ヤマハの電子ピアノ、Pシリーズが気になっているあなた。P-145やP-225、さらには上位機種のP-525とラインナップが刷新されて、一体どれが自分に合っているのか迷っていませんか。旧モデルとの違いや、新開発の鍵盤のタッチ、他社との比較など、知りたいことは山積みですよね。私も長年デジタルピアノを見てきましたが、今回の進化は本当に興味深いです。特にコンパクトになったサイズ感と、ピアノとしての弾き心地がどう両立されているのかは、スペック表だけでは分からない部分も多いものです。この記事では、実機の仕様や構造に基づいた詳細な分析を行い、あなたが後悔しない一台を選べるよう全力でサポートしますね。
- 最新Pシリーズ各モデルの決定的な違いと選び方がわかる
- 新開発GHC鍵盤のタッチ感と旧モデルからの進化点がわかる
- アプリやUSB機能を活用した現代的な楽しみ方がわかる
- 競合他社モデルと比較した際のヤマハPシリーズの強みがわかる
電子ピアノのヤマハPシリーズ全モデル比較

ここでは、現在ラインナップされているPシリーズの主要モデル(P-145、P-225、P-525)について、それぞれの特徴や技術的な差異を深掘りしていきます。カタログスペックの数値を見るだけでは伝わりにくい「音の密度」や「指先に返ってくる感覚」といった、実際に使うとどう違うのかという視点で徹底的に解説しますね。
P-145とP-225の違いを徹底解説
まず最初に多くの人が直面する悩ましい選択、それが「エントリーモデルのP-145(またはP-143)にするか、ミッドレンジのP-225(P-223)にするか」という問題です。実勢価格で見ると約2〜3万円の差がありますが、この価格差は一体どこから来ているのでしょうか?結論からズバリ言ってしまうと、予算が許すなら間違いなくP-225をおすすめします。「数万円の差なら安い方でいいや」と安易に決めてしまうと、後々「やっぱりあっちにしておけばよかった…」と後悔する可能性が高いポイントがいくつかあるんです。
決定的な差を生む「音源」の実力
最大の違いは、ピアノの心臓部である「音源」です。P-145には「CFIIIS」という音源が採用されています。これは長年ヤマハの電子ピアノを支えてきた信頼性の高い音源ですが、設計としては一世代前のコンサートグランドピアノをサンプリングしたものです。一方、P-225には現在のヤマハのフラッグシップコンサートグランドである「CFX」のサンプリング音源が搭載されています。この違いは、単に「新しいか古いか」ではありません。CFX音源は、力強く煌びやかな高音と、腹に響くような重厚な低音が特徴で、弾いた瞬間の「あ、いい音だな」という感動の深さが全く違います。特に、弱音(ピアニッシモ)から強音(フォルテッシモ)までのダイナミックレンジの広さはP-225が圧倒しており、感情を込めた演奏表現において大きなアドバンテージがあります。
同時発音数とスピーカーが変える「聞こえ方」
スペック表で地味に見逃されがちなのが「最大同時発音数」です。P-145は64音、P-225は192音です。「指は10本しかないのに64音もいらないでしょ?」と思うかもしれませんが、これは大きな誤解です。ダンパーペダルを踏んで音を伸ばすと、前の音が消える前に新しい音が重なっていきます。特に音数の多い曲や、ピアノ音にストリングス(弦楽器)の音を重ねる「レイヤー機能」を使った場合、64音では限界を超えてしまい、最初に弾いた音がプツプツと消えてしまう「音切れ」が発生するリスクがあります。192音あれば、複雑なペダリングを駆使しても余裕を持って響きを残すことができます。
さらに、スピーカーシステムの違いも重要です。P-145は底面に配置されたフルレンジスピーカー2発のみですが、P-225は高音域を担当するツイーターを含む2Wayスピーカーシステム(計4スピーカー)を採用しています。加えて、P-225は背面のスピーカーグリルだけでなく、奏者に向けて音を放出するスリットが設けられています。これにより、音がこもらずに演奏者の耳にダイレクトに届くため、自分の出した音を正確にモニタリングしやすく、練習の質が向上します。
