電子ピアノ選びで「korg d1 vs roland fp10」と検索しているあなたへ、この記事が最適な選択肢を見つける手助けとなるだろう。KORG D1とRoland FP-10は、それぞれ異なる強みを持つ人気のデジタルピアノだ。スピーカー内蔵の有無や、KORGのRH3鍵盤とRolandのPHA-4スタンダード鍵盤のタッチ感といった主要な違いを掘り下げ、機能性、操作性、可搬性など多角的に比較検討し、あなたのニーズに合った一台を見つけるための情報を提供する。
- KORG D1はスピーカーを内蔵しないステージピアノだが、Roland FP-10はスピーカーを内蔵している
- KORG D1はKORG最上級のRH3鍵盤を、Roland FP-10はPHA-4スタンダード鍵盤を搭載し、それぞれのリアルな打鍵感に違いがある
- Roland FP-10はBluetoothやUSB COMPUTER端子による接続性を持つ一方、KORG D1はMIDI(5ピン)とLINE OUT端子に特化している
- KORG D1は物理ボタンで直感的に操作できるが設定が保存されにくく、Roland FP-10はボタンと鍵盤の組み合わせで操作し一部設定を保存できる機能がありD1より軽量である
KORG D1とRoland FP-10の基本的な比較
- スピーカーの有り無しがもたらす影響
- 付属品の違いとその重要性
- サイズ・重量を徹底比較
- 価格とコストパフォーマンスの分析
- Roland FP-10の特徴とメリット
スピーカーの有り無しがもたらす影響
電子ピアノを選ぶ際、内蔵スピーカーの有無は、利用シーンや音響環境に大きく影響する要素の一つだ。KORG D1とRoland FP-10を比較すると、この点で明確な違いが見られる。KORG D1にはスピーカーが内蔵されておらず、本体から直接音を出すことはできない。そのため、D1を使用する場合は、演奏音をモニターするためにヘッドホンを装着するか、別途外部スピーカーを用意して接続する必要がある。これは、すでに高品質なオーディオ環境を持っている人や、ライブ演奏などで特定のPAシステムに接続することを想定している人には利点となる。
一方、Roland FP-10は11Wのスピーカーを2つ内蔵しており、本体単体で十分な音量での演奏が可能だ。これにより、購入後すぐに演奏を楽しめる手軽さがあり、自宅での練習や、友人と気軽にセッションする際などにも便利だ。しかし、FP-10の内蔵スピーカーの音質については、「ちょっと弱い」 や「かなり微妙」 といった意見も一部のユーザーから挙がっている。音質にこだわりたい場合は、FP-10であっても外部スピーカーやヘッドホンを接続することが推奨される。FP-10はPHONES端子に外部スピーカーを接続した際に、内蔵スピーカーから音を出さない設定もできるし、両方から音を出す設定も可能だ。このように、KORG D1はスピーカー非搭載であることから、ユーザーが自身の音響環境を自由に構築できる柔軟性がある。反対に、Roland FP-10は手軽に演奏を始められる内蔵スピーカーが魅力だが、より高音質を求める場合は外部機器との連携を検討すると良い。スピーカーの有無は、それぞれの製品がターゲットとするユーザー層や利用目的に応じた設計思想の違いを反映していると言えるだろう。
付属品の違いとその重要性
KORG D1とRoland FP-10は、どちらも電子ピアノとして基本的な機能を提供しているが、付属しているアクセサリーにはそれぞれ特徴がある。これらの付属品は、製品の使い勝手や初期費用に影響を与えるため、購入を検討する上で重要なポイントだ。
