カワイ CA701レビュー|購入前に知るべき全て

カワイ CA701 KAWAI

こんにちは!電子ピアノ選びに夢中な「ピア憎」です。

カワイの電子ピアノ「CA701」、気になりますよね。木製鍵盤のタッチが良いという評判は聞くけれど、実際のところどうなんだろう?と、色々調べている方も多いのではないでしょうか。特に、30万円を超える価格帯となると、絶対に失敗したくないというのが本音だと思います。

ヤマハやローランドとの比較でどっちが良いのか、前モデルのCA79からの進化点は?島村楽器限定モデルのSCA701との違いは?なんて疑問も次々に出てきますよね。それに、ネットで調べると「鍵盤のカタカタ異音」といった不具合に関する少し気になる情報もあったりして、購入に踏み切れない…なんてこともあるかもしれません。便利なBluetooth機能も、aptXに対応していると何が嬉しいのか、具体的にはよくわからない、という方もいるでしょう。

この記事では、そんなあなたの疑問や不安を解消するために、カワイ CA701について、良いところも、そして購入前に知っておくべき注意点も、正直に、そして詳しく解説していきます。この記事を読めば、あなたがCA701を選ぶべきかどうかが、きっとクリアになるはずです。

  • CA701自慢のタッチと音の秘密がわかる
  • ヤマハ・ローランドとの具体的な違いがわかる
  • 購入前に知るべき注意点やデメリットがわかる
  • 自分にCA701が合っているか判断できる
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カワイ CA701の真価:タッチと音の秘密

まずは、CA701がなぜこれほどまでに高い評価を得ているのか、その心臓部である「タッチ」と「音」の秘密に、深く、そして多角的に迫っていきましょう。カタログのスペック表を眺めるだけでは決して伝わらない、カワイというメーカーの楽器作りに対する哲学や、ライバルメーカーとの思想の違いまで見えてくると、ピアノ選びはもっと面白くなりますよ。

グランドピアノに近いタッチの秘密

CA701を語る上で、絶対に外せないのがその「グランドピアノに限りなく近い」と絶賛される鍵盤タッチです。このリアルな弾き心地の根源となっているのが、カワイが長年にわたって研究開発を続けてきた独自の木製鍵盤機構「グランド・フィール・アクションIII」に他なりません。なぜ、これほどまでにリアルなのか、その構造的な秘密を一つずつ解き明かしていきましょう。

シーソー式構造の物理的優位性

市場には「木製鍵盤」を謳う電子ピアノが数多く存在しますが、実はその内部構造は大きく異なります。多くのモデルが、鍵盤の奥側を支点として動く「折り返し構造」という、比較的シンプルな仕組みを採用しています。これは省スペースでコストも抑えやすいというメリットがあるのですが、物理的な挙動はグランドピアノとは異なります。

それに対して、CA701が採用しているのは、本物のグランドピアノと全く同じ「シーソー式構造」です。これは、長い木製の鍵盤のほぼ中央に配置されたバランスピンを支点として、鍵盤がシーソーのように動く仕組みです。指で鍵盤の手前側を押すと、テコの原理で奥側が持ち上がり、その先にあるハンマーを跳ね上げます。この一連の動作において、木材そのものが持つ「質量」とシーソー運動による「慣性」が働くため、指先に「確かな手応え」と「質量を動かしている感覚」がダイレクトに伝わってくるのです。これは、バネや重りで動きを補助する他の方式では決して得られない、極めてオーガニックな感触と言えるでしょう。

業界最長の支点距離がもたらす表現力

シーソー式構造のメリットを最大限に引き出すために、カワイが徹底的にこだわっているのが「支点距離」です。これは鍵盤の先端から、内部にある支点(バランスピン)までの長さのこと。この距離が短ければ短いほど、鍵盤の手前を弾く時と、黒鍵の間の奥まった部分を弾く時とで、鍵盤を押し下げるのに必要な力の差が大きくなってしまいます。テコの原理を考えれば当然のことですね。