もちろん、P-145がダメというわけではありません。この価格帯のエントリーモデルでありながら、USBオーディオインターフェース機能を標準搭載している点は、Roland FP-10などの競合機にはない圧倒的な強みです。「DTMの入力用鍵盤(MIDIキーボード)として使いたいけれど、たまにはピアノの音も出したい」「とにかく初期投資を抑えたい」という明確な目的があるなら、P-145は最強のコストパフォーマンスを発揮するでしょう。
P-225の音色や機能については、以下の記事でもガッツリとレビューしていますので、購入前の最終確認としてぜひ参考にしてみてください。
YAMAHA P-225の本音レビュー 新GHC鍵盤と音色を徹底解説
P-525の木製鍵盤とタッチの評判
「ポータブルタイプが良いけれど、タッチには1ミリも妥協したくない」という本物志向のあなた、あるいはピアノ講師の方や上級者のサブ機として検討されているなら、フラッグシップモデルのP-525一択となります。このモデルの存在意義は、なんといっても「GrandTouch-S鍵盤」に集約されています。
木製鍵盤がもたらす「物理的な信頼感」
P-525の白鍵には、無垢の木材が使用されています。これは単に「見た目が高級」とか「手触りがいい」といったレベルの話ではありません。木材はプラスチックに比べて剛性が高く、たわみが少ないため、フォルテッシモで強く叩いた時の力が逃げずにダイレクトにハンマー(センサー)へ伝わります。また、木材特有の振動吸収性により、長時間の演奏でも指への衝撃が緩和され、疲れにくいというメリットもあります。実際に弾いてみると、底打ち感(鍵盤が一番下まで下がった時の感覚)が非常にしっかりしており、プラスチック鍵盤特有の「コツコツ」という軽い感触とは別次元の安定感を感じるはずです。
NWX鍵盤からの進化とエスケープメント
先代モデルであるP-515には「NWX(ナチュラルウッドエックス)鍵盤」が搭載されていましたが、一部のユーザーからは「少し重すぎて、速いパッセージが弾きにくい」という声もありました。P-525のGrandTouch-S鍵盤は、支点距離やレバレッジ(テコの原理)の設計を見直すことで、この課題を見事に克服しています。「重厚な手応えはあるのに、鍵盤の奥側を弾いてもスムーズに沈み込む」という絶妙なバランスに仕上がっており、黒鍵を多用する複雑なクラシック曲や、繊細なトリルもストレスなく演奏できます。
また、アコースティックグランドピアノ特有の、鍵盤をゆっくり押し込んだ時に感じるわずかなクリック感(エスケープメント)も再現されています。これにより、ピアニッシモでのコントロール性が高まり、より繊細な表現が可能になります。樹脂製の鍵盤では再現しきれない、この物理的なフィードバックこそが、上級者がP-525を選ぶ理由です。
ベーゼンドルファー音源とバイノーラルサンプリング
音源に関しても、P-525は特別です。CFX音源に加え、世界三大ピアノの一つであるオーストリアの名門「ベーゼンドルファー・インペリアル」の音源も搭載されています。CFXのきらびやかで抜けの良いサウンドとは対照的に、ベーゼンドルファーは「ウィンナ・トーン」と呼ばれる、柔らかく、温かみのある、どこか潤いを含んだような響きが特徴です。演奏する曲の時代背景や雰囲気に合わせて、この二つの最高峰のピアノを持ち替えられるのは、ヤマハの上位機種だけの贅沢な特権ですね。
さらに、ヘッドホン使用時の体験も一歩進んでいます。「バイノーラルサンプリング」技術により、ヘッドホンをしていても、まるでピアノ本体から音が鳴っているかのような自然な定位感と空気感を得られます。長時間ヘッドホンで練習しても耳が疲れにくいので、夜間の練習がメインの方には大きなメリットとなるでしょう。
P-525の詳細なスペックや旧モデルとの違いについては、こちらの記事でさらに深掘りしています。
YAMAHA P-525徹底レビュー!旧モデルとの違いや価格、鍵盤の評価
新搭載のGHC鍵盤の特徴と評価
今回のPシリーズ刷新における最大のトピックであり、技術的なブレイクスルーと言えるのが「GHC(Graded Hammer Compact)鍵盤」の搭載です。P-145とP-225に採用されているこの新しい鍵盤機構、一体何がすごくて、以前のものとどう違うのでしょうか?
