「ヤマハ CLP-825」についてお調べの皆様へ。この電子ピアノは、グランドピアノさながらの演奏体験を追求するヤマハClavinova CLP-800シリーズの新たなエントリーモデルとして、2024年11月5日に発売された。お手頃な価格帯でありながら、価格.comなどのレビューでもその本格的な性能が注目されている。
特に、CLP-825は新開発の音源チップによりグランドピアノらしい音質と幅広い表現力を実現し、さらにグランドピアノのように音に包まれる感覚を再現する音響システムを搭載している点が大きな特徴だ。
この記事では、CLP-825の詳しい仕様や、上位モデルであるCLP-835との違い、そして電子ピアノであるクラビノーバが何年くらい使えるのかといった疑問にもお答えする。ご自身のピアノ選びの参考に、ぜひご一読いただきたい。
- ヤマハClavinova CLP-800シリーズのエントリーモデルとして、2024年11月5日に発売されたこと
- 新開発の音源チップと改良された音響システムにより、グランドピアノのような音質と、グランドタッチ-エス™鍵盤およびグランドタッチ™ペダルによるリアルな演奏感を実現していること
- 上位モデルのCLP-835と比較して、スピーカー出力やバイノーラルサンプリングの対応音色数などでコストダウンを図りつつ、ピアノとしての基本性能を重視したモデルであること
- Bluetooth®接続や専用アプリ「スマートピアニスト」連携、音量制限機能、豊富な内蔵曲など、電子ピアノならではの便利な機能が備わっていること
ヤマハ CLP-825の魅力を徹底分析
- 最新モデルの基本情報と価格
- グランドピアノを追求した主要仕様
- 音響システムと音色の特徴
- 鍵盤とペダルの優れた操作感
- 実際に使用した人のレビュー評価
最新モデルの基本情報と価格

ヤマハが提供する電子ピアノ、CLP-800シリーズの中でも、CLP-825はエントリーモデルとして位置づけられている機種だ。しかし、このエントリーモデルであっても、グランドピアノのような豊かな演奏体験へのこだわりは上位機種からしっかり受け継いでいる。
CLP-825の基本仕様を見ると、まず本体の色/仕上げはニューダークローズウッド調とホワイトウッド調の2色が展開されている。特にホワイトウッド調は、CLP-800シリーズの中でCLP-825のみに設定されたカラーバリエーションであり、インテリアに合わせた選択肢が広がるだろう。
次に、本体のサイズだが、幅1,350mm、高さ849mm(譜面立てを倒した場合)、奥行き411mmというコンパクトな設計になっている。このコンパクトさから、リビングなど限られたスペースにも設置しやすい点は大きな利点だ。質量は45kgであり、他のCLP-800シリーズのモデル(CLP-835は57kg、CLP-845は60kgなど)と比較しても、軽量で比較的移動させやすいのも特徴と言える。
そして、CLP-825の購入を検討する上で欠かせないのが価格情報だ。2025年5月時点での価格推移グラフによれば、¥159,500という価格が維持されている。この価格帯は、本格的なグランドピアノの演奏感を電子ピアノで体験したいと考える多くの人にとって、非常に魅力的な選択肢となるだろう。
この価格でありながら、CLP-800シリーズの主要な特長やこだわりをしっかり継承している点は、CLP-825が単なる廉価版ではないことを示している。ヤマハが長年培ってきたグランドピアノ製造の知見と、最新のデジタル技術を組み合わせることで、手頃な価格帯でありながら質の高い演奏体験を提供することを目指しているのが、CLP-825の大きな魅力だと言える。
グランドピアノを追求した主要仕様
ヤマハCLP-825は、グランドピアノの表現力を徹底的に追求した電子ピアノである。その核となるのは、鍵盤、ペダル、そして音源技術の三位一体の進化にある。