CA701は、グランドピアノに匹敵するほどの長い支点距離を確保しています。これにより、鍵盤のどの位置を弾いても、驚くほどスムーズに、そして均一な力で鍵盤が沈み込んでくれます。例えば、ショパンのワルツのように複雑な和音を押さえる際や、リストの超絶技巧練習曲のように指を鍵盤の奥深くまで滑り込ませる必要があるフレーズでも、ストレスなく意のままにコントロールすることが可能になります。この「どこを弾いても弾きやすい」という安心感が、演奏への集中力を高め、より高度な音楽表現への扉を開いてくれるのです。

微細な表現を支える機構たち

CA701のリアルなタッチは、シーソー構造と支点距離だけで実現されているわけではありません。ピアニッシモ(とても弱い音)での繊細なコントロールを助けるために鍵盤に埋め込まれた「カウンターウェイト」。グランドピアノの機構が外れる瞬間の、あの「カクッ」という独特のクリック感を再現する「レットオフ・フィール」。汗による指の滑りを防ぎ、しっとりとした感触を生み出す象牙調・黒檀調の鍵盤表面仕上げ「アイボリー/エボニータッチ」。こうした無数の細やかな技術の集合体が、まるで生き物のような有機的なタッチ感を生み出しているんですね。

新音色コンクールグランドの実力

卓越した鍵盤タッチを受け止める「音」もまた、CA701の大きな魅力です。心臓部となる音源エンジンには、従来のサンプリング音源とは一線を画す「SK-EXレンダリング音源」を搭載。この音源には、カワイが世界に誇るフルコンサートグランドピアノ「SK-EX」をサンプリングした、キャラクターの全く異なる2つの音色が収録されており、これが演奏の楽しみを格段に広げてくれます。

サンプリングとモデリングの融合

一般的な電子ピアノの音源は、ピアノの音を録音(サンプリング)して再生するPCM音源が主流です。しかし、CA701の「SK-EXレンダリング音源」は、その一歩先を行くハイブリッド方式を採用しています。

  • マルチチャンネル・サンプリング: ピアノの音を単にステレオマイクで録音するのではなく、演奏者の耳の位置、ハンマーの真上、響板の近くなど、複数の異なるポイントで同時に録音した膨大なデータを使用しています。これにより、特定のスピーカーから音が出ているのではなく、楽器全体、そして空間全体が鳴っているかのような、立体的で自然な音場を創り出します。
  • 88鍵共鳴モデリング: アコースティックピアノの豊かな響きは、弾いた弦の音だけでなく、他の弦や響板、フレーム全体が複雑に共鳴し合うことで生まれます。CA701では、この複雑極まりない共鳴現象をDSP(デジタル信号処理)のパワーでリアルタイムに演算(モデリング)して再現します。これにより、ペダルの踏み加減による響きの変化や、スタッカートとレガートでの音の余韻の違いなどが、驚くほどリアルに表現されるのです。

この2つの技術の融合により、サンプリング音源特有の「録音された音」っぽさが消え、まるで目の前でアコースティックピアノが呼吸しているかのような、生命感あふれるサウンドが生まれます。

キャラクターが異なる2つのSK-EX

CA701には、この最新音源で奏でられる2つの「SK-EX」が搭載されています。これが単なる音質のバリエーションではなく、明確なコンセプトを持って作られているのが面白いところです。

音色名 SK-EX コンサートグランド SK-EX コンクールグランド (新搭載)
音の印象 柔らかく、豊潤な倍音。包み込むような響き。 アタックが鋭く、一音一音の輪郭が明瞭。
録音の視点 ホールの客席で聴くような、空間全体を含んだ音。 演奏者の席で聴くような、ダイレクトで芯のある音。
得意なジャンル ロマン派(ショパン、リスト)、バラード、映画音楽など。 バロック(バッハ)、古典派(モーツァルト)、練習曲、ジャズなど。

