを利用するには、電子ピアノがBluetooth MIDIに対応しているか、またはBluetooth MIDIアダプター(Roland WM-1など)を電子ピアノのMIDI端子に接続する必要がある。パソコン側もBluetoothに対応している必要があり、Windows 10/11では設定画面からBluetoothデバイスのペアリングを行うことで接続できる。KORG BLE-MIDI Driverのような専用ドライバのインストールが必要な場合もあるので、その点は確認しておこう。

ワイヤレス接続の最大のメリットは、やはりケーブルの取り回しが不要になることによる、設置の自由度と見た目のすっきり感だ。例えば、リビングで気軽に演奏したい場合や、限られたスペースで機材を整理したい場合に重宝するだろう。しかし、ワイヤレス接続にはいくつかのデメリットや注意点も存在する。有線接続に比べて、ごくわずかながら「遅延(レイテンシー)」が発生しやすくなる傾向がある。リアルタイムでのシビアな演奏や、複雑な音楽制作を行う際には、この遅延が演奏感に影響を及ぼす可能性がある。また、Wi-Fiや他のBluetooth機器との干渉により、接続が不安定になったり、音切れが発生したりすることもある。現在のところ、対応している電子ピアノやアダプターの種類はまだ限られているため、導入の際には対応状況をよく確認することが重要だ。快適さを重視するなら検討に値するが、安定性や低レイテンシーを最優先する場合は、有線接続が依然として推奨される選択肢となるだろう。

接続が認識されない場合のトラブルシューティング

電子ピアノをパソコンに接続しようとしてもうまくいかない場合、いくつかの原因が考えられる。多くは簡単な確認作業で解決できるため、焦らずに一つずつ確認していこう。まず、最も基本的な点として、ケーブルが正しく接続されているか、そして使用しているケーブルが電子ピアノの端子に合っているかを確認する。MIDI接続であればMIDI INとOUTの接続が正しいか、USB接続であればUSB-BやUSB-Cといった端子の種類が合っているか、また物理的にしっかりと差し込まれているかを確認する。

次に、パソコン側の問題を確認する。もしUSBハブを使用している場合、電力不足やデータ転送の不安定さから認識されないことがあるため、電子ピアノをパソコンのUSBポートに直接接続し直してみよう。また、他のUSB機器が多数接続されている場合も、干渉の原因となることがあるので、一時的にそれらを外して試すことも有効だ。電子ピアノ自体の電源が入っているかも忘れずに確認したい。

パソコンがデバイスを認識しているかどうかは、Windowsの「デバイスマネージャー」やMacの「Audio MIDI設定」で確認できる。デバイスマネージャーで「不明なデバイス」と表示されたり、適切なドライバ名が表示されなかったりする場合、ドライバが正しくインストールされていないか、あるいは古い可能性が考えられる。この場合は、電子ピアノのメーカー公式サイトから最新の専用ドライバをダウンロードしてインストールし直すことが解決策となる。Macの場合は、「MIDIスタジオ」で「MIDIを再スキャン」ボタンをクリックすることで、認識を促すこともできる。稀に、USBケーブル自体が不良品であるケースもあるため、別のUSBケーブルに交換して試すことも有効な手段となるだろう。これらのステップを踏むことで、ほとんどの接続問題は解決できるはずだ。

電子ピアノの演奏をパソコンで録音する方法

電子ピアノの演奏をパソコンで録音することは、自分の演奏を客観的に聞き返し、上達に繋げるための非常に有効な手段である。また、録音した演奏を楽曲制作に活用したり、友人と共有したりといった応用も可能になる。

電子ピアノの演奏をパソコンに録音する最も簡単な方法は、電子ピアノの音声出力端子から、パソコンの音声入力端子にケーブルで接続することだ。多くの電子ピアノには「Aux Out」や「Line Out」、またはヘッドフォン端子といった音声出力端子が備わっている。しかし、パソコンに直接接続する方法では、音質が劣化する可能性があるため、より高音質で録音したい場合は「オーディオインターフェース」の導入を強く推奨する。オーディオインターフェースは、電子ピアノから出力されるアナログ音声信号を高品質なデジタルデータに変換し、パソコンへ送る役割を担う機器だ。これにより、クリアでノイズの少ない音質での録音が可能になる

必要なケーブルは、電子ピアノの出力端子とオーディオインターフェースの入力端子の種類に合わせて選ぶ。一般的には、ミニケーブルやフォーンケーブル(シールド)が使われる。ケーブルの長さは、ノイズを拾いにくいように、必要な範囲で最短のものを選ぶのが良いだろう。録音に使うソフトウェアは、オーディオインターフェースに付属しているものや、無料の「Audacity」(Windows向け)や「Garageband」(Mac/iPhone向け)などで十分に事足りる。DAW(Digital Audio Workstation)ソフトウェア(例: Studio One, Cubase)を使えば、録音だけでなく、後から音源を編集したり、エフェクトを加えたりと、さらに高度な音楽制作が可能になる。録音後は、自分の演奏をじっくりと聞き返し、テンポのズレや音の大きさのばらつき、音のつながりといった改善点を見つけるようにしよう。定期的に録音と聞き返しを行うことで、客観的な視点から自分の演奏を分析し、効率的な練習に繋げられるだろう。