まず、鍵盤には「グランドタッチ-エス™鍵盤」が採用されている。この鍵盤は、グランドピアノの鍵盤と同じ感覚で演奏できる優れたコントロール性を目指し開発された。指先に感じる荷重やその変化をつぶさに感じ取れるよう、ハンマーウェイトの重さや内部パーツの形状、素材、動き方などが最適化されている。タッチ感度は「ハード」「ミディアム」「ソフト」「固定」の4段階から選択でき、奏者の好みに合わせた細やかな調整が可能だ。これにより、打鍵の強さだけでなく、タッチの深さまで検出するセンサーアルゴリズムが改善され、奏者が意図する幅広い表現を可能にしている。速いパッセージや重厚な和音であっても、強弱やフレージング、細かなニュアンスが忠実に再現され、自然な弾き心地が得られるだろう。
次に、ペダルについてだが、CLP-825はダンパー、ソステヌート、ソフトの3本のペダルを搭載し、ハーフペダルにも対応している。特に「グランドタッチペダル」は、踏み込みと踏み戻しそれぞれの動作時に足先にかかる荷重の変化を再現することにこだわって設計されている。グランドピアノでは、ダンパー(弦の振動を止める装置)を持ち上げるために踏み込み時に多くの力が必要で、踏み戻す際には軽く感じるという特徴があるが、この感覚が再現されているため、より正確なペダリングが可能になり、繊細なニュアンスまで表現できる。
音源においては、ヤマハの最高峰グランドピアノ「CFX」と、世界的なピアノメーカーであるベーゼンドルファーの「インペリアル」からサンプリングされた音を使用している。さらに、グランドピアノの響板と弦の共鳴音を再現する「VRM(バーチャル・レゾナンス・モデリング)」や、鍵盤の押し始めから底につくまでのタッチの変化を再現する「グランド・エクスプレッション・モデリング」といった先進技術が組み合わされており、電子ピアノでありながら立体的で豊かな表現力を実現している。最大同時発音数は256音で、豊かな響きを存分に楽しめるだろう。
音響システムと音色の特徴
CLP-825の大きな魅力の一つは、グランドピアノの音に包まれるような臨場感を再現する音響システムと、その土台となる音色の豊かさにある。ヤマハは長年にわたり、グランドピアノの発音構造を研究し続けてきた。弦の振動が響板や筐体に伝わり、空間に音が放射されることで生まれる独特の響き、この物理現象を電子ピアノでいかに再現するかを追求してきたのだ。
CLP-825を含むCLP-800シリーズでは、グランドピアノの筐体全体が振動することで生まれるふくよかな共鳴音をリアルタイムにシミュレートしている。これを実現するため、音を全方位に広く拡散するディフューザーなどの音響部品の搭載や、壁からの反射音を間接音として活用するホーン構造の採用、さらにはスピーカーの上向き配置といった独自の音響構造の工夫が施されている。具体的には、12cmのディフューザー付スピーカーを2基搭載し、グランドピアノの音がどのあたりに、どのような成分で放射されるかを解析した上で、スピーカーの配置、向き、音量バランスを最適化している。この「グランドアコースティックイメージング」と呼ばれる技術により、電子ピアノでありながら空間全体への自然な音の広がりや奥行き感を再現し、グランドピアノの音場に近い状態を作り出しているのである。
音色そのものについても、ヤマハのグランドピアノ最高峰である「CFX」と、世界的に評価の高いベーゼンドルファーの「インペリアル」から丁寧にサンプリングされた音が内蔵されている。これらの高品質な音源に加え、「VRM(バーチャル・レゾナンス・モデリング)」と「グランド・エクスプレッション・モデリング」という二つの先進技術が、音色の表現力を飛躍的に高めている。VRMは、グランドピアノ特有の響板と弦の共鳴音を忠実に再現し、ダンパーペダルを踏んだ際の音の変化をリアルタイムでシミュレートする。一方、グランド・エクスプレッション・モデリングは、鍵盤を押してから離すまでのタッチの強さ、速さ、そして深さといった微細な違いを検出し、グランドピアノ内部で起こる物理現象によって生じる音色の変化を再現する。