「コンサートグランド」は、自分の演奏にうっとりと浸りたい時、リラックスして響きを楽しみたい時に最高の音色です。一方で、新搭載の「コンクールグランド」は、より実戦的な音色と言えるでしょう。自分のタッチの甘さやリズムの乱れがシビアに音に反映されるため、日々の練習で自分の演奏を客観的に分析し、弱点を克服していく上で、これ以上ないパートナーになってくれます。この2つの音色を使い分けることで、練習から鑑賞まで、ピアノライフのあらゆるシーンがより充実したものになるはずです。

Bluetooth aptXの使い心地

現代の電子ピアノにおいて、スマートフォンやタブレットとの連携機能はもはや必須と言えます。CA701も最新のBluetooth機能を搭載していますが、特筆すべきは音楽再生機能である「Bluetooth Audio」が、高音質・低遅延コーデックである「aptX」に対応している点です。これが実際にどのようなメリットをもたらすのか、具体的な活用シーンを交えながら詳しく見ていきましょう。

コーデックで変わるワイヤレス音楽体験

Bluetoothで音声を伝送する際には、「コーデック」という圧縮技術が使われます。標準的な「SBC」というコーデックは、手軽ですが音質的にはそれなりで、遅延も発生しやすいという弱点があります。iPhoneで使われている「AAC」はSBCよりも高音質ですが、CA701が対応する「aptX」は、さらにその上を行きます。

aptXは、CDに迫る高音質を保ちながら、音声の遅延を人間がほとんど感知できないレベルまで抑えることができる技術です。(出典:株式会社河合楽器製作所「CA701製品ページ」)特に、aptXに対応したAndroidスマートフォンをお持ちの方にとっては、この恩恵は絶大です。ワイヤレスであることを忘れるほどクリアで迫力のあるサウンドを、CA701の高性能なスピーカーシステムで楽しむことができます。

練習がもっと楽しくなる具体的な活用法

この高音質・低遅延のBluetooth Audio機能は、ピアノの練習を劇的に楽しく、そして効率的にしてくれます。

活用アイデアの一例

  • YouTube動画とのセッション: YouTubeには、プロのピアニストによるレッスン動画や、マイナスワン(ピアノパートだけ抜かれた伴奏)音源、ライブ映像などが溢れています。これらをCA701から再生し、映像と音のズレを気にすることなく、まるでバンドの一員になったかのようにセッション演奏を楽しむことができます。
  • 音楽配信サービスの活用: SpotifyやApple Musicなどで好きなアーティストの曲を再生し、耳コピに挑戦したり、コードを付けながらアドリブ演奏を楽しんだり。CA701が、最高級のオーディオシステム兼楽器になる瞬間です。
  • オンラインレッスンでの利用: オンラインピアノレッスンの際に、先生から送られてくる模範演奏の音源をCA701で再生すれば、細かなニュアンスまでしっかり聴き取ることができます。

もちろん、音楽やレッスンだけでなく、本体のタッチパネルに触れることなく手元のスマホから音色変更や設定ができる「Bluetooth MIDI」にも対応。専用アプリ「PianoRemote」を使えば、より直感的な操作が可能です。これらのワイヤレス機能が、あなたのピアノライフをより現代的で自由なものにしてくれることは間違いありません。

SCA701との違いを解説

カワイの電子ピアノを検討していると、必ずと言っていいほど目にするのが、大手楽器店である島村楽器とのコラボレーションモデル「SCA701」の存在です。「通常モデルのCA701と何が違うの?」「価格は同じくらいだけど、どっちを選べばいいの?」と、多くの方が悩むポイントだと思います。両者の違いを徹底的に比較し、あなたがどちらを選ぶべきかの判断材料を提供します。

まず大前提として、ピアノの心臓部である鍵盤アクション(グランド・フィール・アクションIII)、音源(SK-EXレンダリング音源)、スピーカーシステムといった基本性能は、CA701とSCA701で全く同じです。弾き心地や基本的な音のクオリティに差はありません。その上で、SCA701にはいくつかの付加価値が加えられています。