まずKORG D1の付属品は、ACアダプター、譜面立て、ダンパー・ペダル、取扱説明書、そしてヘッドホンだ。D1には内蔵スピーカーがないため、ヘッドホンが付属するのは当然と言える。しかし、付属のヘッドホンについては、「実用レベルの品ではない」という厳しい評価もある。また、ダンパー・ペダルについても、「一般的なペダルよりひとまわり小さい」「安っぽいプラスチック製」と感じる声がある一方、使用者によっては「金属製で踏み心地もほどよく抵抗があってアコースティックピアノのものと似ている」 と好意的な意見もある。このペダルは別売りのDS-1Hと比べて小さいため、本格的に演奏したい場合は別途ダンパー・ペダルの購入を検討する価値があるかもしれない。譜面台は金属製でシンプルだが、取り外しは容易で場所を取らない。
一方、Roland FP-10の付属品はACアダプター、譜面立て、電源コード、ペダル・スイッチ、取扱説明書、保証書、ローランドユーザー登録カードだ。FP-10は内蔵スピーカーを備えているため、D1のようにヘッドホンは付属しない。付属のペダル・スイッチはシンプルなタイプであり、ハーフペダルに対応したDP-10は別売りとなっている。さらに、FP-10で別売りのDP-10を接続した場合でも、ペダル深度は0(ペダル無し)、64(ハーフペダル)、127(ペダル全開)の3段階に限定される点には注意が必要だ。FP-30Xのように「連続検出対応」ではない。このように、付属品を見るだけでも、KORG D1は音響出力に必要なヘッドホンを、Roland FP-10は本体での演奏をすぐに始められるよう内蔵スピーカーを、それぞれ重視していることがわかる。どちらの付属品がより自身のニーズに合致するかを考慮し、追加で必要になるアクセサリーの有無や費用も検討材料に加えるべきだ。
サイズ・重量を徹底比較
電子ピアノを選ぶ上で、本体のサイズと重量は設置スペースや持ち運びのしやすさに直結するため、非常に重要な要素である。KORG D1とRoland FP-10は、どちらも88鍵盤のコンパクトなモデルとして人気だが、具体的な数値と使用感には違いがある。
KORG D1の外形寸法は、幅1327mm、奥行き263mm、高さ128mm(譜面立て含まず) と発表されている。特に奥行きが短く、非常にスリムな設計が特徴だ。しかし、88鍵盤というフルサイズの鍵盤数を持つため、実際に置いてみると「かなりの存在感」や「でかい」と感じるユーザーもいるようだ。重量は16kgと、電子ピアノの中では比較的重い部類に入る。この重さから、「女性にとってはちょっとしんどい」、あるいは「不用意に持ち上げると腰を抜きそうになる」 といった声もあり、頻繁な持ち運びや移動には適さない場合がある。
一方、Roland FP-10は、幅1284mm、奥行き258mm、高さ140mm(譜面立て含まず) と、D1よりもわずかに幅が狭く、奥行きもわずかに短い。特に「88鍵盤として最小クラス」 と謳われるほどのコンパクトさが魅力だ。重量は12.3kg と、D1より約3.7kg軽量である。この違いは、持ち運びの際に体感できるほどの差となり、「思ったほど重くない」、または「運動不足の女性でも持ち上げられるくらいの重さ」 といった評価が見られる。本体の底面が平らなため、専用スタンド以外にもテーブルなどに平置きできるのも、FP-10の設置における利点だ。両モデルともに「ステージピアノとして使えるのにこのスリムさ・軽さは移動が多い方にとってはとても魅力的」 と評価されることがあるが、より軽量で可搬性を重視するならFP-10、堅牢性や特定の鍵盤へのこだわりが優先されるならD1が選択肢となるだろう。
価格とコストパフォーマンスの分析
電子ピアノの購入において、価格とそれに見合う性能や品質、すなわちコストパフォーマンスは重要な判断基準だ。KORG D1とRoland FP-10は、どちらもエントリーからミドルレンジに位置するモデルでありながら、高いコストパフォーマンスを誇ることで知られている。