たとえば、モーツァルトの速いパッセージを浅いタッチで弾けば、音が一つ一つしっかり分離し、コロコロと軽やかに響く。ダンパーペダルを踏みながら同じ音を連打する奏法では、弦の振動とハンマーの打弦がシミュレートされ、ベートーヴェンの『エリーゼのために』で求められる自然な音色変化まで表現できる。また、ドビュッシーの『月の光』のように緩いタッチから生まれる淡い音色と、くっきりとしたメロディーラインの輝きを両立させるなど、奏者の意図する細やかな表現を可能にしているのだ。
鍵盤とペダルの優れた操作感
電子ピアノの演奏において、鍵盤とペダルの操作感は、奏者の表現力に直結する重要な要素である。ヤマハCLP-825は、この「奏者と楽器の接点」に徹底的にこだわり、グランドピアノさながらの優れた演奏性を実現している。
鍵盤には「グランドタッチ-エス™鍵盤」を採用している。この鍵盤は、従来の電子ピアノが打鍵の「強さ」で音の強弱を表現するに留まっていたのに対し、打鍵の「深さ」まで検出できるセンサーアルゴリズムに改善されている。これにより、鍵盤を押し込む深さに応じた音色の違いを表現できるようになり、奏者の繊細なタッチが音色や表情に忠実に反映されるようになった。クラシックピアニストの感性に応えるべく、「薄氷を割るような初動」「琥珀色の音が出るタッチ」といった詩的な要件までをデジタル技術に落とし込めるのは、ヤマハが120年以上にわたるピアノ製造で培ってきた豊富な知識と経験の賜物だと言える。
グランドピアノの鍵盤を演奏する際、奏者は指先に二種類の荷重を感じている。一つは鍵盤を押し始めてハンマーが弦を打つまでの荷重、もう一つはハンマーが弦を打った瞬間の荷重だ。CLP-825のグランドタッチ-エス™鍵盤では、ハンマーウェイトの重さを最適化し、指にかかる絶対的な荷重量をグランドピアノのアクションに近いものにすることで、この独特の感触を再現している。実際に速いスタッカートで連打しても、鍵盤の戻りが非常にスピーディーで指が動かしやすく、強弱を含めた打鍵のニュアンスが忠実に再現されるため、非常に心地よい演奏感を得られるだろう。
ペダルもまた、グランドピアノの操作感を追求している。CLP-825に搭載されている「グランドタッチペダル」は、踏み込み・踏み戻しの際に足先にかかる荷重の変化を再現することに注力した。グランドピアノのペダルは、踏み込む際にダンパーを持ち上げるため、より多くの力が必要で、踏み戻す際は軽くなるという特徴がある。この物理現象による足先の荷重の変化を再現することで、奏者は狙った深さでペダルを保持しやすくなり、繊細なニュアンスを意図した通りに表現することが可能になった。ハーフペダルはもちろんのこと、1/4、1/3といったごく浅いペダリングまで可能になったため、ショパンのノクターンなどで求められるような、きめ細やかな表現も存分に楽しめる。
実際に使用した人のレビュー評価

ヤマハCLP-825は、CLP-800シリーズのエントリーモデルとして、多くのユーザーから注目を集めている。実際にこのモデルを使用した人々の声は、その性能や使い心地を具体的に理解する上で貴重な情報となるだろう。
あるユーザーはCLP-825について、「電子ピアノでも綺麗でしっかりした音が響くことに感動しました」と述べている。このコメントは、CLP-825がコンパクトなボディながら、ヤマハが追求するグランドピアノさながらの音響システムと音源技術がしっかりと活かされていることを示唆している。音質の良さは、演奏の楽しさを大きく左右する要素であり、この評価は多くのピアノ愛好家にとって魅力的だろう。
さらに、そのユーザーは「子供がピアノの練習をするのに申し分なく、名曲集やレッスン曲がたくさん入っているところも気に入っています」ともコメントしている。これは、CLP-825が単なる演奏楽器としてだけでなく、教育ツールとしての側面も高く評価されていることを物語る。豊富な内蔵曲やレッスン曲は、特にピアノを始めたばかりのお子さんや独学で練習する大人にとって、大きな助けとなるだろう。
