こんにちは!電子ピアノの楽しさを伝える「電子ピアノナビ」運営者のピア憎です。
ピアノを弾く人なら一度は憧れる、パッヘルベルの「カノン」。あの美しいメロディを自分で奏でられたら…素敵ですよね。でも、いざ「ピアノカノン 難易度」と検索してみると、情報が多すぎて「結局、自分に弾けるのはどれなの?」と混乱してしまう方も多いんじゃないでしょうか。
ひとくちにカノンと言っても、実は楽譜によって難易度は初級レベルからプロが弾くような上級レベルまで、ものすごく幅が広いんです。特に、YouTubeで人気のリーギャロウェイ版や、独特の響きが魅力のジョージウィンストン版など、特定のアレンジの難易度が気になりますよね。また、結婚式や発表会で披露したいけど失敗はしたくない、独学でも弾けるようになるのか、習得期間はどれくらいかかるのか、といった具体的な悩みも尽きないと思います。有名なエリーゼのためにと比較して難しいのか、というのも気になるところです。
この記事では、そんなカノンの難易度に関するあらゆる疑問に、ピアノ好きの私がトコトンお答えしていきます。あなたにピッタリの楽譜を見つけて、憧れのカノンをマスターするためのお手伝いができれば嬉しいです!
- 自分に合ったカノンの難易度レベルが分かる
- 人気の編曲(アレンジ)ごとの特徴と注意点が分かる
- 独学でつまずきやすいポイントとその練習法が分かる
- 結婚式などシーン別のおすすめ楽譜選びが分かる
ピアノカノン難易度の全体像を徹底解剖
まずは「カノン」という曲が、ピアノで弾く上でどうしてこんなに難易度の議論を呼ぶのか、その全体像から見ていきましょう。この曲は原曲がピアノ曲ではない、という点が最大のポイント。ヴァイオリン3本と通奏低音(チェロやチェンバロなど)のために書かれた曲を、たった10本の指で再現しようとするからこそ、編曲によって難易度が大きく変わるんですね。曲の構造や他の有名曲との比較を知ることで、自分に合ったレベルを見つけやすくなりますよ。
初級から上級まで!レベル別難易度の目安
カノンの楽譜は本当に多種多様ですが、ざっくりと「初級」「中級」「上級」の3つのレベルに分類できます。ピアノの教則本でいうと、どのあたりに位置するのかも合わせて解説しますので、ご自身の今のレベルと照らし合わせてみてくださいね。
【初級】まずはメロディを楽しみたい人向け(バイエル40番~80番程度)
このレベルは、「とにかくカノンのメロディを自分で弾いてみたい!」という夢を叶えるためのアレンジです。ピアノを始めたばかりの方や、何年もピアノから離れていて指が動くか不安な「再開組」の方にぴったりです。
最大の特徴は、徹底的に「弾きやすさ」が追求されていること。原曲の調はニ長調(D Major)でファとドにシャープが付きますが、初級版では黒鍵を使わないハ長調(C Major)に移調されていることがほとんど。これにより、黒鍵に慣れていない初心者の方でも抵抗なく譜読みを進められます。また、曲のクライマックスを形成する16分音符の速いパッセージは、8分音符に簡略化されていたり、大胆にカットされていたりします。左手の伴奏も、複雑なアルペジオではなく、押さえやすい単音や和音(ブロックコード)になっているため、左右で違う動きをするのが苦手な方でも安心です。このレベルなら、挫折するリスクはかなり低いと言えるでしょう。ただし、弾きやすい分、原曲の持つ荘厳さや流麗さ、徐々に盛り上がっていく高揚感は少し控えめになる点は理解しておく必要があるかもしれません。
【中級】原曲の美しさを再現したい人向け(ブルグミュラー終了~ソナチネ程度)