比較項目 CA701 (通常モデル) SCA701 (島村楽器モデル) ワンポイント解説
カラーバリエーション プレミアムローズウッド調 / プレミアムホワイトメープル調 / プレミアムライトオーク調 上記3色 + 限定カラー「モダンブラック(MB)」 モダンブラックは、木目を抑えたマットな質感が特徴。スタイリッシュなインテリアに合わせやすいです。
操作パネル 英語表記 日本語表記 機械操作が苦手な方や、ご年配の方には日本語表記が安心感があり、直感的に操作できます。
内蔵音色 全96音色 全111音色 (ピアノスタイルコレクション15音色を追加) ジャズピアノ、ロックピアノ、エレクトリックピアノなど、ポピュラー音楽で使いやすい音色が追加されています。
内蔵曲 377曲 412曲 (専用の内蔵曲を35曲追加) 誰もが知っているようなポピュラーソングや映画音楽などが追加されており、聴くだけでも楽しめます。

どちらのモデルを選ぶべきか?

結論から言うと、これは完全に「好み」と「付加価値をどう感じるか」によります。価格差もほとんどない、あるいは全くない場合が多いため、純粋に機能面で判断して良いでしょう。

  • SCA701がおすすめな人:
    • スタイリッシュな「モダンブラック」の色合いに惹かれる人。
    • 機械の英語表記に少しでも不安がある人。
    • クラシックだけでなく、ジャズやポップスなど幅広いジャンルの曲を弾きたい人。
  • CA701がおすすめな人:
    • 標準のカラーバリエーションが気に入っている人。
    • 英語表記でも全く問題ない人。
    • 主にクラシックピアノの練習に集中したいので、追加音色は特に必要ない人。

どちらのモデルも素晴らしいピアノであることに変わりはありません。もし可能であれば、ぜひ島村楽器の店頭でSCA701の限定カラーや日本語パネルを実際に見て、触って、通常モデルと比較検討してみることを強くお勧めします。小さな違いが、日々の満足度に大きく影響することもありますからね。

前モデルCA79からの進化点

CA701は、市場で非常に高い評価を得ていた前モデル「CA79」の正統な後継機です。すでにCA79の情報を持っている方や、中古市場でCA79を検討している方にとって、「具体的にどこが進化したのか?」は非常に気になるところでしょう。見た目はよく似ていますが、その中身は着実に、そして効果的にアップデートされています。

まず押さえておきたいのは、ピアノの根幹をなす鍵盤アクション「グランド・フィール・アクションIII」は、CA79から変更なく継承されているという点です。これは、この鍵盤アクションの完成度がすでに極めて高いレベルに達していることの証明とも言えるでしょう。したがって、タッチ感そのものが劇的に変わったわけではありません。

その上で、進化したポイントは主に「音」と「機能性」に集中しています。

サウンド面のメジャーアップデート

最も大きな進化点は、やはり新しいピアノ音色「SK-EX コンクールグランド」の追加です。これにより、従来の「コンサートグランド」の豊潤な響きに加え、練習に最適なクリアで輪郭のはっきりしたサウンドを手に入れました。これは単に音色のバリエーションが増えたというだけでなく、一台のピアノで「楽しむ演奏」と「分析的な練習」という二つの異なる目的を、より高いレベルで両立できるようになったことを意味します。

さらに、オーディオシステムにも改良が加えられています。上面にあるスピーカーに「ディフューザー」という拡散器が新たに搭載されました。これにより、音が真上に一直線に飛ぶのではなく、360度全方位に効率よく拡散されるようになりました。この結果、グランドピアノの響板から音が放射されるような、より自然で立体的な音場感を体験できます。演奏者はまるで音に包まれるような感覚で、より没入感の高い演奏を楽しめるようになったのです。

機能性と接続性の向上

現代のデジタル機器としての使い勝手も向上しています。Bluetoothの規格が最新のバージョンにアップデートされ(MIDI: Ver 5.0 / Audio: Ver 5.1)、スマートフォンやタブレットとの無線接続がより安定し、低遅延になりました。特にBluetooth Audioでの音楽再生や動画とのセッションにおける快適性は、体感できるレベルで向上しています。

CA79からの買い替えは「アリ」か?