また、「あまり場所も取らず、リビングに置いて楽しんでいます」という感想も寄せられている。前述の通り、CLP-825は他のCLP-800シリーズのモデルと比較してもコンパクトな設計であり、日本の住環境において設置のしやすさは重要なポイントだ。**「電子ピアノでも綺麗でしっかりした音が響く」という音質と、「あまり場所を取らない」**という設置性の両立は、CLP-825が日常生活にピアノ演奏を取り入れたいと考える層に強く響く要素と言えるだろう。
上位機種であるCLP-835のレビューにおいても、「クッキリハッキリしていて、特に低音部は非常に心地よく響く」という音質に関する高評価が見受けられる。CLP-825と835は共通する音源技術も多いため、この傾向はCLP-825にも当てはまる部分があるかもしれない。ただし、CLP-825は上位機種と比較してスピーカーシステムや機能が一部絞られている点には注意が必要だ。例えば、CLP-835はフルドットLCDディスプレイを搭載しているが、CLP-825にはディスプレイがない。そのため、より視覚的な操作性を求める場合は、上位機種も検討すると良いだろう。しかし、CLP-825が「上位機種と比較すれば機能は絞られているものの、CLP-800シリーズのこだわりをしっかり継承している」というヤマハの言葉通り、エントリーモデルとしての十分なスペックを備えていることは、多くのレビューからも読み取ることができる。
ヤマハ CLP-825を選ぶ視点
- CLP-825と835の違いは何ですか?
- 演奏をサポートする便利機能
- 購入前に知るべき注意点
- クラビノーバは何年くらい使えますか?
- CLP-825はどんな人におすすめか
- まとめ:ヤマハCLP-825の総合的な価値
- ヤマハ CLP-825:グランドピアノの感動を身近にするエントリーモデル
CLP-825と835の違いは何ですか?
ヤマハのクラビノーバCLP-800シリーズの中で、CLP-825とCLP-835は比較的近いモデルとして位置づけられているため、両者の違いを理解することは、購入の際に重要な判断材料となる。両モデルは、CLP-800シリーズのエントリー層を担う機種ではあるものの、いくつか明確な相違点が存在する。
まず、最も顕著な違いは、本体の「サイズ」と「質量」だろう。CLP-825は幅1,350mm、高さ849mm、奥行き411mm、質量45kgであるのに対し、CLP-835は幅1,450mm、高さ927mm、奥行き460mm、質量57kgとなっている。CLP-825の方が一回りコンパクトで軽量であり、設置スペースに制約がある場合や、将来的に移動の可能性がある場合には、CLP-825がより適していると言える。
次に、鍵盤のタッチ感度にも違いがある。両モデルともに「グランドタッチ-エス™鍵盤」を採用している点は共通しているものの、CLP-825のタッチ感度は「ハード、ミディアム、ソフト、固定」の4段階であるのに対し、CLP-835は「ハード2、ハード1、ミディアム、ソフト1、ソフト2、固定」と、より細やかな6段階の調整が可能だ。この違いは、奏者の好みや習熟度に合わせてよりきめ細かく鍵盤の重さを調整したい場合に影響するだろう。
さらに、操作パネルとディスプレイにも違いがある。CLP-835はフルドットLCDディスプレイを搭載し、ボタンによる操作が可能だ。一方、CLP-825にはディスプレイが搭載されておらず、パネル言語も英語のみである。これにより、CLP-825はよりシンプルな操作性を持ち、演奏に集中できるミニマルなデザインとなっている。
前述の通り、CLP-825はディスプレイがない分、操作は主に鍵盤を使ったファンクション操作が中心となるが、基本的な演奏機能には影響がない。また、価格については、CLP-825が約159,500円であるのに対し、CLP-835は税抜価格180,000円から(税込198,000円)となっている。この価格差は、上記の機能差とサイズ差が反映されたものと考えられる。