多くの人が「カノン」と聞いてイメージする、最もスタンダードなのがこの中級レベルのアレンジです。市販のピアノ名曲集に収録されているものや、インターネット上で人気のある楽譜の多くは、このレベルに該当するかなと思います。原曲の構成をピアノソロで可能な限り忠実に再現しようとしており、カノンの持つ魅力を存分に味わうことができます。
ここからはいよいよ原曲キーのニ長調での演奏になります。左手は曲を通してアルペジオ(分散和音)を奏で、安定した土台を築く役割を担います。右手は、最初はゆったりとした4分音符のメロディから始まり、8分音符、そして16分音符の連続へと変奏していきます。この16分音符のセクションを、粒を揃えて滑らかに弾きこなせるかどうかが、中級レベルをクリアできるかどうかの大きな分かれ道。ブルグミュラー25番の練習曲を終え、ソナチネアルバムに入ったくらいのレベル感があれば、じっくり取り組むことで必ず弾きこなせるはずです。表現の幅も広がり、「自分だけのカノン」を奏でる喜びを感じられるでしょう。
【上級】聴き映えする華やかな演奏を目指す人向け(チェルニー40番~50番以上)
スタンダードなカノンでは物足りない、もっと技巧的で自分らしい表現を加えたい!という上級者向けのアレンジです。コンサートや発表会で他の人と差をつけたい場合にも選ばれます。
このレベルになると、もはや編曲者の腕の見せ所。原曲の和声進行をベースにしながらも、より複雑な和音に置き換えるリハーモナイズが施されたジャズアレンジ、リストやラフマニノフを彷彿とさせるような重厚なオクターブ奏法や広い音域を駆け巡るアルペジオが盛り込まれたヴィルトゥオーゾ(超絶技巧)風アレンジなど、そのスタイルは様々です。辻井伸行さんのようなプロのピアニストが演奏するカノンも、独自の編曲が加えられた上級版であることが多いですね。単に指が速く動くだけでなく、複雑な響きをコントロールするペダリング技術や、音楽理論への深い理解も求められる、まさに挑戦者向けの難易度と言えます。
難易度を左右する左手の役割と練習法
カノンに挑戦した多くの人が「右手のメロディはなんとかなるけど、左手が…」という壁にぶつかります。そう、カノンの難易度の半分以上は、この単調かつ過酷な左手の役割にあると言っても過言ではありません。なぜ左手がこれほど難しいのか、その理由と具体的な練習法を掘り下げていきましょう。
パッヘルベル進行という「無限ループ」
カノンの構造は、通奏低音(ベースライン)が奏でる8つの和音の繰り返しによって成り立っています。これは「パッヘルベル進行」としてあまりにも有名ですね。
この無限ループが、ピアノ演奏において2つの大きな問題を引き起こします。
- 精神的難易度(ゲシュタルト崩壊):同じことの繰り返しは、集中力を維持するのが非常に難しいです。特に暗譜で弾いていると、「あれ、今何回目のループだっけ?」と現在地を見失う、いわゆる「迷子」状態に陥りやすいのです。一度迷子になると、復帰するのは至難の業です。
- 身体的難易度(静的な緊張):左手は、このループをアルペジオなどの形でほぼ休みなく弾き続けます。これは長距離マラソンに似ていて、腕や手首に常に同じ負荷がかかり続けます。脱力ができていないと、筋肉はどんどん硬直し、曲の後半ではテンポが落ちたり、ミスタッチが増えたりする原因になります。
左手を疲れさせないための具体的な練習法
では、この「左手の壁」を乗り越えるにはどうすればいいのでしょうか。根性で弾き続けるのではなく、効率的な練習で克服しましょう。