KORG D1は、オープン価格で発売され、2018年時点での想定売価は49,800円、その後2022年には54,490円、2021年には55,300円 といった価格で提供されている。D1の最大の強みは、この価格帯でありながらKORG最上級のRH3鍵盤を搭載している点にある。多くのレビューで「価格以上の製品」、「コスパは抜群」 と評価されており、「4万円台で買える」という点を高く評価する声もある。D1がこのような価格を実現できたのは、内蔵スピーカーを非搭載とするなど、機能を絞り込むことで、鍵盤といった演奏の核となる部分にコストを集中させた結果と推測されている。
一方、Roland FP-10は、60,000円(税込66,000円) や57,475円 といった価格帯で販売されている。こちらも「値段の割にはかなり良い」、「この値段帯ならヤマハより上」、「お金に見合う最高の鍵盤アクション」 といった高い評価を得ている。Roland独自のPHA-4 Standard鍵盤 とSuperNATURAL音源 を搭載し、内蔵スピーカーやBluetooth機能といった利便性も備えている点が評価される。FP-10はCASIO PX-S1100と比較すると若干高価だが、その分「音質やタッチ感、長期的な使用において安定感がある」 と言われている。どちらのモデルも、価格帯に対して優れた鍵盤品質を提供している点が共通する。D1はよりストイックに鍵盤の品質を追求し、FP-10は機能性とのバランスを重視しているため、ユーザーの優先順位によってどちらが「より良いコスパ」と感じるかは異なるだろう。
Roland FP-10の特徴とメリット
Roland FP-10は、その手頃な価格帯にもかかわらず、多くの優れた特徴とメリットを兼ね備えた電子ピアノだ。このモデルが幅広いユーザーに支持されるのは、その総合的なバランスの良さにある。
まず、鍵盤のクオリティが特筆される。FP-10にはRoland独自の「PHA-4 Standard鍵盤」が搭載されており、これがグランドピアノに近い自然なタッチ感と反応の良さを実現している。鍵盤表面には微妙な凹凸加工が施されており、プラスチック特有のツルツルした感触ではなく、リアルなピアノの質感を再現している点も高く評価されている。また、上位モデルのFP-60と同じ鍵盤であることも、この価格帯では大きな魅力と言える。
音色についても、Roland独自の「SuperNATURAL音源」を搭載していることで、リアルで表現力豊かなサウンドが楽しめる。特にグランドピアノの音色は優れており、微細なニュアンスまで表現可能で、音が「ウェットで一番好き」「木のこっくりした温かみのある音」、「リッチでホールのような響き」 と評されることがある。Bluetooth接続機能もFP-10の大きなメリットの一つだ。スマートフォンやタブレットと無線接続することで、専用アプリ「Piano Partner 2」を活用したり、手持ちの音楽をピアノのスピーカーから流して一緒に演奏するセッションを楽しんだりできる。これにより、練習の幅が大きく広がるだろう。
さらに、FP-10は幅1,284mm、奥行き258mmの超コンパクトなボディ でありながら、内蔵スピーカーを備えている。これにより、場所を選ばずにすぐに演奏を始められる手軽さがある。デザインもスタイリッシュでシンプル なため、部屋のインテリアにも馴染みやすい。USB COMPUTER端子を通じてDAW(音楽制作ソフトウェア)とのMIDI連携も可能であり、多機能性も兼ね備えている。このように、Roland FP-10は、優れた鍵盤と音源、最新の接続機能をコンパクトなボディに凝縮しており、初心者から中級者まで幅広い層にとって非常に魅力的な電子ピアノである。
KORG D1 vs Roland FP-10:鍵盤・音色・機能性を深掘り
- KORG D1のキータッチは最高品質か
- タッチ感の比較:どちらがグランドピアノに近いか?
- 音色の比較:どちらがよりリアルな音を提供するか?