もしあなたがすでにCA79を所有していて、そのタッチと音に満足しているのであれば、急いで買い替える必要はないかもしれません。しかし、これから新規で購入を検討しているのであれば、間違いなくCA701を選ぶべきです。特に、練習の質を高めたい、より自然な音の広がりの中で演奏したい、ワイヤレス機能を多用したい、と考えている方にとっては、CA701の進化点は価格差以上の価値をもたらしてくれるはずです。

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購入前に知るべきカワイ CA701の全て

ここまでCA701の素晴らしい魅力を中心にお伝えしてきましたが、どんな製品にも光と影があるものです。特に30万円を超える高価な買い物ですから、メリットだけでなく、購入前に知っておくべき注意点や、人によってはデメリットと感じるかもしれない点についてもしっかりと理解しておくことが、後悔のないピアノ選びには不可欠です。ここでは、ライバル機種とのシビアな比較から、少し気になる品質の問題、そして物理的な設置のハードルまで、現実的な視点で深掘りしていきます。

ヤマハやローランドとの比較

この価格帯の電子ピアノを検討する際、最終的に比較対象となるのは、ほぼ間違いなくヤマハの「Clavinova CLP-775」ローランドの「LX-6」になるでしょう。この3機種は、各メーカーの技術と哲学が色濃く反映された flagship モデルであり、それぞれに強烈な個性と魅力を持っています。どれが一番優れているという単純な話ではなく、「あなたがピアノに何を求めるか」によって、最適な一台は変わってきます。

比較項目 カワイ CA701 ヤマハ CLP-775 ローランド LX-6
鍵盤アクション グランド・フィール・アクションIII (木製シーソー式) グランドタッチ鍵盤 (木製リニアグレードハンマー) ハイブリッド・グランド鍵盤 (木材+樹脂ハイブリッド)
タッチの思想 物理的な挙動の再現。スムーズで慣性を感じる自然な動き。 練習ツールとしての役割。重厚でしっかりした手応えと底突き感。 機能性と耐久性の両立。反応が速く、繊細かつダイナミック。
音源方式 SK-EXレンダリング音源 (サンプリング + モデリング) グランド・エクスプレッション・モデリング (サンプリングベース) ピアノ・リアリティ・モデリング音源 (フルモデリング)
音のキャラクター 温かく、オーガニック。アコースティックピアノに近い自然な響き。 華やかで、輪郭がくっきり。コンサートホールで聴くような煌びやかさ。 シャープで、クリア。デジタルならではの分離の良さと表現の自由度。
強み グランドピアノに最も近い物理挙動。繊細な表現力。 圧倒的なブランド力と音圧。指のトレーニング効果。 調律不要の安定性。メンテナンスフリー。速いパッセージへの追従性。

思想の違いを理解して選ぶ

この比較表から見えてくるのは、各社の明確な思想の違いです。

  • カワイは、あくまで「アコースティックピアノの忠実な再現」を至上命題としています。シーソー式の木製鍵盤はその象徴であり、弾き心地のリアリティを何よりも重視するクラシック志向の方に強く響くでしょう。
  • ヤマハは、世界中の音楽教室やコンサートホールで採用されている「ヤマハピアノ」という確固たるブランドイメージを音とタッチに反映させています。「ピアノの練習」という側面を重視し、しっかりとした手応えで指を鍛えたいと考える方に最適です。
  • ローランドは、電子楽器のパイオニアとしての強みを活かし、「デジタルだからこそ可能な理想のピアノ」を追求しています。フルモデリング音源による自由な音作りや、メンテナンスフリーという実用性は、ジャズやポップスを弾く方や、合理性を重視する方に高く評価されています。