- 徹底的な脱力の意識
まずは、手首や腕がガチガチに固まっていないかチェックしてください。鍵盤を押すのは指の力ですが、その指を動かすエネルギーは腕全体からスムーズに伝わってくるイメージです。アルペジオを弾くときは、手首を固定せず、わずかに円を描くように柔らかく使う「ローテーション奏法」を意識すると、無駄な力が抜けて驚くほど楽に弾けるようになります。 - リズム変奏で指を独立させる
左手のパートだけを取り出し、メトロノームに合わせてリズムを変えて練習します。例えば、「タッカタッカ」(付点リズム)や「カッターカッター」(逆付点リズム)で弾いてみましょう。これにより、各指が独立して動く感覚が養われ、均一な音量(粒立ち)でアルペジオを弾くためのコントロール能力が向上します。 - スタッカート練習で瞬発力を鍛える
同じく左手パートを、今度はスタッカート(音を短く切って)で練習します。鍵盤に触れている時間をできるだけ短くするイメージです。これは指の瞬発力を鍛えるのに効果的で、リラックスした状態で正確に鍵盤を捉える感覚を身につけるのに役立ちます。
これらの地味な基礎練習こそが、カノンを最後まで美しく弾ききるための最も確実な道筋です。
習得期間はどれくらい?レベル別の目安
新しい曲に挑戦するとき、「この曲、弾けるようになるまで一体どれくらいかかるんだろう?」というのは、モチベーションを保つ上でも非常に重要な問題ですよね。もちろん、個人のピアノ経験、練習に割ける時間、そして目標とする完成度によって大きく変わるのが大前提ですが、ここでは一般的な目安をもう少し詳しく見ていきましょう。
例えば、中級者の方が標準的な中級アレンジに取り組む場合、「1〜2ヶ月」というのは、まずまずミスタッチなく最後まで通せるようになるまでの期間です。そこから、人に聴かせて「素敵だね」と言われるレベルに仕上げるには、さらに1〜2ヶ月、表現を磨き込む時間が必要になるかもしれません。具体的には、音の強弱(ダイナミクス)をつけたり、テンポを自然に揺らしたり(ルバート)、ペダルを使って響きをコントロールしたり、といった作業ですね。
独学で進める場合は、自分の演奏を客観的に聴くのが難しいので、少し長めに見積もっておくと良いでしょう。スマートフォンの録音機能などを使って自分の演奏を録音し、聴き返してみるのがおすすめです。思わぬ癖やテンポの乱れに気づくことができ、効率的な練習に繋がります。
エリーゼのためにと難易度を比較
自分のピアノレベルを客観的に把握するために、他の有名なピアノ曲と難易度を比べてみるのは非常に有効な方法です。ここでは、ピアノ学習者なら誰もが知っているであろう名曲たちと、カノンの中級アレンジ(リー・ギャロウェイ版などを想定)を比較してみましょう。
こうして比較してみると、カノンの中級アレンジは、ピアノ学習の基本的な要素(アルペジオ、スケール、和音、持久力、ポリフォニー)がバランス良く詰まった、まさに「総合力を試される良曲」だということが分かりますね。この曲をマスターすることは、他の様々な曲に応用できる確かな実力を養うことに繋がるはずです。
独学で挑戦する際の3つの壁
ピアノ教室に通わず、YouTubeのレッスン動画や教則本を頼りに自分のペースでカノンに挑戦したい、という方もたくさんいらっしゃると思います。独学は時間や場所に縛られず自由に進められる素晴らしい学習法ですが、客観的なフィードバックがない分、つまずきやすいポイントがいくつか存在します。事前に「3つの壁」の存在を知っておけば、きっと冷静に対処できるはずです!