開発の背景:物理的なサイズとの戦い
これまで長年にわたり、ヤマハのエントリー〜ミドルクラスの電子ピアノには「GHS(グレードハンマースタンダード)鍵盤」が採用されてきました。これは非常に信頼性の高い機構でしたが、構造上、鍵盤ユニット自体の奥行きが長く、それを搭載するピアノ本体もどうしても大きくなってしまうという課題がありました。現代の住環境において「省スペース」は正義です。「もっとコンパクトに、でもタッチは落とさずに」という難題に挑んだ結果生まれたのが、このGHC鍵盤なのです。
GHC鍵盤は、内部のハンマー機構やセンサーの位置関係を根本から再設計することで、演奏感を維持したまま物理的なユニットサイズを縮小することに成功しました。これにより、P-225の奥行きは前モデル(P-125)と比較して、さらにスリムな約27cmに収まっています。机の上に置いても圧迫感が少なく、部屋を広く使えるのは嬉しいポイントですよね。
「スカスカになった?」いいえ、むしろ進化しています
コンパクトになったと聞くと、「鍵盤の中身が簡略化されて、タッチがスカスカになったんじゃないの?」と不安になる方もいるかもしれません。しかし、実際に弾いてみるとその心配は杞憂だと分かります。GHC鍵盤は、鍵盤を押した時の初動の抵抗感と、その後の抜けの良さが非常にうまく調整されています。むしろ、旧来のGHS鍵盤よりも鍵盤の戻りがスムーズで、反応が良くなっている印象さえ受けます。
技術的な話をすると、GHC鍵盤は2センサー方式を採用しています。3センサーの上位機種(Roland PHA-4など)に比べると、理論上の高速連打性能は劣る可能性がありますが、実際にブルグミュラーやソナチネ程度の楽曲を弾いてみても、音切れや発音ミスを感じることはまずありません。むしろ、センサーの数よりも「鍵盤が指についてくる感覚」が向上しており、ポップスやジャズの速いフレーズも弾きやすく、クラシックの基礎練習にも十分耐えうる「優等生なタッチ」と言えます。
もちろん、グランドピアノの重厚なタッチそのものかと言われれば、そこはポータブルピアノの限界があります。しかし、限られたスペースとコストの中で、ここまで「ピアノらしい弾き心地」を実現したヤマハの技術力は、素直に評価できるものです。初心者の方が変な癖をつけることなく、正しく指を鍛えるための最初のステップとして、GHC鍵盤は非常に理にかなった選択肢だと思います。
音源とスピーカー性能の進化
電子ピアノを選ぶ際、多くの人が「鍵盤タッチ」を重視しますが、実はそれ以上に演奏の満足度を左右するのが「音響システム」です。どんなに良い鍵盤でも、出てくる音がチープだと弾いていて楽しくありませんよね。P-225以上に搭載されている技術は、その点において大きな進化を遂げています。
VRM Liteが作り出す「空気の震え」
特筆すべき技術が「VRM Lite(バーチャル・レゾナンス・モデリング・ライト)」です。アコースティックピアノは、ハンマーが弦を叩く音だけが鳴っているわけではありません。叩かれた弦の振動がフレームや響板、そして弾いていない他の弦にも伝わり、楽器全体が共鳴して複雑で豊かな響きを生み出しています。従来の電子ピアノは、この「共鳴音」を一律の録音データとして再生していたため、どうしても単調な響きになりがちでした。
VRM Liteは、この複雑な共鳴現象をリアルタイムで計算・シミュレートする技術です。例えば、ダンパーペダルを踏み込んだ状態で和音を弾くと、ペダルを踏んでいない時とは全く異なる、音が重なり合って空間に溶け込んでいくような「濁り」や「うねり」まで再現されます。これにより、ドビュッシーのような色彩豊かな曲を弾いた時の没入感が劇的に向上します。「音が良い」というより、「ピアノの挙動がリアル」という表現がしっくりくるでしょう。
演奏者に音を届けるスピーカー設計
