ヤマハClavinova CLP-885レビュー:最上位モデルが実現するグランドピアノ体験

clp-885 YAMAHA

clp 885 レビュー」を求めるあなたへ。ヤマハClavinova CLP-885は、グランドピアノの演奏体験を追求した最上位モデルです。アコースティックピアノに迫るリアルな音響システムと豊かな表現力に加え、グランドピアノさながらの鍵盤タッチとペダリングの繊細なコントロールを実現。VRMやGrand Expression Modelingなど新技術で、比類なき没入感をお届けします。

この記事のポイント
  • アコースティックピアノに限りなく近い鍵盤のタッチとペダルの操作感
  • VRMやGrand Expression Modelingといった新技術による、アコースティックピアノさながらの豊かな表現力と共鳴音の再現
  • グランドアコースティックイメージングなど新音響システムによる、空間に広がる立体的で自然なピアノサウンド
  • Smart Pianistアプリ連携や内蔵レッスン曲など、演奏学習を強力にサポートする多機能性

CLP-885徹底レビュー:進化した魅力

インデックス
  • 臨場感あふれる音源、音響システム
  • グランドピアノに迫る鍵盤の秘密
  • 繊細な表現を可能にするペダル
  • アコースティックを意識したデザイン
  • Bluetooth®オーディオ機能で連携
  • スマートピアニストアプリを活用

臨場感あふれる音源、音響システム

clp-885

ヤマハのCLP-885は、コンサートグランドピアノの最高峰であるヤマハCFXとベーゼンドルファーインペリアルの音源を搭載している。これに加え、バーチャル・レゾナンス・モデリング(VRM)という独自の音源技術により、弦やピアノ本体の共鳴、さらには鍵盤やペダルの動きが音に与える影響までをリアルタイムでシミュレーションする。これにより、電子ピアノでありながら、アコースティックピアノのような豊かな響きや、演奏の繊細なニュアンスまで再現できるようになった。

音響システムにおいても、ヤマハは長年の楽器製造とプロオーディオ分野で培った技術を投入している。CLP-885では、音響技術者が開発チームに参加し、国内最大級の無響室でグランドピアノの音の放射特性を詳細に解析した。この解析に基づき、低域、中域、高域それぞれに特化した専用スピーカー(3ウェイ6スピーカー)が最適に配置されている。さらに、音を広範囲に拡散するディフューザーや、壁からの間接音を活用するバイディレクショナルホーンが採用され、空間全体を音で包み込むような立体的な音場が実現している。

実際に演奏すると、その音の広がりと奥行きは目を見張るものがあり、まるでグランドピアノを弾いているかのような臨場感を味わえる。従来の直線的な電子ピアノの音とは異なり、周囲の空間を活用した自然で落ち着いた響きが特徴だ。しかし、ヘッドホンでの使用に関しては、MusicRadarのレビューで、他のヤマハモデルと比較して低音域のレスポンスが不足し、全体的なサウンドが薄く感じられるという意見も存在する。この点は、ヘッドホンでの音のバランスを重視するユーザーにとって検討すべき点かもしれない。一方で、バイノーラルサンプリング技術により、ヘッドホン使用時でも臨場感のある自然な音の広がりが体験できる機能も搭載されている

グランドピアノに迫る鍵盤の秘密

CLP-885の鍵盤は、グランドピアノの演奏感を極限まで追求した「グランドタッチ鍵盤」と「88鍵リニアグレードハンマー」を採用している。この鍵盤は、実際のグランドピアノのように、88鍵すべての鍵盤がそれぞれ異なる重みと戻りの感触を持つように設計されている。これにより、ピアニッシモのようなごく弱いタッチでの演奏時でも、その繊細なニュアンスを正確に表現できる。