まとめ:電子ピアノをパソコンで鳴らす際の注意点と展望

電子ピアノをパソコンで鳴らす方法は、古い機種やエントリーモデルであっても、その音質を劇的に向上させ、音楽制作の可能性を大きく広げる魅力的な手段である。高品質なソフトウェア音源の利用は、演奏の楽しさを増し、ひいては演奏技術の上達にも寄与するだろう。

しかし、導入と運用にあたってはいくつかの注意点がある。まず、音の遅延(レイテンシー)対策は避けて通れない課題だ。特にWindows環境では、ASIOドライバに対応したオーディオインターフェースの導入と、適切なバッファサイズの設定が鍵となる。USB接続の場合、ケーブルの品質や接続環境も重要であり、USBハブの多用や長すぎるケーブルは、不安定な動作や遅延の原因となることを覚えておこう。また、ワイヤレス接続であるBluetooth MIDIは手軽さが魅力だが、現状では有線接続に比べて遅延が発生しやすい傾向にあるため、シビアなリアルタイム演奏にはまだ向かない場合がある。

使用するソフトウェア音源は、無料・有料問わず多種多様だが、自身のDAWとの互換性(プラグインフォーマット)や、PCスペックとの相性を確認することが重要だ。無料音源の中には、音の強弱表現の限界や、ノイズ、調律のズレといったデメリットを伴うものもあるため、その特性を理解した上で選ぶ必要がある。トラブル発生時には、ドライバの確認、ケーブルの差し替え、USBポートの変更など、基本的なトラブルシューティングを試すことが肝心である。

将来的な展望としては、MIDI 2.0という次世代規格の登場により、より豊かな表現力や互換性の向上が期待される。ワイヤレス技術も進化を続けており、将来的にはさらに低遅延で安定した接続が可能になるかもしれない。現状では、電子ピアノとパソコンの連携は、ある程度の知識と設定が必要となるものの、それを乗り越えれば、計り知れない音楽的探求の扉を開いてくれるだろう。

電子ピアノをパソコンで鳴らす方法のまとめ

  • 電子ピアノをパソコンで鳴らす際、MIDI信号によって演奏情報を送受信する。
  • 多くの電子ピアノはUSB端子経由でMIDI信号を送ることができ、最も簡単な接続方法である。
  • USB端子がない古い電子ピアノは、MIDIインターフェースやMIDI入出力端子付きのオーディオインターフェースとMIDIケーブルを介してパソコンに接続する。
  • MacではOS標準ドライバのCore Audioが優秀なため問題ないが、Windowsでは音楽制作においてASIOドライバの使用が推奨される。
  • ASIOドライバが用意されていない機器でも、ASIO4ALLのようなフリーソフトでASIO出力が可能となる。
  • 音の遅延(レイテンシー)は、オーディオインターフェースの使用とASIOドライバの導入で大幅に軽減できる。
  • バッファサイズを小さく設定すると遅延が改善されるが、CPU負荷が増すため、PCのスペックに応じて最適な値に調整することが重要だ。
  • MIDIキーボードの接続は、PCのUSBポートに直接つなぐか、専用のMIDIインターフェースを使用することで安定性が向上する。
  • Bluetooth接続のMIDIデバイスはワイヤレス通信の特性上、有線接続よりも遅延が発生しやすい傾向がある。
  • パソコンで電子ピアノの音を鳴らすには、DAW(デジタルオーディオワークステーション)ソフトウェアや、スタンドアロンで動作するソフトウェア音源を用いる。
  • 無料のピアノ音源やサウンドフォントも多数存在し、これらを活用することで古い電子ピアノやエントリーモデルの音質を大幅にアップグレードできる。
  • ソフトウェア音源によってはCPU負荷が高く、リアルタイム演奏時に遅延の原因となることがあるため、軽量な音源の選択やプラグインの整理も有効な対策となる。
  • 電子ピアノの音を録音し、より高音質で管理するためには、オーディオインターフェースを導入し、電子ピアノのPHONE端子とオーディオインターフェースのLINE INをオーディオケーブルで接続する方法がある。
  • 多くのDAWでMIDIとオーディオの設定が必要となるが、設定場所が分かれば操作は難しくない。
  • 一部の電子ピアノは、本体の内蔵音源をオフにしてMIDI信号のみを送り、パソコンのソフトウェア音源からの音を電子ピアノのスピーカーから鳴らす設定が可能だ。
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