- Bluetooth対応とMIDI IN/OUT搭載の利便性
- 本体で設定する操作性の違い
- KORG D1の残念なところ(欠点)
- コンパクト・極上キータッチ電子ピアノとしての魅力
- KORG D1とRoland FP-10:比較と総括
KORG D1のキータッチは最高品質か

KORG D1のキータッチは、この電子ピアノを語る上で最も重要な要素の一つだ。D1は、KORGが誇る最高級の鍵盤「RH3(リアル・ウェイテッド・ハンマー・アクション3)鍵盤」を搭載している。この鍵盤は、グランドピアノと同様に、低音部では重く、高音部になるにつれて軽くなるように重さが調整されており、より繊細なタッチ表現が可能となる。実際、RH3鍵盤はKORGのステージピアノやシンセサイザーの上位機種にも採用されている実績がある。
D1のキータッチに対するユーザーからの評価は非常に高い。多くの演奏者が「キータッチはやっぱり最高」 と口を揃え、その「精巧な作りでガタツキや荷重・動作に違和感のあるバラツキを感じない」 といった点が高く評価されている。特に、この価格帯でメーカー最上級クラスの鍵盤が搭載されていることは稀であり、「コスパは抜群」という声も聞かれる。安価な鍵盤で練習すると変な癖がついてしまう懸念があるが、RH3鍵盤であればそのような心配も避けられそうだという意見もある。D1の鍵盤は、「電子ピアノにしてはやや重め」 で、「にゅるんとした、滑らかな打鍵感」 が特徴だ。
しかし、RH3鍵盤にはいくつかの注意点も存在する。キータッチ・コントロールの設定パターンは5種類(軽、標準、重、安定、一定)と限定的であり、さらに、これらの設定は電源をオフにすると初期設定の「標準」に戻ってしまうという「致命的な欠点」がある。これは、毎回電源を入れるたびに設定し直す手間が発生することを意味する。それでも、D1のキータッチは「流石、最上級鍵盤らしさを感じるクオリティ」 と言えるほど高く、演奏していて「気持ち良い」 という体験は、多くのピアニストにとって非常に魅力的だろう。本格的な演奏感を追求する上で、RH3鍵盤はKORG D1の大きなアドバンテージとなっている。
タッチ感の比較:どちらがグランドピアノに近いか?
電子ピアノの鍵盤のタッチ感は、演奏者の好みや経験によって評価が大きく分かれる部分だ。KORG D1とRoland FP-10は、それぞれ異なる鍵盤機構を採用しており、グランドピアノへのアプローチも異なるため、実際に触れて比較することが重要となる。
KORG D1は前述の通り、KORG最上級の「RH3(リアル・ウェイテッド・ハンマー・アクション3)鍵盤」を搭載している。このRH3鍵盤は、グランドピアノの特性を模倣し、低音部が重く、高音部が軽くなるように設計されている。D1のタッチ感は「電子にしてはやや重め」 で、「にゅるんとした、滑らかな打鍵感」 と表現されることがある。一部のユーザーからは、Rolandの鍵盤と比較して「より重い」と感じ、トリルなどの細かい動きで指に負担を感じるという声もある。
一方、Roland FP-10は「PHA-4 Standard鍵盤」を採用している。この鍵盤は、グランドピアノに近いタッチ感と優れたアクションの反応を提供すると評価されている。Rolandの鍵盤は、「プラスチックのカチャカチャ感がなく、ぬるりんとしたおもちゃっぽくないナチュラルな重さ」 や、鍵盤表面に施された微妙な凹凸加工 によって、リアルな質感を追求している。しかし、FP-10のタッチ感については、「少し軽め」、「弾き心地が浅め」、あるいは「トリルなどの細かい音が鳴りにくい」 といった意見も見られるため、全てのユーザーが満足するわけではない。
結論として、どちらの鍵盤もグランドピアノのタッチを再現しようと工夫が凝らされているが、その感覚は主観による部分が大きい。D1のRH3鍵盤は、重厚でしっかりとしたタッチを好む人や、クラシックピアノを本格的に練習する人に適している可能性がある。対して、FP-10のPHA-4 Standard鍵盤は、自然な重さとスムーズなレスポンスが特徴で、幅広いジャンルの演奏に対応できるだろう。可能であれば、実際に楽器店で両モデルを試弾し、自身の指に馴染む方を選ぶことが最も確実な方法となる。
音色の比較:どちらがよりリアルな音を提供するか?