壁①:中盤の譜読み地獄(The Reading Wall)
カノンの楽譜は、最初は音符もまばらで「これならいけるかも?」と思わせてくれます。しかし、曲が進むにつれて右手は16分音符で埋め尽くされ、楽譜はどんどん真っ黒に…。この見た目の威圧感に、「うわっ、やっぱり無理かも…」とモチベーションが急降下してしまうのが最初の壁です。
【対策】
この壁を乗り越える合言葉は「セグメンテーション(分割)」です。絶対に曲の最初から最後まで通そうとしないでください。まずは2小節、慣れてきたら4小節(カノンのコード進行1ループ分)というように、ごく短い単位に区切ります。そして、そのブロックだけを完璧に弾けるようになるまで反復練習するのです。カノンは同じコード進行の繰り返しなので、実は右手に出てくる音のパターンも似通っています。一つのブロックをマスターすれば、次のブロックの譜読みが格段に楽になる「チャンキング」という効果が期待できます。「見た目ほど難しくない」ということに気づければ、この壁は乗り越えられます。
壁②:左手の疲労とテンポの乱れ(The Endurance Wall)
これは先ほども詳しく解説しましたが、独学者が特に陥りやすい問題です。教室なら先生が「もっと肩の力を抜いて!」と指摘してくれますが、一人の練習では無意識に力が入っていることに気づきにくいのです。曲の後半、クライマックスに向かって盛り上げたいのに、左手が疲れてどんどんテンポが遅くなってしまう…というのは、非常にもどかしいですよね。
【対策】
練習の最初に、左手だけの練習時間を5分でもいいので確保しましょう。前述した「スタッカート練習」や「リズム変奏」を取り入れ、指の筋肉をほぐし、リラックスさせる感覚を体に覚え込ませます。また、スマートフォンのメトロノームアプリを活用し、自分が弾きやすいテンポより少し遅いBPM(例:BPM=60)に設定して、左手パートを正確に弾く練習を繰り返してください。土台が安定すれば、右手も安心してメロディを歌わせることができます。
壁③:右手の薬指・小指の独立(The Finger Independence Wall)
カノンの美しいメロディは、多くの場合、一番高い音、つまり右手の外側にある薬指(4番)や小指(5番)が担当します。これらの指は構造的に弱く、意識しないと音が鳴らなかったり、他の指につられてリズムが転んでしまったりしがちです。メロディが聞こえないカノンは、ただの伴奏になってしまいます。
【対策】
これは地道な筋トレしかありません。右手のメロディラインだけを取り出し、特に4番・5番の指で弾く音を、一音一音しっかりレガートで弾く練習をします。まるで指先に小さな重りが付いているようなイメージで、鍵盤の底までしっかり重みを伝える感覚です。ハノンのような基礎練習教本には、4番・5番の指を強化するための練習曲がたくさん収録されています。遠回りに見えても、こうした基礎練習を併用することが、美しいメロディを奏でるための最短の道となります。
楽譜別ピアノカノン難易度と実践ガイド
さて、ここからはより具体的に、皆さんが「弾いてみたい!」と思っているであろう、特定の編曲(アレンジ)ごとの難易度と演奏のポイントを、さらに深く掘り下げていきます。「どの楽譜を選べばいいか分からない」という方は、ぜひこのセクションを参考に、ご自身の目標となるカノンを見つけてみてくださいね。
リーギャロウェイ版の難易度と弾き方
YouTubeで「Pachelbel Canon in D」と検索すれば、おそらく誰もが一度は目にするであろう、Lee Galloway(リー・ギャロウェイ)氏によるアレンジ。その再生回数の多さからも分かる通り、現代のピアノカノンにおける、まさに「スタンダード」であり「王道」と言えるバージョンです。
- 難易度評価:初中級~中級(ピアノ教則本で言えば、ブルグミュラー25の練習曲の後半からソナチネアルバムに入ったあたりが目安です)
なぜこのアレンジは人気なのか?
人気の理由は、原曲の持つポリフォニー(複数の旋律が絡み合う)の美しさを損なうことなく、ピアノという楽器の特性に合わせて非常に巧みに編曲されている点にあります。単に音をピアノに置き換えただけでなく、ペダルを使った響きの豊かさや、ピアニスティックなアルペジオの滑らかさが考慮されており、弾いていて非常に心地よいのです。難しすぎず、かといって簡単すぎて物足りないということもない、絶妙な難易度設定が、多くのピアノ愛好家の心を掴んでいるのだと思います。
攻略のポイントと具体的な練習法
このアレンジを攻略する鍵は、やはり中盤から登場する16分音符の連続するパッセージにあります。特に9小節目から24小節あたりは、最初の関門となるでしょう。
- 指使い(運指)の確定とパターン化:楽譜に推奨の指使いが書かれている場合も多いですが、自分の手の大きさに合わせて最適な指使いを見つけることが重要です。一度決めたら、それを毎回必ず守って練習します。例えば、上昇するスケール(音階)で「1-2-3-1-2-3-4-5」という基本の形や、アルペジオで「5-2-1-2」といった回転を伴う動きなど、出てくるパターンは限られています。このパターンを体で覚えてしまうのが近道です。
- 左右のタイミングを合わせる練習:左手は8分音符のアルペジオ、右手は16分音符のメロディという場面では、左手の1音に対して右手が2音を正確に入れる「2対1」のリズム感を養う必要があります。メトロノームを使い、最初はこれ以上ないというくらいゆっくりなテンポで、左手の音と右手の1音目、3音目がピッタリ重なることを確認しながら練習しましょう。
- 声部の弾き分け(Voicing):右手が和音を弾きながらメロディを奏でる部分では、全ての音を同じ強さで弾かないように意識することが大切です。一番高い音(主に小指や薬指で弾くメロディライン)に少しだけ重みを乗せ、内側の音(親指や人差し指で弾く伴奏の音)はそっと触れるように弾くと、メロディがクリアに浮かび上がり、プロのような立体的な演奏に近づきます。
ピアノ歴が2~3年あり、基礎的な指の練習を続けてきた方であれば、じっくり取り組むことで必ず弾きこなせる、非常に達成感のあるアレンジです。正統派で美しいカノンを弾きたいなら、まずこの楽譜から挑戦してみることを強くおすすめします。
ジョージウィンストン版は手が届かない?