P-225のスピーカー設計にも工夫が凝らされています。背面のスピーカーグリルに加え、鍵盤の奥側に奏者に向けて音を放出するスリット(隙間)が設けられています。これにより、高音域のキラキラした成分や、音の輪郭が直接耳に届くようになり、ヘッドホンなしで演奏した時の気持ちよさが格段にアップしました。
また、P-225には「Sound Boost(サウンドブースト)」機能も搭載されています。これは単に音量を上げるだけでなく、音の密度や存在感を高める機能です。例えば、バンドの中でピアノを弾くときや、周囲の雑音が大きい環境で演奏するときにこの機能をオンにすると、音が埋もれることなく、くっきりと前に出てきます。自宅での繊細な練習から、パーティーやライブでの演奏まで、シーンに合わせて音のキャラクターを変えられるのは、Pシリーズならではの強みです。
アプリやUSBオーディオの活用法
現代の電子ピアノは、単体で弾くだけではもったいない!ヤマハが提供している無料アプリや、PC・スマホとの連携機能を使いこなすことで、楽しみ方は無限に広がります。
Smart Pianistで操作性が激変
ヤマハの電子ピアノユーザーなら絶対に入れておきたいのが、専用アプリ「Smart Pianist」です。通常、Pシリーズのような液晶画面のない電子ピアノで設定を変更する場合、「Functionボタンを押しながらC#3の鍵盤を押す」といった、まるで隠しコマンドのような操作を要求されます。正直、マニュアルがないと覚えきれません。
しかし、Smart Pianistを使えば、スマホやタブレットの大きな画面を見ながら、タッチ操作で直感的に設定が可能です。「コンサートホールのような響きにしたい」「音色をピアノとストリングスのレイヤーにしたい」「タッチ感度を少し重めにしたい」といった調整も一瞬で完了します。さらに、内蔵曲のコード進行を解析してコード譜を表示してくれる「Audio to Score」機能など、練習をサポートする機能も満載です。これを使うだけで、ピアノの使い勝手がガラリと変わりますよ。
USBオーディオインターフェース機能の恩恵
P-145を含むPシリーズ現行モデルの最大の強み、それが「USBオーディオインターフェース機能」の標準搭載です。通常、電子ピアノの音をクリアにPCやスマホに録音しようとすると、数千円〜数万円する「オーディオインターフェース」という別機材と、複雑な配線が必要になります。
しかしPシリーズなら、USBケーブル1本でPCやスマホと繋ぐだけで、ピアノの音をデジタルのまま直接デバイスに送ることができます。つまり、追加投資なしでプロ並みの高音質な「弾いてみた動画」を撮影したり、Zoomなどのオンラインレッスンで先生にクリアな音を届けたりすることができるのです。さらに、P-225とP-525は24bitというハイレゾに近い高解像度での録音に対応しており、DAW(音楽制作ソフト)を使った本格的なレコーディング用途にも十分耐えうるスペックを持っています。DTMを楽しむクリエイターにとっても、この機能は非常に強力な武器になるはずです。
電子ピアノのヤマハPシリーズの選び方

各モデルの技術的な詳細を理解したところで、次は「あなたにとってのベストバイ」を見つけるための実践的な選び方ガイドです。競合他社との比較や、必須アクセサリの選定など、購入前に知っておくべきポイントを整理しましょう。
ローランドやカワイとの競合比較
電子ピアノ市場において、ヤマハのPシリーズと真っ向から勝負しているのが、ローランドの「FPシリーズ」と、カワイの「ESシリーズ」です。これらは価格帯もターゲット層も重なっていますが、実際に弾き比べてみると、メーカーごとの設計思想の違いがはっきりと分かります。
Roland(FP-10, FP-30X)との比較