電子ピアノの音色は、演奏のリアリティと表現力を左右する重要な要素である。KORG D1とRoland FP-10は、それぞれ独自の音源技術を搭載しており、音の質感や表現力に違いが見られる。
KORG D1は「ステレオPCM音源」を採用し、30種類の高品位な音色を内蔵している。これらの音色は、10種類のカテゴリにそれぞれ3種類のバリエーションがあり、PIANO1、PIANO2、E.PIANO1、E.PIANO2、HARPSI/CLA、VIBES/GUITAR、ORGAN1、ORGAN2、STRINGS、CHOIRなどが含まれる。ユーザーは、普段の練習でPIANO1やPIANO2のピアノ音色を主に使い、気分転換や曲に合わせて音色を変える楽しさがあると感じている。D1の音質自体も評価されており、「素晴らしい」といった肯定的な意見も散見される。エフェクトとしては、音の明るさを調整するブリリアンス、残響を加えるリバーブ、音に広がりを与えるコーラスがそれぞれ3段階で設定可能だ。
一方、Roland FP-10はRoland独自の「SuperNATURALピアノ音源」を搭載しており、そのリアルで表現力豊かな音質が大きな特徴だ。特にグランドピアノの音色は非常に優れており、「微細なニュアンスやダイナミクスを豊かに表現する」 と評価されている。高音域から低音域までバランスよく響き、「非常に自然でリアルな音」 を楽しむことができる。実際にFP-30X(FP-10と同じSuperNATURAL音源)を使用したユーザーからは、「音がウェットで一番好き」「木のこっくりした温かみのある音」、「音がリッチでホールのような響き」 といった具体的な好意的な意見が聞かれる。FP-10の音色は「明るくクリア」 で、初心者にも聴きやすく演奏しやすいと評されている。エフェクトには、アンビエンスとブリリアンスがある。
このように、KORG D1は多様な音色バリエーションを、Roland FP-10は「SuperNATURAL音源」によるグランドピアノの音色の深い表現力を提供する。どちらがより「リアル」と感じるかは個人の感性や求める音のキャラクターによって異なるため、可能であれば両モデルの音色を聴き比べるのが良いだろう。
Bluetooth対応とMIDI IN/OUT搭載の利便性
電子ピアノの接続端子やワイヤレス機能は、現代の音楽環境においてその利便性を大きく左右する。KORG D1とRoland FP-10では、この点で異なるアプローチが見られる。
Roland FP-10は、現代のデジタルデバイスとの連携を強く意識した設計が特徴だ。まず、Bluetooth機能を搭載しており、スマートフォンやタブレットとワイヤレスで接続できる。これにより、Rolandが提供する専用アプリ「Piano Partner 2」 を使って内蔵曲の譜面を表示したり、音あてゲームで基礎力を養ったりできる。また、スマートフォンの音楽をFP-10の内蔵スピーカーから流し、それに合わせて演奏するといったセッションも手軽に楽しめる。さらに、USB COMPUTER端子(タイプB)も備えており、パソコンと直接USBケーブルで接続することで、DAW(音楽制作ソフトウェア)とのMIDI情報のやり取りや、SMF(スタンダードMIDIファイル)の再生・録音が可能となる。これにより、FP-10をMIDIキーボードとして活用し、音楽制作や編曲の幅を広げることができる。
一方、KORG D1はBluetooth機能は備わっていない。しかし、伝統的なMIDI IN/OUT端子(5ピン)を搭載している。D1をMIDIキーボードとしてパソコンと接続し、DAWで音楽制作を行うことは可能だが、USB MIDI端子がないため、別途オーディオインターフェースやUSB-MIDI変換アダプターなどが必要となる。D1にUSB接続口がなく、USB録音はできない。D1のMIDI端子は、外部音源を鳴らしたり、既存の音楽制作環境に組み込んだりする際に活用できる。D1はステージでの使用を想定したモデルであるため、堅実なMIDI接続性を重視していると言えるだろう。