ニューエイジ・ミュージックの巨匠、ジョージ・ウィンストン(George Winston)がアルバム『December』で発表した「カノンによるヴァリエーション(Variations on the Kanon)」。原曲の荘厳さに、どこか懐かしく温かみのある独自の解釈を加えたこのアレンジは、「私が弾きたいカノンはこれなんです!」と指名検索する人が後を絶たない、特別な魅力を持っています。
- 難易度評価:中級~中上級(技術的な難所が特殊なため、単純なクラシックの物差しでは測りにくい部分があります)
最大の障壁:「10度の壁」とその対処法
このアレンジに挑戦するほぼ全ての人が直面するのが、彼の演奏スタイルの象徴でもある、左手で「10度」の音程を和音として押さえるという、あまりにも有名な難所です。10度とは、例えば「ド」の音から数えて10番目の「ミ」(1オクターブ上のミ)のことで、これを同時に押さえるには、オクターブが余裕で届く以上の、かなり大きな手が必要になります。
音楽的な特徴とその他の難所
「10度の壁」をクリアしたとしても、このアレンジには他にも独特の難しさがあります。
- リズム感:中間部にはスタッカートを多用した軽快なセクションがあり、クラシック的なレガート奏法とは異なる、少し跳ねるようなリズム感(ストライド・ピアノやラグタイムの影響)が求められます。
- ペダリング:響きを豊かに保ちつつも、和音が濁らないように踏み替える高度なペダルコントロールが必須です。彼の演奏は、ペダルがまるで3本目の手であるかのように、響きを巧みに操っています。
このように、ジョージ・ウィンストン版は単に指が動くだけでは弾けない、音楽的な表現力と特殊な技術が求められる、非常に奥深いアレンジです。憧れの曲であることは間違いありませんが、挑戦するには相応の準備と、時には「完璧に再現できなくても自分なりに楽しむ」という割り切りも必要かもしれません。
結婚式で失敗しないための楽譜選び
友人の結婚式の余興や、自身の披露宴でのBGMとして、カノンを生演奏できたら… これ以上ない素敵なプレゼントになりますよね。しかし、このシチュエーションは、普段の練習や発表会とは全く異なる、極度のプレッシャーがかかる特殊な環境です。この環境を理解せずに楽譜を選ぶと、思わぬ失敗に繋がってしまうかもしれません。
実質難易度は「プラス2レベル」で考える
大勢のゲスト(中にはピアノを全く聴かない人もいます)の前で、たった一人で演奏する。空調の音、話し声、そして「失敗できない」という自分自身のプレッシャー。こうした要因により、指は震え、心臓は高鳴り、普段ならなんてことないパッセージでさえ、信じられないようなミスをしてしまう可能性があります。私の感覚では、結婚式本番での実質的な難易度は、普段の練習時の「プラス2レベル」くらいに跳ね上がると考えておいた方が安全です。普段「中級」が弾ける人でも、本番では「初級」レベルの演奏しかできなくなることは、決して珍しいことではありません。
最大のリスク「暗譜飛び」の恐怖
特に怖いのが、緊張で頭が真っ白になってしまう「暗譜飛び(Memory Slip)」です。カノンは同じコード進行の無限ループであるため、一度「今どこを弾いているんだっけ?」と迷子になると、目印になるような特徴的なメロディが少なく、復帰するのが非常に困難です。この事故はプロの演奏家でも起こりうることで、結婚式の場で起きてしまうと、場の空気を凍らせてしまいかねません。
大切な日の演奏を、冷や汗の思い出ではなく、最高の思い出にするために。見栄を張らず、自分に正直な楽譜選びをすることが何よりも重要です。
無料のおすすめ楽譜はある?
