こんにちは!ピアノの楽しさを伝えるサイト「トヨリスト」のピア憎です。
ふとした瞬間に、小学校の音楽室の匂いや、クラスみんなで声を合わせた合唱曲のメロディが頭をよぎって、なんだか胸がキュッとなること、ありませんか?音楽会や卒業式ソングで涙した思い出、懐かしいですよね。でも、「あの曲、なんてタイトルだったっけ?」と思い出せなかったり、自分の子供が歌っている曲が全然知らなくて、世代のギャップを感じたり…。私も、ピアノ伴奏がかっこいい曲を聴くと、当時のことを鮮明に思い出します。
特に、怪獣のバラードの疾走感や、グリーングリーンの歌詞に隠された真実を知った時の衝撃は忘れられません。30代の方ならCOSMOSやBELIEVE、旅立ちの日にで感動した経験があるかもしれませんね。そんな、誰もが心のどこかに持っている、泣けるほどエモい記憶を呼び覚ますのが合唱曲の魔法です。
この記事では、世代を超えて愛される小学校の合唱曲を、あなたの思い出と共に振り返っていきます。きっと「そうそう、この曲!」という一曲が見つかるはずですよ。
- 世代ごとの懐かしい合唱曲がわかる
- 有名曲に隠された意外な事実を知れる
- 卒業式で泣ける名曲の背景がわかる
- 最近の小学校で人気の曲もチェックできる
小学校合唱曲が懐かしい!世代別名曲集
ここからは、あなたの「懐かしい!」がきっと見つかる、世代別の名曲をご紹介していきます。50代以上の方が歌った昭和の唱歌から、30代の胸を熱くした平成のJ-POP風合唱曲まで、時代をさかのぼって音楽の旅に出かけましょう!それぞれの時代背景と共に、名曲たちが生まれた理由を探ると、ただ懐かしいだけじゃない、新たな発見があるかもしれません。
50代以上が歌った昭和の定番合唱曲
50代から60代以上の方々が小学生だった昭和30年代~40年代。この時代の音楽の教科書は、文部省唱歌や童謡が中心でした。戦後の復興期から高度経済成長期にかけて、子供たちの情操教育や道徳心を育むという目的が音楽にも色濃く反映されていたんですね。みんなで声をそろえて歌う「斉唱」が基本で、ハーモニーの複雑さよりも、歌詞に込められたメッセージをまっすぐに届けることが大切にされていました。
季節を彩る日本の原風景『まっかな秋』
この世代の「懐かしい」を象徴する一曲が、薩摩忠作詞、小林秀雄作曲の『まっかな秋』です。「♪まっかだな まっかだな つたの葉っぱが まっかだな」という、シンプルで覚えやすいリフレイン。このフレーズを口ずさむだけで、一気に子供時代にタイムスリップする方も多いんじゃないでしょうか。
この曲の魅力は、視覚に訴えかける歌詞の巧みさにあります。「からすうり」や「ひがんばな」、「たきび」といった言葉たちが、まるで一枚の絵画のように、都市化が進む前の日本の豊かな秋の風景を描き出します。コンクリートの建物が増え、自然と触れ合う機会が減った現代だからこそ、この歌が描く情景は強いノスタルジーを喚起するのかもしれません。小林秀雄によるどこか物悲しくも美しいメロディが、過ぎ去った季節への愛おしさを一層引き立てます。
厳粛な卒業式の象徴『仰げば尊し』と時代の転換点
そして、この世代の卒業式といえば、『仰げば尊し』と『蛍の光』が絶対的な存在でした。特に『仰げば尊し』の「♪わが師の恩」や「♪身を立て名をあげ やよはげめよ」といった文語体の歌詞は、当時の教育現場における先生の権威と、学校という場の重みを象徴しています。卒業は、単なる別れではなく、社会へ出て立派になることを誓う、厳粛な「儀式」だったんですね。
しかし、そんな伝統に大きな変化をもたらしたのが、1979年に放送されたテレビドラマ『3年B組金八先生』の主題歌、海援隊の『贈る言葉』です。この曲の登場は、学校文化における革命でした。それまで教育現場とは一線を画していたJ-POP(当時はフォークソングやニューミュージック)が、卒業式の定番ソングになったのです。これは、テレビというメディアが、学校の常識をも変えるほどの絶大な影響力を持ち始めた瞬間でもありました。この曲を境に、卒業ソングはよりパーソナルで、生徒たちの心に寄り添うものへと変化していくことになります。