本体で設定する操作性の違い
電子ピアノの操作パネルの設計は、日常的な使いやすさや機能へのアクセス性に大きく関わる部分だ。KORG D1とRoland FP-10では、本体での設定方法において明確な違いが見られる。
Roland FP-10の操作パネルは、本体の左側にまとめられており、電源、ボリューム、メトロノームといった最低限のボタンがシンプルに配置されている。音色切り替えやその他の細かい設定を行うには、特定のボタンを押しながら鍵盤の特定のキーを操作するスタイルが採用されている。この方式は、パネル上のボタン数を減らし、スッキリとしたデザインを実現している一方で、「どのボタンがなんの機能か、直感的に理解しにくい」 と感じるユーザーもいるようだ。そのため、細かい設定を行う際には、取扱説明書が必須となる。しかし、一度設定してしまえば、メトロノームの音量、アンビエンス、ブリリアンス、キータッチ、マスターチューニング、スピーカー出力設定など、一部の設定は電源を切っても記憶される「メモリー・バックアップ」機能が備わっている。
一方、KORG D1の操作パネルも本体の左側に集中しているが、Roland FP-10とは異なり、音色選択のために専用のボタンが10個用意されており、バンクボタンと組み合わせて合計30種類の音色を直感的に切り替えられる。これは、演奏中に素早く音色を変更したい場合に非常に便利だ。また、ボリューム調整はノブ形式が採用されており、無段階でのスムーズな音量調整が可能である点も利点として挙げられる。しかし、D1には「残念なところ(欠点)」でも触れたように、多くの設定が電源をオフにすると初期設定に戻ってしまうという制約がある。具体的には、キータッチの設定、音色やエフェクトの設定、メトロノームのBPMなどが該当する。これは、KORGが本体価格を抑えるために不揮発記憶領域(設定を保持するメモリー)を削減した結果と推測されている。オート・パワー・オフの設定のみ、電源を切っても保持される。操作のしやすさの点では、D1の方が直感的だが、設定の保存性においてはFP-10に軍配が上がる。
KORG D1の残念なところ(欠点)
KORG D1は、その高い鍵盤品質とコンパクトさで評価される一方、いくつかの残念な点や欠点も持ち合わせている。これらは、製品の設計思想やコスト削減のために意図的に採用された可能性もあるが、購入を検討する上で把握しておくべきポイントだ。
まず最も大きな欠点として、本体にスピーカーが内蔵されていないことが挙げられる。これは、D1がステージでの使用を主な目的としているためと考えられているが、自宅で使用する際には別途ヘッドホンか外部スピーカーが必須となる。付属のヘッドホンも「とても実用レベルの品ではない」 と評価されており、別途良質なヘッドホンを用意することが推奨される。また、付属のダンパー・ペダルも「一般的なペダルよりひとまわり小さい」 や「おもちゃみたい」 という意見があり、本格的な演奏には物足りなさを感じるかもしれない。
機能面では、キータッチ・コントロールを含む「ほぼ全ての設定」が、電源をオフにすると初期設定に戻ってしまうという「致命的な欠点」がある。これは、音色やエフェクト、メトロノームのBPMなども含まれるため、頻繁に設定を変更するユーザーにとっては手間と感じるだろう。また、D1はUSB MIDI端子を搭載しておらず、MIDI接続には伝統的な5ピンMIDI IN/OUT端子を用いる必要がある。これにより、パソコンとの連携には別途オーディオインターフェースなどが必要になる。