スピーカーシステムにも違いがある可能性がある。CLP-835のレビューでは「フルレンジスピーカー2つのみ搭載」と記述があり、CLP-845が2ウェイ4スピーカーを搭載しているのと比較されている。CLP-825のスピーカーは「12cm ディフューザー付 × 2」と明記されている。これはCLP-835と似た構成であり、CLP-845のような多スピーカーによる音響の広がりとは異なるかもしれない。
結論として、CLP-825はコンパクトさと手頃な価格を重視しながら、グランドピアノの演奏感を追求したい人に最適な選択肢と言える。一方、CLP-835は、よりきめ細やかなタッチ感度調整やディスプレイによる視覚的な操作性を求める場合に、検討する価値のあるモデルとなるだろう。
演奏をサポートする便利機能

ヤマハCLP-825は、グランドピアノに迫る演奏感だけでなく、電子ピアノならではの便利な機能も充実しており、日々の練習や演奏を強力にサポートしてくれる。
まず、内蔵曲の豊富さが挙げられる。CLP-825には、音色デモ10曲に加え、クラシック名曲50選とレッスン曲303曲がプリセットされている。クラシック名曲集にはJ.S.バッハの「カノン」やL.v.ベートーヴェンの「エリーゼのために」、F.F.ショパンの「ノクターン第20番」などが含まれ、レッスン曲としてはバイエル、ブルグミュラー、チェルニー、ハノンといった主要な教則本に対応した楽曲が収められている。これにより、楽譜だけでは掴みにくい曲のイメージを、実際に音を聞いてから練習に取り組めるため、独学で学ぶ人や子供の練習において非常に役立つだろう。パートを指定して片手練習をすることも可能で、効率的な学習を促す。
また、現代のスマートデバイスとの連携機能も充実している。全モデルに搭載されたBluetooth機能により、スマートデバイス内のオーディオデータをCLP-825のスピーカーで再生することが可能だ。これにより、お気に入りの曲を流しながら一緒に演奏したり、伴奏に合わせて練習したりと、楽しみ方が広がる。さらに、ヤマハの無料アプリ「スマートピアニスト」とワイヤレスで接続すれば、楽器の各種操作を手元のスマートデバイスから行える。内蔵曲の楽譜表示はもちろんのこと、市販のPDF楽譜をアプリに読み込ませて、その曲をCLP-825で再生することもできるため、より直感的に、かつ効率的に練習を進められる。
ヘッドホン使用時の臨場感にも配慮されている。CLP-825では、ヘッドホン使用時に臨場感のある音を楽しめるよう、「バイノーラルサンプリング」(「CFX グランド」の音色のみ対応)と「ステレオフォニックオプティマイザー」の2つの方式を採用している。バイノーラルサンプリングは、奏者の耳と同じ位置にマイクを備え付け、聞こえてくるピアノの音をそのままサンプリングする方式で、ヘッドホンを通して聞いてもまるでピアノ本体から音が響いてくるような感覚を味わえる。これにより、夜間の練習であってもヘッドホンをしていることを忘れるほどの自然な音の広がりで、演奏に没入できるだろう。
その他にも、演奏のタイミングをサポートするメトロノーム機能や、演奏を録音・再生できる機能(約11,000音符の記憶容量)、2つの音色を重ねて演奏するデュアル機能、二人で一緒に弾けるデュオ機能、残響効果を調整するリバーブ機能、曲の調を変えるトランスポーズ機能、音の高さを微調整するチューニング機能などが搭載されている。さらに、小さなお子様でもペダルの練習ができるよう、補助ペダルとして使用できるオプションペダル「FC35」にも対応しており、幅広いユーザー層に対応できる機能が備わっている。
購入前に知るべき注意点
ヤマハCLP-825は魅力的な電子ピアノだが、購入前にいくつか知っておくべき注意点も存在する。これらを事前に把握することで、より納得のいく選択ができるだろう。