さらに、鍵盤の奥側でも自然なタッチで演奏できるよう、鍵盤の力点から支点までの距離が、ヤマハのグランドピアノC3Xの機構と同じ長さに設定されている。これは、鍵盤の根元に近い場所を弾く際に生じる不自然な重さを解消し、よりスムーズな演奏を可能にするための工夫である。鍵盤のセンサーも改良され、鍵盤を完全に押し込まない浅いタッチにも正確に反応するようになったため、速いパッセージの曲でも、指にストレスを感じることなく、思い通りの表現ができるようになった。例えば、トルコ行進曲のような素早い動きが求められる楽曲でも、鍵盤がしっかりと追従し、演奏者の意図を忠実に音に反映させる。

鍵盤内部には、グランドピアノの鍵盤にも搭載されている「カウンターウェイト(おもり)」が、全88鍵に細かく調整されて配置されている。これにより、鍵盤を押す強さや離すスピードといった微妙なタッチの違いに応じて、音色も多彩に変化する。プロのピアニストである米津真浩氏も、これまでの電子ピアノとアコースティックピアノの間に存在していた弾き方の違いが、CLP-800シリーズによって非常に小さくなっていると評価している。これは、電子ピアノで本格的なタッチ感を習得したいと考えている初心者から、表現の幅を広げたい上級者まで、幅広い層にとって大きなメリットと言えるだろう

繊細な表現を可能にするペダル

CLP-885は、グランドピアノのペダリングを忠実に再現するために、「グランドタッチペダル」を全モデルで採用している。このペダルは、単に音を伸ばすだけでなく、踏み込み始める際の軽さから、ペダルの効果が出始める位置での重さ、そしてペダルを離す際の軽さといった、グランドピアノ特有の荷重変化を再現している。これにより、演奏者はペダルの深さに応じた繊細な音色の変化を意図通りにコントロールでき、より豊かな表現が可能となる。

特に、CLP-885およびCLP-875に搭載されている「GPレスポンスダンパー」は、ダンパーペダルの踏み込んだ際の抵抗感と、それによって生じる音色の変化をより正確に連動させている。この機能は、グランドピアノで練習する際に非常に重要なハーフペダルの感覚を養うのに役立つ。例えば、ドビュッシーの楽曲で求められるような、音が重なり合うような複雑な響きや、微妙な余韻のコントロールも、このペダルによって再現できる。

また、CLP-885では、ボイスメニューを通じてペダルの機能を変更できる柔軟性も備えている。標準的なサステイン(連続)、ソステヌート、ソフトペダル機能に加えて、ピッチベンドアップ/ダウン、ロータリースピードの切り替え、ビブラートのオン/オフなど、多彩な機能を割り当てることが可能だ。これにより、演奏スタイルや楽曲の特性に合わせて、よりカスタマイズされた演奏環境を構築できる。ペダルが効かない場合の注意点として、ペダルコードのプラグが[PEDAL]端子にしっかりと差し込まれているかを確認することが重要だ。正確な接続がされていないと、ペダル機能が正常に動作しない可能性がある。

アコースティックを意識したデザイン

clp-885

CLP-885のデザインは、アコースティックピアノの美しさと機能性を融合させることに注力している。全体的に曲線が多く用いられ、温かみと大らかさを感じさせるフォルムが特徴だ。これにより、電子ピアノでありながら、リビングなど様々な部屋のインテリアに自然と調和する品格と存在感を持つ。

特に注目すべきは、鍵盤周りのデザインである。CLP-885の鍵盤蓋は、アコースティックピアノと同様の回転式を採用しており、譜面板周りの部品を減らすことで、すっきりとした印象を与えている。さらに、前脚の位置をやや奥にすることで、グランドピアノのように鍵盤が宙に浮いているかのような視覚効果を生み出している。これは演奏者の集中力を高めるだけでなく、見た目にも美しいデザインを実現するヤマハのこだわりと言える。