その他、細かい点では、鍵盤の傾斜角度が大きく感じる場合がある、電源ボタンがソフトウェアスイッチのため電源投入に約1秒のタイムラグがある、起動時にMIDIのプログラムチェンジ信号を自動送信するため外部音源接続時に問題が発生する可能性がある、譜面台がシンプルでチープに感じる といった意見もある。D1の重量は16kgと、女性にとっては持ち運びがしんどいと感じる可能性がある。これらの欠点は、D1が鍵盤の品質とコンパクトさを優先し、価格を抑えるために機能を絞った結果とも言える。
コンパクト・極上キータッチ電子ピアノとしての魅力
KORG D1は、いくつかの欠点を持ちながらも、そのコンパクトなサイズと「極上」と称されるキータッチによって、多くのユーザーにとって魅力的な電子ピアノとなっている。この製品が提供する独自の価値は、その特定のニーズに焦点を絞った設計思想にある。
まず、そのサイズ感はD1の大きな魅力の一つだ。88鍵盤のフルサイズでありながら、幅1327mm、奥行き263mm、高さ128mm(譜面立て含まず)という極めてスリムなボディを実現している。これは「ほぼ鍵盤といった構成で最小限に抑えられている」 からこそ可能になった設計であり、部屋のスペースが限られている場合でも設置しやすいというメリットがある。デザインも直線的でスタイリッシュであり、黒と白のカラーバリエーション がインテリアとの調和を可能にする。
しかし、D1の最も際立った魅力は、そのキータッチにある。KORGの最上級鍵盤である「RH3(リアル・ウェイテッド・ハンマー・アクション3)鍵盤」を搭載しており、この価格帯でメーカー最上級クラスの鍵盤が手に入るのは「見つからなかった」 と言われるほど稀だ。RH3鍵盤はグランドピアノのタッチを忠実に再現しており、低音部が重く、高音部が軽くなる自然な打鍵感を実現している。多くのユーザーがその「精巧な作り」 や「最高品質」 のキータッチを高く評価しており、この鍵盤で練習するようになってから他の電子ピアノの「チープさ」に気づくようになったという声もある。KORG D1は、まさに「弾いていて気持ち良い」 という体験を、手頃な価格で提供する稀有な存在だ。
さらに、D1はMIDI IN/OUT端子を備えており、DTM(パソコンでの音楽制作)や外部音源との連携が可能で、拡張性も十分にある。音源に飽きたり、原曲そっくりの音源で練習したい場合に、高品質な音源アプリと組み合わせて活用できる。また、価格も4万円台から と手頃であり、自宅での練習用、サブピアノとしてはもちろん、スピーカー非搭載という特徴からライブユースにも適している。これらの要素が組み合わさることで、KORG D1は「コンパクト・極上キータッチ電子ピアノ」として唯一無二の魅力を放っているのだ。
KORG D1とRoland FP-10:比較と総括
- KORG D1はスピーカーを内蔵しないが、Roland FP-10は内蔵する
- D1の鍵盤はKORG最上級のRH3、FP-10はPHA-4スタンダード鍵盤を採用する
- RH3鍵盤は低音部で重く高音部で軽くなるグランドピアノのようなタッチを再現する
- PHA-4鍵盤はグランドピアノに近い自然なタッチ感と重さが特徴である
- D1はBluetooth非対応だが、FP-10はBluetooth接続が可能である
- D1はUSB MIDI端子を持たず5ピンMIDI端子のみ、FP-10はUSB COMPUTER端子を持つ
- D1は16kgと重めだが、FP-10は12.3kgと軽量である
- D1は音色ボタンやボリュームノブで直感的な操作ができる
- FP-10はボタンと鍵盤の組み合わせで設定変更を行う
- D1は電源を切るとほとんどの設定が初期値に戻るという欠点がある
- FP-10は一部の設定を電源オフ後も保存できる機能を備える
- D1のオプションペダルはハーフペダルに連続検出対応、FP-10は3段階検出である
- D1はステージ使用を想定したLINE OUT端子を備える
- FP-10はRoland独自のSuperNATURAL音源でリアルで表現力豊かな音色を持つ
- D1の付属ペダルは安価な印象を与える