ローランドの強みは、なんといっても「鍵盤の重厚感」です。同価格帯のFP-10やFP-30Xに搭載されている「PHA-4スタンダード鍵盤」は、エスケープメント機構を備え、物理的な重さもしっかりとあります。「指を鍛えるために、あえて重い鍵盤が良い」「アコースティックピアノの重みに近いものが欲しい」というストイックな練習を求める方には、ローランドが適しているかもしれません。
しかし、逆に言えば「重すぎて疲れる」「鍵盤の戻りが遅くて速い曲が弾きにくい」と感じるリスクもあります。これに対し、ヤマハのGHC鍵盤は「適度な重さと軽快な戻り」を両立させたバランス型です。長時間弾いても疲れにくく、ポップスのような軽快な曲も弾きやすいのがヤマハの特徴です。音色についても、ローランドは「輪郭がくっきりとした派手な音」、ヤマハは「癖のない、澄んだ素直な音」という違いがあります。
Kawai(ES120)との比較
カワイのES120は、ヤマハ以上に「軽やかさ」を追求したモデルです。鍵盤は非常にスムーズで反応が良く、打鍵音(コトコトという音)も静かです。音色はカワイ特有の、落ち着いた深みのある響きが特徴です。クラシックピアノの練習用として非常に優秀ですが、機能面(特にオーディオインターフェース機能など)ではヤマハが一歩リードしています。
結論として、「万人に愛されるバランスの良さと機能性」を求めるならヤマハ、「重厚なタッチと派手な音」ならローランド、「繊細なタッチと落ち着いた音」ならカワイ、という住み分けになります。どれも素晴らしい楽器ですが、ご自身の演奏スタイルや好みに合わせて選ぶことが大切です。
メーカーごとの詳細な比較については、以下の記事でも徹底検証しています。
電子ピアノ ローランド ヤマハ どっちが買い?機能と価格を徹底比較
専用スタンドやペダルの必要性
電子ピアノ本体の予算に気を取られて、意外と見落としがちなのがスタンドとペダルです。しかし、これらは演奏の上達に直結する重要な要素ですので、最初から予算に組み込んでおくことを強くおすすめします。
X型スタンドは避けるべき?専用スタンドのメリット
よく楽器店でセット販売されている「X型スタンド」は、安価で折りたたみもできて便利ですが、メインで使うピアノの台としては正直おすすめできません。構造上、足元のスペースが狭くてペダルが踏みにくいうえに、激しい演奏をするとどうしても左右に揺れてしまいます。ピアノが揺れると、無意識のうちに体がバランスを取ろうとして余計な力が入り、脱力の妨げになったり、変な演奏フォームが身についてしまう原因になります。
予算が許すなら、メーカー純正の家具調スタンド(L-200など)を選んでください。本体を両サイドからガッチリと固定するため、安定感は段違いです。揺れが少ないということは、打鍵のエネルギーが逃げずにピアノに伝わるということであり、タッチのコントロールもしやすくなります。見た目もインテリアに馴染みやすく、高級感が出ますよ。
「サステインペダル」は別途購入が必須
次にペダルです。Pシリーズに付属している四角いフットスイッチは、あくまで「簡易的なスイッチ」です。ONかOFFしか検知できないため、音を響かせながら徐々に切っていく「ハーフペダル」という奏法ができません。ドビュッシーやショパンはもちろん、ポップスのバラードを弾く際にも、ハーフペダルは必須のテクニックです。
最低でも、ハーフペダルに対応したサステインペダル「FC3A」を別途購入しましょう。形状もアコースティックピアノに近く、重量感があるため演奏中にズレにくいです。さらに本格的な環境を整えるなら、専用スタンドに装着する3本ペダルユニット「LP-1」がベストです。これなら、ソステヌートペダルやソフトペダルも使え、完全にピアノと同じ操作体系で練習できます。
初心者に最適なモデルの推奨
これからピアノを始める初心者の方、あるいは子供のレッスン用に検討されている親御さんにとって、結局どのモデルを買うのが正解なのでしょうか?