譜面台に関しても、CLP-845以上のモデルではより広くなり、複数の楽譜を広げやすくなっている。CLP-875の譜面台は幅約82cmで、A4サイズの楽譜が縦向きで3枚半並べられる広さがある。操作パネルはタッチセンサー式で、一定時間操作しないとボタン表示が消灯する仕組みが採用されているため、演奏中は視覚的な妨げが少なく、よりピアノらしい雰囲気を保てる。CLP-885は、幅1,461mm、奥行き494mm、高さ1,027mm(譜面立てを倒した状態)というサイズ感であり、そのエレガントな外観は、クラシックなブラック(B)と黒鏡面艶出し(PE)の2色展開で提供されている。これらのデザイン要素は、CLP-885が単なる練習用楽器ではなく、生活空間に溶け込む上質な一台として設計されていることを示唆している

Bluetooth®オーディオ機能で連携

CLP-885は、現代のデジタルライフスタイルに合わせた利便性の高い機能として、Bluetooth®オーディオ機能を搭載している。この機能により、お手持ちのスマートフォンやタブレットなどのBluetooth対応デバイスをCLP-885とワイヤレスで接続し、CLP-885本体の高性能スピーカーから音楽を再生することが可能だ。これにより、普段聴いているお気に入りの楽曲を、電子ピアノの豊かな音響システムで楽しむことができる。

さらに、Bluetooth®オーディオ機能は、音楽鑑賞だけでなく、練習にも活用できる。例えば、スマートデバイスで再生した伴奏に合わせて演奏したり、好きな曲を流しながら一緒にセッションしたりと、練習の幅が広がる。これは、特に楽しみながら練習を続けたい初心者や、多様なジャンルの音楽を演奏したいと考えているユーザーにとって、大きなメリットとなるだろう。Bluetooth®機能のオン/オフは、システムメニューから簡単に設定でき、ペアリング操作も直感的に行えるように設計されている。CLP-885/CLP-875では本体のBluetoothボタンを、CLP-845/CLP-835ではMENUボタンを3秒間長押しすることでペアリング待機状態になる。

最大8台のBluetooth対応オーディオプレーヤーとペアリングできるため、家族それぞれが自分のデバイスを接続して利用するといった使い方も可能だ。ただし、同時に接続できるのは1台のみである点には注意が必要だ。Bluetooth®通信は2.4GHz帯を使用するため、電子レンジや他の無線LAN機器など、同じ周波数帯を使用する機器が近くにある場合、通信速度や通信距離が低下したり、通信が途切れたりする可能性がある。そのため、安定した接続を確保するためには、周囲の電波環境に配慮することも考慮したい

スマートピアニストアプリを活用

ヤマハが提供する無料のアプリケーション「スマートピアニスト」は、CLP-885の機能をさらに拡張し、ピアノ演奏をより豊かで楽しいものにする。このアプリはスマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスにインストールすることで、CLP-885と連携し、さまざまな便利機能を利用できるようになる。

アプリの大きな魅力は、その直感的な操作性にある。CLP-885本体の操作パネルに加え、スマートデバイスの大きな画面で設定内容を確認しながら操作できるため、初めて電子ピアノを使う人でも迷うことなく、音色変更やリバーブ設定、メトロノームの調整などを簡単に行える。これにより、演奏に集中しやすくなり、より快適な練習環境を構築できるだろう。

スマートピアニストアプリは、練習のサポート機能も充実している。例えば、内蔵されている「クラシック名曲50選」や「レッスン曲303曲」(バイエル、ブルグミュラー、ツェルニー、ハノンなど)の楽譜をスマートデバイス上に表示させることができる。楽譜を見ながらの練習はもちろんのこと、片手ずつの練習機能も利用できるため、効率的な上達を促す。また、演奏したMIDIデータをスマートデバイスに録音する機能も備わっており、自分の演奏を客観的に聞き返すことで、改善点を見つけやすくなる