40代が熱唱した怪獣のバラード
1980年代から平成初期にかけて小学生だった40代(氷河期世代)の音楽体験は、それ以前の世代とは大きく異なります。この時代は、まさに「クラス合唱ブーム」の真っただ中。その中心的な役割を担ったのが、NHK全国学校音楽コンクール(通称:Nコン)です。
Nコンの課題曲は、毎年日本を代表する作曲家や作詞家によって書き下ろされ、音楽的な質が非常に高いものでした。当初はコンクール参加校のための曲でしたが、次第に音楽の教科書にも掲載されるようになり、全国の小学校で歌われるスタンダード・ナンバーとなっていったのです。この流れが、合唱曲全体のレベルを押し上げ、子供たちがより高度で表現力豊かな音楽に触れる機会を増やしました。(出典:NHK全国学校音楽コンクール公式サイト)
合唱の概念を変えた革命児『怪獣のバラード』
そんな「クラス合唱ブーム」を象徴する一曲が、岡田冨美子作詞、東海林修作曲の『怪獣のバラード』です。この曲は、それまでの「清く、正しく、美しい」という合唱曲のイメージを根底から覆しました。ジャズやロックの要素を取り入れたアップテンポなリズム、シンコペーションの多用、そして何と言ってもピアノ伴奏の圧倒的なカッコよさ!イントロからエンディングまで疾走感にあふれ、特に間奏のグリッサンド(鍵盤を指で滑らせるように弾く奏法)は、当時のピアノ伴奏者の憧れでした。
歌詞の世界観もユニークです。「♪真赤な太陽 沈む砂漠に」「♪海が見たい 人を愛したい」と歌う孤独な怪獣の姿に、どこか自分を重ね合わせた子供たちも多かったのではないでしょうか。ただ楽しく盛り上がるだけでなく、切なさや憧れといった複雑な感情が込められていたからこそ、今なお多くの人の心に残り続けているのだと思います。
一体感を生んだリズムの魔法『気球に乗ってどこまでも』
『怪獣のバラード』と並んで、この世代の二大巨頭ともいえるのが、東龍男作詞、平吉毅州作曲の『気球に乗ってどこまでも』です。この曲の最大の特徴は、曲中に手拍子(クラップ)が取り入れられていること。歌声だけでなく、身体全体でリズムを感じ、クラス全員で音楽を創り上げるという新しい体験は、子供たちに絶大なインパクトを与えました。
作曲者の平吉毅州さんは、子供たちの心を掴む名手で、他にも多くのアニメソングや教科書掲載曲を手掛けています。彼の作るメロディは、キャッチーで口ずさみやすく、それでいて音楽的に洗練されているのが特徴です。『気球に乗ってどこまでも』が持つ、どこまでも広がる青空を思わせるような開放感と高揚感は、まさに平吉さんの真骨頂。この曲を通じて、ハーモニーを合わせる喜びだけでなく、リズムを共有する楽しさを知ったという方も多いはずです。
グリーングリーンの歌詞に隠された真実
「♪ある日パパと二人で 語り合ったさ〜」という、誰もが知る明るいメロディの『グリーングリーン』。音楽の授業やキャンプファイヤーなどで、元気いっぱいに歌った思い出がある方も多いでしょう。しかし、この曲には、私たちが普段歌っている部分だけでは分からない、深く、そして少し悲しい物語が隠されていることをご存知でしょうか。
実は、私たちが教科書で習うのは、主に1番から3番までの歌詞。希望に満ちた旅立ちを描いた内容ですが、この歌には本来、全部で7番までの歌詞が存在するのです。そして物語は、歌詞を追うごとに少しずつその表情を変えていきます。4番以降、パパとの別れや戦争を暗示するような重いテーマが描かれ、最後にはパパが帰らぬ人となってしまうという、衝撃的な結末を迎えます。
原曲はアメリカの反戦フォークソング
この物語の背景には、この曲のルーツが関係しています。もともと『グリーングリーン』は、1960年代にアメリカで活躍したフォークグループ「ニュー・クリスティ・ミンストレルズ」のヒット曲 “Green, Green” が原曲です。当時はベトナム戦争の真っただ中で、この曲も反戦歌としての一面を持っていたと言われています。