私の結論としては、「P-225」が最も失敗のない選択であり、長く愛用できるベストバイだと断言します。その理由は「耳が育つから」です。初心者のうちは「音なんて鳴ればいい」と思いがちですが、実は逆です。初心者のうちこそ、良い音、正しい響きで練習することが重要です。CFX音源とVRM Liteによる豊かな響きは、自分が弾いたタッチのニュアンスを正直に返してくれます。「優しく弾くと柔らかい音がする」「強く弾くと鋭い音がする」というフィードバックを得ることで、自然と表現力が身につきます。
また、P-225のデザイン性も見逃せません。部屋に置いていて「かっこいい」「美しい」と思える楽器は、それだけでピアノに向かうモチベーションを上げてくれます。練習を継続するための要素として、見た目は意外と重要なんですよ。
もちろん、予算がどうしても限られている場合や、DTMの打ち込み用メインで考えている場合はP-145も素晴らしい選択肢です。基本的な鍵盤の品質(GHC鍵盤)は担保されていますし、USBオーディオ機能もあるので、将来的に用途が変わっても潰しが効きます。しかし、「ピアノを弾く楽しさ」を最優先するなら、やはりP-225に軍配が上がります。
中古市場の相場と購入の注意点
「少しでも安く手に入れたい」と、メルカリやヤフオク、リサイクルショップで中古品を探している方もいるでしょう。ヤマハの電子ピアノはブランド力があり、耐久性も高いため、中古市場でも非常に人気があります。P-125やP-115といった旧モデルも数多く流通していますが、購入時にはいくつかのリスクを理解しておく必要があります。
最大の懸念事項:鍵盤接点の劣化
電子ピアノの中古購入で最も怖いのが、「鍵盤の接点ゴム(ラバードーム)の劣化」です。電子ピアノの鍵盤の下には、スイッチの役割をするゴム製の部品が入っています。これは消耗品であり、長期間使用したり、経年劣化が進むと破れたり硬化したりします。その結果、「特定の鍵盤だけ音が鳴らない」「優しく弾いても最大の音量(ベロシティ127)で鳴ってしまう」といった故障が発生します。
特に製造から5年以上経過しているモデルを購入する場合、このリスクはかなり高まります。修理に出すと、技術料と部品代、出張費などで2〜3万円かかることも珍しくありません。「安く買ったつもりが、修理代を含めると新品と変わらなかった」なんてことにならないよう、出品者の説明文(使用頻度や保管状況)をよく確認し、可能であれば試弾できる実店舗での購入をおすすめします。
P-225のような現行モデルであれば、まだ発売から日が浅いため状態が良いものが多いですが、人気機種ゆえに中古相場も値崩れしておらず、新品との価格差が数千円〜1万円程度しかないことも多いです。メーカー保証(通常1年)や付属品の欠品の有無を考えると、数千円の差なら新品を購入したほうが精神衛生上も良く、長く安心して使えるはずです。
電子ピアノのヤマハPシリーズの総評
長くなりましたが、最後にまとめです。現在のヤマハPシリーズは、エントリーからハイエンドまで、非常に隙のないラインナップになっています。
- P-145: コスパ最強のエントリー機。DTM用途や、予算重視でピアノを始めたい人向け。USBオーディオ機能が最大の武器。
- P-225: バランスの取れたベストバイ。CFX音源とVRM Liteによる本格的な響きと、コンパクトで美しいデザインが魅力。初心者から中級者まで満足度が高い。
- P-525: 妥協なきプロ・ハイアマチュア向け。木製鍵盤とベーゼンドルファー音源を搭載し、ポータブルの枠を超えた演奏体験を提供する。
住環境や予算、そして「ピアノとどう付き合っていきたいか」に合わせて最適な一台を選んでください。どのモデルを選んだとしても、ヤマハというメーカーが長年培ってきた「ピアノ作りへの誠実さ」はしっかりと詰め込まれています。電子ピアノは、一度買えば長くあなたのパートナーとなってくれる楽器です。この記事が、あなたにとって後悔のない最高の一台と出会うきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
ヤマハPシリーズの公式スペックや詳細な仕様については、以下のメーカー公式サイトでも確認できます。
(出典:ヤマハ『Pシリーズ 製品情報』)