CLP-885とスマートピアニストの接続方法は、Bluetooth® MIDI接続のほか、USBケーブルや別売りのUSB無線LANアダプター「UD-WL01」を使用したWi-Fi接続も可能だ。これにより、ユーザーの環境やニーズに合わせて最適な接続方法を選べる柔軟性がある。ただし、Bluetooth®接続ではオーディオ録音はできないため、オーディオ録音を行いたい場合はUSBケーブルまたはWi-Fiでの接続が必要になる点には留意したい

ヤマハCLP-885レビュー:多角分析

インデックス
  • 高音質オーディオとしての実力
  • 多彩な録音機能:MIDI録音
  • 初心者から上級者まで対応
  • CLP-885が選ばれる理由
  • 導入する際の注意点と価格
  • CLP-885レビュー総括

高音質オーディオとしての実力

clp-885

ヤマハは長年にわたり、単なる楽器メーカーとしてだけでなく、世界的に著名なオーディオ(音響)メーカーとしての地位を確立している。コンサートホールや劇場向けのプロオーディオシステム、そしてホームシアターやオーディオ機器の開発において、その高い技術力と実績は広く知られている。CLP-885は、このヤマハのオーディオ技術を惜しみなく投入して開発された電子ピアノであり、楽器としての完成度だけでなく、高品質なオーディオ機器としても優れた実力を持つ

CLP-885の音響システムは、開発チームに音響技術者が加わり、国内最大級の無響室でグランドピアノの音の放射特性を徹底的に解析して設計された。その結果、音を広範囲に拡散するディフューザーや、壁からの反射音をも活用するバイディレクショナルホーンといった先進的な技術が採用された。これらの工夫により、CLP-885は音の広がり感を飛躍的に向上させ、空間全体を音で包み込むような立体的なサウンドを実現している。

実際に、CLP-885にiPhone 15 Pro MaxをUSB接続し、Apple Musicのハイレゾ音源を再生するテストが行われたところ、その音質は非常に高く評価された。ピアノや弦楽の音源では情報量が豊富で、高音域がクリアに伸び、低音域も不足することなく、非常に聴きやすい再生音であったという。また、POPS楽曲の再生時には、ミドルレンジがしっかりと鳴り、楽曲のボディ感が鮮明に伝わることで、ハイレゾ音源に十分対応できる性能を持つことが示された。

USBオーディオインターフェース機能を使用すれば、44.1kHz、24ビット、ステレオでの再生が可能だ。このため、CLP-885は単に電子ピアノとしてだけでなく、高性能なオーディオシステムとしても活用できる点が、ユーザーにとって大きな魅力となる。電子ピアノとオーディオ鑑賞の両方を楽しみたいユーザーにとって、CLP-885は非常に優れた選択肢となるだろう。

多彩な録音機能:MIDI録音

CLP-885は、演奏を記録するための多様な録音機能を備えており、特にMIDI録音は練習や創作活動において非常に役立つ。この機能を使えば、演奏した内容を楽器本体の内蔵メモリー、またはUSBフラッシュメモリーにSMF(スタンダードMIDIファイル)フォーマット0として保存できる。MIDIデータはオーディオデータに比べてデータ容量が格段に小さいため、長時間の演奏や多数の曲を気軽に保存できる点が大きなメリットである。

MIDI録音の最大の利点の一つは、その編集のしやすさにある。例えば、右手パートと左手パートを別々に録音し、それぞれを重ねていく「多重録音」が可能だ。これにより、一人で連弾曲を演奏したり、伴奏パートとメロディパートを分けて練習し、後で一つの曲として完成させたりといった使い方ができる。また、録音済みのMIDIソングの特定の部分だけを録音し直す「部分的な録音のやり直し」機能も搭載されており、完璧な演奏を目指す上での強力なサポートとなる。