日本語の歌詞を手がけた作詞家の片岡輝さんは、原曲のメッセージを汲み取りつつ、日本の子供たちにも分かりやすいように、父と子の物語として再構築しました。教育現場で7番までが教えられないのは、子供たちへの心理的な配慮や、授業時間の制約など、様々な理由が考えられますが、この「隠された物語」を知ることは、平和の尊さを考える一つのきっかけになるかもしれません。
学校の外にも広がる『グリーングリーン』
この曲の興味深い点は、学校の枠を飛び越えて、様々な場所で愛されていることです。
- 駅の発車メロディ: JR常磐線の牛久駅では、2007年から発車メロディとして採用されています。
- プロ野球の応援歌: かつて横浜ベイスターズに在籍したライアン・グリン投手の応援歌(名前の響きから)や、横浜・ロッテで活躍した高橋雅裕選手の応援歌としても使われ、野球ファンにもお馴染みのメロディとなっています。
こうした広がりも、『グリーングリーン』が持つメロディの力強さと親しみやすさの証明と言えるでしょう。単なる童謡や合唱曲というだけでなく、一つの文化的アイコンとして、これからも様々な形で歌い継がれていくのかもしれませんね。
30代が涙した平成の卒業式ソング
30代、いわゆるミレニアル世代が小学生だった1990年代から2000年代初頭は、「ゆとり教育」への転換期と重なります。教育現場では、競争よりも「共生」や「心の教育」、「生きる力」といったテーマが重視されるようになりました。この時代の変化は合唱曲にも色濃く反映されており、友情、生命の尊さ、未来への希望、そして宇宙といった壮大なテーマを、美しく感動的なメロディに乗せて歌う楽曲が数多く生まれました。
この世代にとっての「懐かしい合唱曲」は、もはや単なる学校唱歌ではなく、J-POPのヒット曲と同じように、青春時代のサウンドトラックとして心に刻まれているのが特徴です。
平成の「黄金プレイリスト」を彩る名曲たち
この時代の合唱コンクールや卒業式を思い出すとき、必ずと言っていいほど名前が挙がるのが、以下の楽曲群でしょう。まさに「黄金のプレイリスト」と呼ぶにふさわしいラインナップです。
これらの楽曲は、美しいハーモニーを奏でるだけでなく、歌詞に込められた深いメッセージを仲間と共に分かち合うという、新しい合唱の価値観を提示してくれたと言えるかもしれません。
今も人気のCOSMOSやBELIEVE
『COSMOS』や『BELIEVE』といった平成の名曲たちが本当にすごいのは、発表から20年以上経った今でも、単なる「懐かしい曲」として消費されるのではなく、現在の小学生たちにも現役で歌い継がれているという事実です。これは、これらの曲が単なる一過性のブームではなく、時代を超える普遍的な魅力を持っていることの何よりの証明でしょう。
では、なぜこれらの曲は世代を超えて愛され続けるのでしょうか。その理由を、私なりにいくつか考えてみました。
世代を超える普遍的なメッセージ
最大の理由は、やはり歌詞が持つメッセージの普遍性にあると思います。友情の大切さ、未来への希望、自分という存在の肯定。これらは、いつの時代の子供たちにとっても、心の一番柔らかい部分に響くテーマです。特に、思春期に差し掛かり、自分と他人を比べて不安になったり、将来に漠然とした夢や悩みを抱えたりする時期に、「君も星だよ」と歌ってくれる『COSMOS』や、「未来を信じて」と背中を押してくれる『BELIEVE』は、大きな心の支えになるはずです。
ポップス由来の洗練された音楽性
音楽的な側面も見逃せません。これらの曲は、従来の文部省唱歌系の楽曲とは異なり、J-POPに近い洗練されたコード進行やメロディラインを持っています。これが、普段から様々な音楽に親しんでいる現代の子供たちにも、古臭さを感じさせずにすんなりと受け入れられる要因の一つかもしれません。
また、『BELIEVE』がもともとテレビ番組のテーマソングだったように、メディアを通じて生まれた親しみやすさも、その普及に大きく貢献しました。この頃から、学校音楽とポピュラー音楽の垣根は、より一層低いものになっていったと言えます。
親から子へと受け継がれる「共通言語」