これらを踏まえ、最終的な判断は、必ずご自身の指と耳で確かめることを強くお勧めします。楽器店で3機種を弾き比べる際は、ただ好きな曲を弾くだけでなく、とても弱い音(pp)から強い音(ff)までの表現、トリルや速いパッセージの弾きやすさ、黒鍵の奥の方を押さえた時の感触などを意識的にチェックすると、それぞれの違いがより明確にわかるはずです。

鍵盤のカタカタ異音と不具合対策

カワイの木製鍵盤モデルを検討する上で、おそらく最も気になるのが、インターネット上で散見される「鍵盤のカタカタ、コトコトといった異音」に関する報告でしょう。これは購入を躊躇させる大きな要因になり得るため、正直に、そして正確に解説する必要があります。

まず、この現象は実際に一部の個体で発生することがあるようです。その原因の多くは、鍵盤の奥にあるハンマーの動きを受け止めるクッション材(フェルトやゴム)に使われている接着剤が、長期間の打鍵による衝撃や、季節による温湿度の変化によって劣化・硬化し、本来は触れないはずの樹脂パーツと干渉することで発生すると言われています。また、機構部の潤滑グリスが移動してしまうことも原因となり得ます。

これは「故障」なのか?

これを単純な「故障」や「欠陥」と断じるのは、少し違うかもしれません。むしろ、グランドピアノに近い複雑で精密な物理的機構を採用しているがゆえに起こりうる、一種の「調整のズレ」と捉えるのが実情に近いでしょう。アコースティックピアノが定期的な調律や整調を必要とするのと同じように、CA701のリアルなタッチ感は、その繊細な構造と引き換えにある種のメンテナンスリスクを内包している、と考えるべきです。

では、どう対策すれば良いのか?

この異音は、多くの場合、メーカーのサービスマンによる出張修理で解消します。作業内容としては、問題となっている箇所のクッションの再接着や、機構部へのグリスアップなどが主となり、作業時間は2〜3時間程度で完了することが多いようです。

購入者としてできる最も重要な対策は、購入時に楽器店が提供している「5年延長保証」などの長期保証サービスに必ず加入しておくことです。メーカーの標準保証は1年ですが、こうした異音は1年以上経過してから発生することも考えられます。長期保証に加入しておけば、保証期間内であれば無償で修理対応を受けられるため、精神的な安心感が全く違います。数千円から1万円程度の追加費用で、数年間の安心が手に入ると考えれば、これは必須の投資と言えるでしょう。

タッチのリアリティを追求するならば、このメンテナンスリスクはある程度受け入れる覚悟が必要です。もし、少しでも異音のリスクを避けたいのであれば、構造がよりシンプルな樹脂鍵盤のモデルや、耐久性を重視したローランドのモデルを検討するのも一つの賢明な選択です。

搬入時の重さと設置の注意点

電子ピアノ選びで見落としがちながら、後で大きな問題になりがちなのが「本体のサイズと重量」です。特にCA701は、その堅牢な作りとリアルな鍵盤アクションゆえに、このクラスの電子ピアノの中でもかなりの重量級です。その本体重量は、実に76.5kg。これは、一般的な成人男性の平均体重を大きく上回る重さです。

DIYでの組立・設置は絶対にNG

インターネット通販などで購入し、コストを節約するために自分で組み立てようと考える方もいるかもしれませんが、CA701に関しては絶対に推奨できません。その理由は以下の通りです。

    • 怪我のリスク: 鍵盤部とスタンド部を組み上げる際、重い鍵盤部分を持ち上げる必要があります。これを無理な体勢で行うと、ぎっくり腰などの重大な怪我につながる危険性が極めて高いです。
    • 家屋へのダメージ: 万が一、作業中に本体を落下させてしまった場合、フローリングや壁に深刻な傷や凹みを作ってしまう可能性があります。修理費用を考えれば、設置サービス料の方がはるかに安く済みます。