さらに、MIDIソングは後からオーディオソング(WAV形式など)に変換することも可能だ。これにより、複雑なフレーズや難しい楽曲をまずMIDIでパートごとに分けて録音し、後でオーディオ形式に変換して、より汎用的な形式で共有したり、外部機器で再生したりすることが容易になる。録音時には、メトロノームやリズム機能と同期させて録音することもできるため、正確なテンポで練習しながら、より音楽的な演奏を作り込むことが可能だ。

MIDIソングの最大録音サイズは1曲あたり約500KBであり、記録可能な演奏時間は有限である点には留意したい。録音したデータは「USERSONG***」という自動生成される名前で「ユーザー」カテゴリーに保存されるが、保存操作を行わないとデータが失われる可能性があるため、注意が必要だ。これらの多彩な録音機能は、CLP-885が単なる演奏楽器としてだけでなく、プレイヤーの成長をサポートするツールとしても優れていることを示している。

初心者から上級者まで対応

CLP-885は、ヤマハが「グランドピアノの演奏体験」を追求し、初心者からプロフェッショナルまで幅広いレベルのピアニストに対応できるよう設計されている。この電子ピアノは、ピアノのパーツや構造を単に模倣するのではなく、ピアノで音楽を表現することの本質を深く理解した上で開発された。

まず、鍵盤の改良は、あらゆるレベルの奏者にとって大きなメリットをもたらす。新開発の鍵盤センサーは、鍵盤を完全に押し込まない浅いタッチにも正確に反応するようになり、弱打から強打まで、指先に感じる手応えが多彩に変化する。これにより、初心者でも音の強弱をつけやすくなり、上級者はより繊細で表現豊かな演奏が可能になる。

内蔵曲の豊富さも、練習を強力にサポートする要素だ。CLP-885には、有名なクラシック曲50選に加え、バイエル、ブルグミュラー、ツェルニー、ハノンといった主要な教則本のレッスン曲が303曲も内蔵されている。これらの曲は、演奏の速さを調整したり、右手パートまたは左手パートだけを再生して片手ずつ練習したりできるため、自分のペースに合わせて効率的に学習を進めることができる。

さらに、無料のアプリケーション「スマートピアニスト」との連携は、学習体験を一層豊かなものにする。アプリを通じて楽譜を表示したり、自動伴奏機能を利用したりすることで、飽きることなく練習を続けられるだろう。プロのピアニストである米津真浩氏も、CLP-800シリーズがアコースティックピアノと遜色ないほどに進化しており、夜間の練習などにおいてはプロのセカンドチョイスとしても十分に使えると評価している。これは、CLP-885が、単に練習のためだけでなく、本格的な演奏表現を追求したいユーザーにも適したモデルであることを示している

CLP-885が選ばれる理由

CLP-885はヤマハクラビノーバシリーズのフラッグシップモデルとして、多くの先進技術と機能が結集された最高峰の電子ピアノである。その最大の魅力は、「これ本物のピアノじゃないの!?」と錯覚するほどのリアルな演奏体験を提供することにある。

選ばれる第一の理由は、その卓越した音源と音響システムだ。ヤマハCFXとベーゼンドルファーインペリアルの美しいコンサートグランドピアノの音源を搭載し、バーチャル・レゾナンス・モデリング(VRM)とグランド・エクスプレッション・モデリングによって、まるでアコースティックピアノのように繊細かつダイナミックに音色が変化する。さらに、スプルースコーンスピーカーやバイディレクショナルホーンを含む独自の3ウェイ6スピーカーシステムが、音の広がりと奥行きを空間全体で再現し、演奏者を包み込むような心地よい音場を生み出す

次に、グランドピアノさながらのタッチ感も選ばれる重要な要素だ。CLP-885は、グランドタッチ鍵盤に加えて、88鍵すべてにカウンターウェイトを搭載している。これにより、鍵盤一つ一つの重みや戻りの感触が忠実に再現され、ピアニッシモのような極めて繊細なタッチでの演奏も可能となる。GPレスポンスダンパーペダルも、グランドピアノの踏み心地と音色の変化を正確に再現し、表現の幅を広げる。