そしてもう一つ、面白い現象があります。それは、親世代(30代~40代)が子供の頃に歌ったこれらの曲を、今度は自分の子供が学校で習ってくるというケースです。親にとっては懐かしい青春のメロディであり、子供にとっては今まさに歌っている現在進行形の曲。これにより、『COSMOS』や『BELIEVE』は、親子間のコミュニケーションを円滑にする「共通言語」としての役割も担うようになっています。カラオケで一緒に歌ったり、親が子供にピアノで弾いて聴かせたりと、家庭内で音楽を通じた素敵な交流が生まれるきっかけにもなっているのです。
このように、普遍的なメッセージ、洗練された音楽性、そして世代をつなぐ役割。これらが三位一体となって、『COSMOS』や『BELIEVE』を不朽の名作たらしめているのではないでしょうか。
もっと知りたい小学校合唱曲の懐かしい話
さて、ここからは少しマニアックな視点も交えながら、合唱曲の魅力をさらに深く掘り下げていきたいと思います。「あの曲のピアノ伴奏、練習したなぁ」「音楽会で歌って、めちゃくちゃ感動した!」そんな、一人ひとりの個人的な思い出に寄り添うような、懐かしいエピソードをお届けします!
ピアノ伴奏がかっこいい曲ランキング
合唱の主役はもちろん歌声ですが、その感動を何倍にも増幅させてくれるのが、縁の下の力持ちであるピアノ伴奏です。クラスに一人はいた、ピアノが上手な憧れの存在。私もピアノを弾く端くれとして、伴奏には特別な思い入れがあります。そこで、ピア憎の独断と偏見で選ぶ「弾けたらヒーロー!ピアノ伴奏がかっこいい曲ランキング」を発表します!
伴奏者に選ばれるのは名誉なことですが、そのプレッシャーは相当なものだったと思います。朝練や昼休みに音楽室で一人黙々と練習した日々、本番でクラスの歌声を背中に感じながら鍵盤に向かった時の緊張感…。その全てが、今となってはキラキラした、かけがえのない思い出ですよね。ピアノの伴奏は、まさにクラスの想いを一身に背負う、もう一人の指揮者だったのかもしれません。
音楽会で盛り上がった思い出の曲
小学校生活の中でも、一大イベントとして記憶に残っているのが音楽会や合唱コンクールではないでしょうか。クラス一丸となって一つの目標に向かう過程、体育館のステージに並んだ時の独特の緊張感、そして客席の保護者や他のクラスメイトからの温かい拍手。そのすべてが、特別な思い出として心に刻まれていますよね。
そんな晴れの舞台で、特に会場全体が一体となって盛り上がったのは、やはり元気でリズミカルな曲でした。
一体感を生み出すアップテンポナンバー
前述の『怪獣のバラード』や『気球に乗ってどこまでも』は、まさに音楽会で盛り上がる曲の筆頭格です。自然と体が動き出すようなアップテンポなリズムは、歌っている生徒たちだけでなく、聴いている側にも楽しさを伝染させます。特に、男子パートと女子パートが追いかけっこをするように歌う「掛け合い」のある曲は、練習の段階からお互いを意識し合うことで、クラスの団結力を高める効果もあったように思います。
また、振り付けや手話を取り入れやすい曲も人気でした。例えば、杉本竜一さん作詞作曲の『Believe』(※『BELIEVE』とは別の曲)は、サビで簡単な手話をつけながら歌うことが多く、視覚的にも感動を呼び起こすパフォーマンスとして定番でした。
魂を揺さぶる感動のフィナーレ『HEIWAの鐘』
一方、音楽会のフィナーレを飾る曲として、絶大な人気を誇ったのが、沖縄出身のシンガーソングライター・仲里幸広さんが作った『HEIWAの鐘』です。沖縄の歴史と平和への強い願いが込められたこの曲は、アップテンポでありながら、ゴスペルのような力強さと魂を揺さぶるような感動があります。サビに向かってどんどんクレッシェンドしていき、最後は全員で高らかに「HEIWAの鐘」を響かせる構成は、まさに圧巻。歌い終わった後の達成感と感動は、何物にも代えがたいものがありました。
音楽会という特別な場で、仲間と声を合わせ、心を一つにした経験は、音楽の技術以上に、協調性や目標を達成する喜びといった、大切なことを教えてくれたのかもしれません。
旅立ちの日にが定番になった理由