まず、CLP-825がCLP-800シリーズのエントリーモデルであるという点だ。前述の通り、上位機種と比較すると機能が一部絞られている。例えば、CLP-825にはディスプレイが搭載されていないため、音色選択や各種設定はボタンと鍵盤の組み合わせで行う必要があり、視覚的な操作を重視する人にとっては不便に感じるかもしれない。また、スピーカーシステムも上位機種とは異なる場合があり、聴き比べると音の広がりや奥行き感に差を感じる可能性がある。これらの違いを理解した上で、自身のニーズに合致するかどうかを検討することが重要だ。
次に、電子機器としての一般的な取り扱い上の注意点だ。CLP-825は精密な電子機器であるため、極端な温湿度変化や結露には注意が必要である。水滴が付いた場合は、木部が水分を吸収して変形する原因となるため、すぐに柔らかい布で拭き取ることが推奨されている。また、ベンジンやシンナー、アルコール、洗剤、化学ぞうきんなどの使用は、変色や変質の原因となるため避けるべきだ。長期間使用しない場合は、火災や故障の原因となる可能性があるため、必ずコンセントから電源プラグを抜くことが推奨されている。
安全上の注意も忘れてはならない。本製品を分解したり改造したりすることは、感電や火災、けが、または故障の原因となるため、絶対に行ってはならない。不安定な場所や振動の多い場所に設置すると、転倒して故障したり、けがをしたりする恐れがあるため、安定した平らな場所に設置することが大切だ。また、本製品を持ち運ぶ際は、必ず2人以上で行い、全ての接続ケーブルを外してから移動するように注意喚起されている。
さらに、電子ピアノならではの音に関する特性もある。ピアノ音色では、ピアノ本来の音を忠実に再現しようとしているため、音域により倍音が強調されて聞こえるなど、音の高さや音質が異質に感じる場合があるが、これは異常ではないとされている。また、鍵盤を弾いた際に機構音がカタカタ鳴ることがあるが、これはピアノの鍵盤機構をシミュレートした結果であり、グランドピアノでも同様の機構音が発生するため、異常ではない。これらは製品の特性として理解しておくべき点と言える。
最後に、データ保存に関する注意点も確認しておきたい。一部のデータは自動的に保存され、電源を切っても消えないが、故障や誤操作などにより失われる可能性もある。重要な録音データなどは、定期的にバックアップを取るなどの対策を講じることが賢明だろう。
クラビノーバは何年くらい使えますか?
電子ピアノの購入を考える際、気になるのが製品の寿命だろう。クラビノーバCLP-825を含む電子ピアノは、アコースティックピアノとは異なる構造を持つため、その寿命についても理解しておくことが大切だ。
一般的に、電子ピアノの寿命は10年から15年程度と言われている。しかし、これはあくまで目安であり、実際のところは使い方やメンテナンスの方法によって大きく異なる。一部のユーザーからは、20年以上使用している例も報告されており、ミュージカルスクープのサラ・バーロウ氏の記事には、電子ピアノの平均寿命が20年から50年という記述も見られる。このことから、適切なケアを施せば、予想以上に長く使用できる可能性を秘めていると言えるだろう。
クラビノーバを長く快適に使うためには、いくつかのメンテナンスのポイントがある。まず、日頃からほこりが付かないように注意することだ。電子ピアノは内部に精密な電子部品を搭載しており、ほこりが溜まると故障の原因となる場合がある。そのため、使用しない時は鍵盤蓋を閉めたり、市販のピアノカバーをかけたりするなど、ほこり対策を講じることが望ましい。また、こまめに柔らかい布で表面を拭き、清潔に保つことも重要だ。
次に、設置場所にも配慮が必要である。極端に温度や湿度が変化する場所に置くことは避けるべきだ。例えば、直射日光が当たる場所やエアコンの風が直接当たる場所、湿気の多い浴室の近くなどは避けるべきだろう。温度や湿度の急激な変化は、本体表面に結露を引き起こすことがあり、そのまま放置すると木部が水分を吸収して変形する原因にもなりかねない。結露した場合は、速やかに柔らかい布で拭き取ることが大切だ。