製品性能の低下: 組み立てに不慣れな方が作業すると、ネジの締め付けが甘くなることがあります。これにより本体にガタつきが生じ、演奏時の振動で不快な共振ノイズが発生する原因にもなります。

これらのリスクを避けるためにも、購入時には必ず専門業者による「配送・組立設置サービス」を利用してください。プロの作業員が2名体制で、開梱から組立、指定場所への設置、そして梱包材の回収まで、全て安全かつ確実に行ってくれます。

購入前に必ずチェックすべきこと

設置サービスを申し込む前に、ご自宅の環境が搬入に適しているか、ご自身で確認しておく必要があります。

搬入前チェックリスト

  1. 搬入経路の確保: 玄関から設置部屋までの廊下、ドア、階段の幅や高さを測定し、本体(幅145cm × 奥行49.5cm)が梱包された状態で通れるか確認しましょう。特に階段の踊り場など、曲がり角は要注意です。
  2. 設置場所のスペース: 本体サイズに加え、椅子を置いて演奏するスペース、人が通るスペースも考慮して、余裕のある設置場所を確保しましょう。壁から少し離して設置すると、音の響きが良くなることもあります。
  3. 床の強度と保護: 76.5kgの重量が一点に集中するため、床の強度が心配な場合は、補強板や専用のマットを敷くことを検討しましょう。特に集合住宅では、階下への打鍵音や振動を軽減する防振マットの使用が推奨されます。

これらの点について不安な場合は、購入前に販売店のスタッフに自宅の図面を見せるなどして相談することをお勧めします。場合によっては、クレーンによる窓からの吊り上げ搬入など、特殊な作業が必要になることもあります。

気になる価格と販売店情報

カワイ CA701は「オープン価格」とされており、定価が設定されていません。しかし、市場における実勢価格は比較的安定しており、おおむね300,000円から374,000円(税込)の範囲で販売されていることが多いようです。この価格は、購入する店舗、時期、そしてヘッドホンや椅子などの付属品の有無によって変動します。

高価な買い物だからこそ、どこで買うかという「購入チャネルの選択」は非常に重要です。主に、家電量販店、楽器専門店、そしてオンラインストアという選択肢が考えられますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。

家電量販店 vs 楽器専門店

購入場所 メリット デメリット
家電量販店
(ビックカメラ、ヨドバシカメラなど)
ポイント還元率が高い (1%~10%)
・各種セールやキャンペーンの対象になりやすい
・他の家電と合わせて購入しやすい
・ピアノ専門の知識を持つ店員が少ない場合がある
・展示機種が限られていることがある
・アフターサポートがメーカー任せになりがち
楽器専門店
(島村楽器、山野楽器など)
専門知識が豊富なスタッフに相談できる
・配送設置やアフターサポートが手厚い
独自の長期保証サービスが充実している
・試弾できる環境が整っている
・ポイント還元率は低めか、付かない場合が多い
・セール以外の値引きは期待しにくい

どちらが良いかは一概には言えませんが、個人的には、電子ピアノのような専門性が高く、長く使う楽器は、万が一のトラブルの際に親身に相談に乗ってくれる楽器専門店での購入をお勧めしたいです。特に、前述した「鍵盤の異音」のようなデリケートな問題が発生した際に、販売店が窓口となってメーカーとのやり取りをスムーズに進めてくれる安心感は、価格差以上の価値があると感じます。

オンライン購入の注意点

近年では、オンラインストアで電子ピアノを購入する方も増えています。価格が実店舗より安く設定されていることもあり魅力的ですが、いくつかの注意点があります。まず、実機を試弾できないという最大のデメリットがあります。タッチや音の好みは非常に主観的なものなので、弾かずに購入するのは大きなリスクを伴います。また、配送が玄関先までで、組立設置は自分で行う必要があるケースも多いです。前述の通り、CA701のDIY設置は非常に困難なため、必ず組立設置サービスの有無と料金を確認しましょう。