今や卒業ソングの代名詞となり、『仰げば尊し』に代わって国民的スタンダードとなった『旅立ちの日に』。この曲が、もともとはプロの音楽家ではなく、埼玉県秩父市の中学校の先生たちによって作られた、たった一度きりのサプライズだったというエピソードは、多くの人が知るところでしょう。しかし、なぜこの一地方中学校のオリジナルソングが、これほどまでに全国へと広まっていったのでしょうか。その背景には、いくつかの奇跡的な要因が重なっていました。
先生たちの想いから生まれた奇跡の歌
物語の始まりは1991年、埼玉県秩父市立影森中学校。当時、学校は少し荒れており、歌声の響かない学校だったそうです。そんな状況を憂いた校長の小嶋登さんが、「歌声の響く学校にしたい」という強い想いから、退職前の最後の卒業式に、生徒たちへのメッセージとして歌詞を書き上げました。そして、その詞に音楽教諭の坂本浩美さん(現・高橋浩美さん)が曲をつけたのです。
卒業式当日、教職員たちが生徒たちに内緒で練習してきたこの歌を披露すると、生徒たちは驚き、そして涙しました。この「先生から生徒へ贈る歌」という、前代未聞のサプライズが、生徒たちの心を強く打ったのです。
口コミとメディアが起こした化学反応
この感動的なエピソードは、まず教員たちの間の口コミでじわじわと広まっていきました。そして、転機となったのが、音楽教育雑誌『教育音楽』にこの曲が紹介されたことです。これにより、『旅立ちの日に』は全国の音楽の先生たちの知るところとなります。
さらに、その普及を決定づけたのが、2000年代に入ってからのメディアでの露出です。特に、人気グループだったSMAPが出演するCMで起用されたことの影響は絶大でした。お茶の間にこの美しいメロディが流れたことで、一気に知名度が上がり、卒業ソングとしての地位を不動のものにしたのです。
先生たちの純粋な想いから生まれた一曲が、口コミとメディアの力を得て、時代を象徴する歌へと成長していった。『旅立ちの日に』の物語は、音楽が持つ不思議な力を改めて感じさせてくれます。
泣ける隠れた名曲と感動の歌詞
卒業式や音楽会で、思わず涙がこぼれてしまった経験は誰にでもあるはず。『旅立ちの日に』や『BELIEVE』のような超有名曲以外にも、私たちの涙腺を刺激する「泣ける」合唱曲はたくさん存在します。ここでは、知る人ぞ知る、しかし一度聴いたら忘れられない、感動的な隠れた名曲とその歌詞の魅力に迫りたいと思います。
卒業式のもう一つの名曲『最後のチャイム』
「卒業式で歌った曲」ランキングでは常に上位に顔を出すものの、『旅立ちの日に』の陰に隠れがちな名曲、それが若松歓さん作詞作曲の『最後のチャイム』です。この曲の「泣ける」ポイントは、何気ない学校生活の象徴である「チャイム」をテーマに据えている点にあります。
「♪この広い世界のなかで めぐり逢い共に過ごした かけがえのない日々」という歌いだしから、すでに胸が締め付けられます。そして歌詞は、教室の窓から見える景色、仲間と笑い合った休み時間、夕焼けに染まる校舎といった、誰もが経験したであろう学校の情景を鮮やかに描き出します。そして、それら全てに区切りを告げる「最後のチャイム」が鳴る瞬間、聴き手の感情は最高潮に達します。当たり前だった日常が、もう二度と戻らない特別な時間だったことに気づかされる、その切なさが涙を誘うのです。
なぜ合唱曲の歌詞は心に刺さるのか
では、なぜ合唱曲の歌詞は、これほどまでに私たちの心を揺さぶるのでしょうか。それは、多くの曲が「弱さの肯定」と「仲間の支え」という、思春期に誰もが抱える感情の核心を突いているからだと私は思います。
強がらなくていいんだよ、一人じゃないんだよ、というメッセージ。普段は恥ずかしくて口に出せないような言葉を、歌に乗せることで素直に表現できるのが合唱の魔法です。特に、Cメロ(大サビ前のブリッジ部分)で転調したり、少しパーソナルな歌詞になったりする構成は、感情移入を促す音楽的なテクニックとしても非常に効果的。「Cメロの歌詞がヤバい」というのは、合唱経験者の「あるある」ではないでしょうか。
そうした感動的な歌詞と、仲間と声を重ね合わせることで生まれるハーモニーの美しさが相まって、合唱曲は私たちの心に忘れられない記憶として深く刻まれるのです。
最近の小学生に人気の合唱曲は?