さらに、ヤマハは補修用性能部品の最低保有期間を、製品の製造終了後8年と定めている。これは、万が一故障した場合に、部品が供給され修理が可能であることを保証する期間だ。この期間を過ぎても修理が全くできないわけではないが、部品の供給が難しくなる可能性があることを意味する。
トラブルが発生した際には、まず取扱説明書に記載されている「困ったときは」の項目を確認することが推奨されている。それでも解決しない場合は、購入した販売店、またはヤマハ修理ご相談センターに相談することになる。保証期間内であれば無償修理の対象となるが、保証期間経過後の修理は有料となる。
総じて、CLP-825の寿命は、日々の使い方と適切なメンテナンスに大きく左右される。これらを意識することで、クラビノーバを長く愛用し、ピアノ演奏を存分に楽しむことができるだろう。
CLP-825はどんな人におすすめか

ヤマハCLP-825は、CLP-800シリーズのエントリーモデルという位置づけでありながら、その価格帯を超えた高いクオリティと機能性を備えているため、幅広い層のピアノユーザーにおすすめできる。
まず、これからピアノを始めるお子様のレッスン用として非常に適している。前述の通り、CLP-825はグランドピアノのような自然なタッチ感と豊かな音色を再現しており、正しい演奏技術や表現力を身につける上で理想的な環境を提供する。さらに、クラシック名曲50選やバイエル、ブルグミュラー、チェルニー、ハノンといった教則本に対応したレッスン曲が303曲も内蔵されているため、自宅での練習が効率的に進められるだろう。子供が飽きずに楽しく練習を続けられる工夫が随所に凝らされている点は、保護者にとっても魅力的なポイントだ。
次に、趣味でピアノ演奏を楽しみたい大人の方にも強く推奨できる。コンパクトなサイズと比較的軽量なボディは、リビングなど限られたスペースへの設置を容易にし、気軽にピアノ演奏を日常生活に取り入れたいと考える人にとって魅力的だ。Bluetooth機能を使えば、スマートフォンやタブレットから好きな音楽を流しながら一緒に演奏したり、ヤマハの「スマートピアニスト」アプリで楽譜を表示させながら練習したりと、多様な楽しみ方が可能になる。夜間でもヘッドホンを使えば周囲を気にすることなく、グランドピアノさながらの臨場感で演奏に没頭できるため、仕事や家事の合間のリフレッシュにも最適だろう。
そして、すでにアコースティックピアノを所有している人の「2台目のピアノ」としても、CLP-825は優れた選択肢となる。プロのピアニストである米津真浩さんも、CLP-800シリーズについて、夜間にヘッドホンで練習したいときなど、セカンドチョイスとして十分に使えると述べている。アコースティックピアノの演奏と電子ピアノの演奏の違いが非常に小さくなっていると評されるほど、CLP-825はグランドピアノに近いタッチ感と音色表現力を持っている。そのため、自宅での練習環境とレッスン環境のギャップを埋め、日々の練習で質の高い表現力を身につけたいと考える人にとって、非常に心強い存在となるだろう。
価格を抑えつつも、グランドピアノに迫る演奏体験を求める層、インテリアに馴染むデザインやコンパクトさを重視する層、そして豊富な練習サポート機能を活用したい層に、CLP-825は特におすすめできる電子ピアノだ。
まとめ:ヤマハCLP-825の総合的な価値
ヤマハCLP-825は、クラビノーバCLP-800シリーズのエントリーモデルとして、多くのピアノ愛好家や学習者にとって非常に魅力的な選択肢となる一台である。このモデルは、手頃な価格帯でありながら、ヤマハが長年培ってきたグランドピアノ製造の知見と、最新のデジタル技術を融合させることで、本格的な演奏体験を提供している。
CLP-825の最大の価値は、そのグランドピアノのような豊かな演奏感にある。グランドタッチ-エス™鍵盤は、打鍵の強弱だけでなく、深さやニュアンスまでを忠実に再現し、奏者の指先の微細なコントロールを音色に反映させる。グランドタッチペダルもまた、グランドピアノのペダリング時の荷重変化を再現し、ハーフペダルはもちろん、ごく浅いペダリングまで可能にすることで、表現の幅を大きく広げている。