賢い買い方としては、まずはお近くの楽器店や家電量販店で実機をじっくりと試弾し、専門スタッフの話を聞いた上で、最終的な購入先を価格やサポート内容で比較検討するのが良いでしょう。

【結論】カワイ CA701はこんな人におすすめ

さて、ここまでタッチ、音、機能、そして購入前の注意点まで、カワイ CA701という電子ピアノをあらゆる角度から徹底的に掘り下げてきました。これまでの情報を総合して、最終的に「CA701は、どのような人にとって最高の選択となりうるのか」を結論としてまとめていきたいと思います。

カワイ CA701は、数ある電子ピアノの中でも、特に「アコースティックグランドピアノの弾き心地と響きの再現」という一点において、並々ならぬこだわりと執念を持って作られた楽器です。その思想に共感できるかどうかが、このピアノを心から愛せるかどうかの分かれ道になるでしょう。

CA701が最高のパートナーになるであろう人々

  • 昔取った杵柄を取り戻したい「再開組」の大人の方: 子供の頃にグランドピアノやアップライトピアノを習っていたけれど、今は住宅事情などで手放してしまった。でも、おもちゃのようなプラスチック鍵盤では指が満足できない…。そんな方にこそ、CA701のシーソー式木製鍵盤がもたらすリアルなタッチは、忘れていたピアノを弾く喜びを鮮やかに蘇らせてくれるはずです。「ああ、これこれ!」と、きっと指が覚えてくれていますよ。
  • 高みを目指すコンクール・音大受験生: アコースティックピアノでの練習が基本であることは言うまでもありません。しかし、時間や場所に制約がある中での練習用サブ機として、メイン機とのタッチの違和感が極めて少ないCA701は理想的な選択肢です。特に、自分の演奏を客観的に聴き、粗を洗い出すのに最適な新音色「コンクールグランド」は、あなたの技術をもう一段階上へと引き上げるための強力な武器となるでしょう。
  • 最新のテクノロジーと共に音楽を楽しみたいガジェット好きの方: CA701は、伝統的なピアノの再現性に優れているだけでなく、最新のデジタル機器としての側面も非常に魅力的です。aptX対応のBluetooth機能は、高音質なワイヤレスオーディオ環境を構築し、YouTubeや音楽配信サービスを使った新しいピアノの楽しみ方を提案してくれます。スマホやタブレットを駆使して、スマートに音楽ライフを送りたい方にぴったりです。

一方で、他の選択肢を検討した方が良いかもしれない人々

もちろん、CA701が全ての人にとっての最適解というわけではありません。例えば、メンテナンスの心配は一切したくない、とにかく頑丈で安定していることが第一、という方は、構造がよりシンプルで耐久性を重視したローランドのモデルの方が精神衛生上良いかもしれません。また、クラシックよりもジャズやロック、ポップスが中心で、バンドサウンドに埋もれない、輪郭のはっきりしたシャープな音を求める方は、ヤマハの華やかなサウンドの方が好みに合う可能性もあります。

最終的に、ピアノ選びは理屈ではなく「感性」です。この記事で得た知識を元に、ぜひ楽器店へ足を運び、ご自身の指と耳で、心から「好きだ」と思える一台を見つけてください。もしそれがカワイ CA701であったなら、それはきっと、あなたの音楽人生を末永く豊かにしてくれる、かけがえのないパートナーとなってくれることでしょう。

ピア僧

1976年、北海道生まれ。

電子ピアノ選びに迷っていませんか?

Digital Paino Navi運営者のピア憎です。私自身、数々の電子ピアノを弾き比べ、その魅力を追求してきました。この経験と知識を活かし、あなたの最適な一台を見つけるお手伝いをします。

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