これまで、昭和・平成の懐かしい合唱曲を振り返ってきましたが、「じゃあ、令和の小学生は一体どんな曲を歌っているの?」と、気になりますよね。自分の子供や孫世代の音楽事情を知るのも、また一興です。調べてみると、やはり時代と共に合唱曲のトレンドも変化していることが分かりました。
現代のヒットメーカーとポジティブなメッセージ
現在の小学校の合唱シーンを語る上で欠かせないのが、作詞作曲家の若松歓(わかまつ かん)さんの存在です。『最後のチャイム』の作者でもある彼は、まさに現代の合唱曲ヒットメーカー。彼が作る曲は、キャッチーで明るいメロディと、子供たちの背中を優しく押してくれるようなポジティブな歌詞が特徴です。
その代表格が、最新の人気曲ランキングで常に上位にランクインする『いつだって!』です。「♪いつだって君のそばには 仲間がいるのさ」と歌うこの曲は、はつらつとした元気な雰囲気が今の子供たちの心を見事に掴んでいます。かつての合唱曲が持っていた少し哀愁を帯びた雰囲気よりも、ストレートで前向きなエネルギーに満ちた楽曲が支持されやすい傾向にあるのかもしれません。
また、国際交流や異文化理解が教育のテーマとなる中で、『U&I』(You and I)のように英語のタイトルやフレーズを取り入れた曲も人気を集めています。
コロナ禍が生んだ「踊れる合唱曲」という新潮流
そして、ここ数年で生まれた全く新しいジャンルが「踊れる合唱曲」です。これは、新型コロナウイルスの影響で、マスクを着用したり、間隔を空けたりと、従来の合唱活動が困難になったことを受けて生まれました。
これらの曲は、たとえ大きな声で歌えなくても、ダンスやボディパーカッションを通じてクラスの一体感を育むことができるように工夫されています。YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームの普及も、この流れを後押ししています。先生が振り付け動画を参考にしたり、子供たちが自分たちでダンスを創作したりと、音楽の楽しみ方がより多様化しているのが現代の特徴と言えそうです。懐かしい曲とはまた違った魅力がありますね。
心に響く小学校合唱曲の懐かしいメロディ
今回は、昭和から令和まで、時代を駆け巡りながら懐かしい小学校の合唱曲をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。あなたの心の中に眠っていた、思い出の一曲は見つかりましたか?
この記事を書きながら改めて感じたのは、合唱曲というのは単なる「学校で習った歌」ではなく、その時代の空気、社会の価値観、そして何よりも私たち一人ひとりの個人的な体験や感情が凝縮された、タイムカプセルのような存在だということです。イントロを聴いただけで、音楽室の窓から差し込む光や、友達の横顔、先生の優しい眼差しまでが、鮮やかに蘇ってくる。そんな不思議な力が、合唱曲には宿っているように思います。
文部省唱歌が中心だった昭和の『まっかな秋』。クラス合唱ブームに沸いた『怪獣のバラード』。卒業ソングの歴史を変えた平成の『旅立ちの日に』。そして、ダンスと共に楽しむ令和の『いつだって!』。この曲の系譜は、そのまま日本の教育や文化の変遷を物語っています。
なぜ私たちは、大人になってからも「小学校合唱曲 懐かしい」と検索してしまうのでしょうか。それはきっと、あの頃の純粋な気持ちや、仲間と心を一つにした達成感を、もう一度味わいたいからなのかもしれません。合唱曲のメロディは、過去の自分と再会するための、最も優しい道しるべなのです。
この記事が、あなたの素敵な思い出を呼び覚ますきっかけになれたなら、これ以上に嬉しいことはありません。ぜひ、あなたの心に一番響いた懐かしい一曲を、久しぶりに聴き返してみてはいかがでしょうか。