音源面では、ヤマハ最高峰のCFXとベーゼンドルファー・インペリアルという2つのグランドピアノの音をサンプリングし、VRMとグランド・エクスプレッション・モデリングといった先進技術が組み合わさることで、リアルタイムに変化する豊かな共鳴音や、タッチによる繊細な音色変化を実現している。これにより、電子ピアノでありながら、まるでグランドピアノの前に座っているかのような、立体的な音の広がりと奥行き感を味わえる音響システムが実現されているのだ。
さらに、電子ピアノならではの利便性もCLP-825の大きな魅力だ。豊富な内蔵曲やレッスン曲は、特に初心者や子供の練習を強力にサポートし、Bluetoothや「スマートピアニスト」アプリとの連携機能は、現代のライフスタイルに合わせた多様な練習方法や楽しみ方を提供する。ヘッドホン使用時のバイノーラルサンプリングは、周囲を気にせず没入感のある練習を可能にし、音量制限機能は聴覚保護にも配慮されている。
確かに、上位機種と比較するとディスプレイの有無や鍵盤のタッチ感度調整の段階など、一部の機能が絞られている点は考慮すべきだ。しかし、CLP-825は、そうした制約がありながらも、CLP-800シリーズの**「グランドピアノさながらの演奏体験」という核心部分をしっかりと継承**している。
結論として、ヤマハCLP-825は、コンパクトで設置しやすく、手頃な価格でありながら、グランドピアノの本格的な演奏感を求める初心者から経験者まで、幅広いユーザーにおすすめできる電子ピアノだ。日々の練習を充実させたい子供から、趣味としてピアノを楽しみたい大人、そしてアコースティックピアノのサブ機を探しているプロフェッショナルまで、多くの人がCLP-825を通して、心ゆくまでピアノ演奏の喜びを味わうことができるだろう。
ヤマハ CLP-825:グランドピアノの感動を身近にするエントリーモデル
- ヤマハCLP-800シリーズのエントリーモデルとして、2024年11月5日に発売された
- 120年以上にわたるアコースティックピアノづくりの職人技と最新デジタル技術を融合し、グランドピアノさながらの演奏体験を追求している
- 新開発の音源チップにより、グランドピアノらしい音質と幅広い表現力を実現している
- 音響システムを見直し、グランドピアノのように豊かな響きに包まれる感覚を再現している
- 鍵盤にはグランドタッチ-エス™鍵盤を、ペダルにはグランドタッチ™ペダルを採用し、高い演奏性を誇る
- グランドタッチ-エス™鍵盤はハンマーウェイトの重さを最適化し、エスケープメント機構を備えている
- グランドタッチ™ペダルは、踏み込み・踏み戻し時の荷重変化をグランドピアノと同様に再現し、繊細なペダリングを可能にしている
- ヤマハ「CFX」とベーゼンドルファー「インペリアル」という2つのコンサートグランドピアノの音色を搭載する
- ヘッドホン使用時は、ヤマハ「CFX」音色にバイノーラルサンプリング技術が適用され、自然な音響体験を提供する
- Bluetooth®オーディオ/Bluetooth®MIDI機能を搭載し、スマートデバイスからの音楽再生やアプリ連携ができる
- 無料アプリ「スマートピアニスト」とワイヤレス接続し、楽器操作や楽譜表示、練習サポートが可能
- 聴覚保護のための最大音量制限機能や、オプションの補助ペダルFC35への対応など、電子ピアノならではの便利な機能を備えている
- クラシック名曲50選に加え、ハノン、バイエル、チェルニー、ブルグミュラーなど教則本から303曲を内蔵している
- 本体には2トラックのMIDI録音機能が搭載されており、自分の演奏を手軽に記録できる
- CLP-800シリーズで唯一、温かみのあるホワイトウッド調のカラーバリエーションを展開し、ニューダークローズウッド調も選択可能