デザイン面でも、アコースティックピアノのような回転式鍵盤蓋や、鍵盤が浮いているように見える前脚の配置など、細部にわたるこだわりが高級感を演出している。また、Bluetooth®オーディオ機能、スマートピアニストアプリとの連携、多彩なMIDI録音機能、豊富な内蔵曲など、現代の練習環境に必要な機能が網羅されていることも、多くのユーザーに支持される理由である。これらの要素が融合し、CLP-885は電子ピアノの枠を超え、真の「グランドピアノの演奏体験」を提供する一台となっている。

導入する際の注意点と価格

clp-885

ヤマハCLP-885は、2024年8月に発売された最新のフラッグシップモデルであり、その革新的な機能とリアルな演奏体験で多くの注目を集めている。しかし、導入を検討する際には、いくつかの注意点と価格について理解しておくことが重要である。

まず、価格についてだが、CLP-885はオープン価格となっているものの、一般的な市場価格は440,000円(税込)からであり、より高級感のある黒鏡面艶出し(PE)モデルは495,000円(税込)から販売されている。これは電子ピアノの中でも高価格帯に位置するため、予算との兼ね合いを慎重に検討する必要があるだろう。

音質面では、全体的には高い評価を得ているものの、一部のレビューではヘッドホン使用時に低音域のレスポンスが不足し、全体的なサウンドが薄く感じられるという指摘も存在するため、ヘッドホンでの使用が主な場合は、実際に試聴して確認することをお勧めする。また、VRMやバイノーラルといった一部の音響効果は、特定の条件下(例えば、デュオモードやスピーカー出力がオンの場合など)で自動的にオフになる場合があるため、演奏設定時にはこれらの仕様を把握しておく必要がある。

製品の取り扱いに関する注意点としては、電子ピアノは精密機器であるため、移動時には必ず2人以上で水平に運び、すべての接続ケーブルを外すことが重要だ。特に、本体の底面を持つように指示されており、不適切な持ち方をすると破損の原因となる可能性がある。また、長期間使用しない場合や雷の恐れがある場合は、安全のために電源プラグをコンセントから抜くことが推奨されている。CLP-885にはオートパワーオフ機能が搭載されており、一定時間操作がないと自動で電源が切れるが、その際に保存していないデータは失われる可能性があるため、こまめな保存を心がける必要がある。これらの点を理解し、適切な取り扱いをすることで、CLP-885の優れた性能を長く享受できるだろう。

CLP-885レビュー総括

  • CLP-885はヤマハのクラビノーバシリーズ最高峰モデルである
  • グランドピアノに極めて近い演奏体験を提供する
  • ヤマハCFXとベーゼンドルファーインペリアルの音源を搭載している
  • VRMやグランド・エクスプレッション・モデリングで豊かな表現力を実現する
  • スプルースコーンスピーカーを含む3ウェイ6スピーカーシステムが特徴である
  • グランドタッチ鍵盤と88鍵リニアグレードハンマーでリアルなタッチ感を実現している
  • カウンターウェイト搭載により繊細なピアニッシモも可能だ
  • GPレスポンスダンパーペダルで精密なペダリングを再現する
  • アコースティックピアノを意識した回転式鍵盤蓋やデザインを採用している
  • Bluetooth®オーディオ機能で外部デバイスからの音楽再生に対応する
  • スマートピアニストアプリと連携し、楽譜表示や練習サポートが充実している
  • MIDI録音機能によりパート別録音や重ね録りが手軽に行える
  • クラシックやレッスン曲を含む豊富な内蔵曲を備えている
  • ヘッドホン使用時のバイノーラルサンプリングで臨場感あるサウンドを楽しむことができる
  • 価格は高価格帯だが、2024年8月発売の最新技術が詰まったモデルである
タイトルとURLをコピーしました