「まずは気軽に試してみたい」「お金をかけずに始めたい」という思いから、「カノン 楽譜 無料」と検索する方は非常に多いと思います。実際に、IMSLP(国際楽譜ライブラリープロジェクト)のようなサイトでは、著作権が切れたクラシック音楽の楽譜が合法的に、無料でダウンロードできます。(出典:IMSLP/ペトルッチ楽譜ライブラリー)これは本当に素晴らしいプロジェクトですよね。しかし、特にピアノを独学で練習している方にとっては、無料楽譜にはいくつかの注意すべき点が存在します。
一方で、「ぷりんと楽譜」や「Piascore(ピアスコア)」といった楽譜配信サイトで販売されている数百円の有料楽譜は、現代のピアノ学習者のためにプロが編曲・校正しています。そのため、見やすいレイアウトで、適切な指番号やペダル記号が丁寧に書き込まれています。
考えてみてください。指使いを自分で考える時間、読みにくい楽譜と格闘する時間…これらを時給に換算したら、一体いくらになるでしょうか。数百円を投資することで、その何倍もの価値がある「時間」と「練習の効率」を手に入れられるのです。特に、回り道をしている時間がない大人の方や、正しい練習法が分からない独学者の方こそ、質の高い有料楽譜を選ぶメリットは計り知れないと、私は強く思います。
FAQ:発表会で映えるアレンジは?
ピアノの発表会や、最近人気のストリートピアノでカノンを弾く場合、ただ上手に弾くだけでなく、聴いている人の心に残り、注目を集めるような「聴き映え」も意識したいところですよね。ここでは、そうしたパフォーマンスの場で効果的なアレンジや演奏のコツについて、よくある質問にお答えする形でお話しします。
Q. どんなアレンジが「映え」ますか?
A. 少し派手さのある、ダイナミックなアレンジがおすすめです。静かなコンサートホールとは違い、発表会の会場や屋外のストリートピアノは、他の人の話し声や周りの雑音がある程度存在する環境です。そのため、あまりに繊細でピアニッシモ(とても弱い音)が続くようなアレンジは、音が埋もれてしまいがちです。
具体的には、
- 高音域でキラキラしたアルペジオやグリッサンド(指を滑らせて弾く奏法)が入っている
- 低音域でオクターブを使った重厚な和音が鳴り響く場面がある
- ジャズ風のおしゃれな和音が使われている
といった、音のコントラストがはっきりしたアレンジが聴衆の耳を引きつけやすいでしょう。ただし、自分の技術レベルを大きく超えたアレンジを選ぶのは禁物です。ミスタッチだらけの派手な演奏より、自分の実力で確実に弾きこなせる範囲で最も華やかに聞こえるアレンジを探すことが重要です。
Q. 演奏で気をつけることはありますか?
A. 強弱(ダイナミクス)のコントラストを普段より3割増しくらい大げさにつけることを意識してみてください。一番弱い音(ピアノ)と一番強い音(フォルテ)の差をはっきりとさせることで、演奏に立体感が生まれ、聴いている人を惹きつけます。特に、カノンのように同じメロディが繰り返される曲では、ループごとに少しずつ音量を上げていく(クレッシェンド)ことで、曲の盛り上がりを効果的に演出できます。
また、テンポ設定も重要です。緊張すると無意識にテンポが速くなりがちですが、あえて少しゆったりとしたテンポで弾き始めることで、聴衆は落ち着いて音楽に耳を傾けることができます。そして、クライマックスに向かって少しずつテンポを上げていく(アッチェレランド)と、よりドラマティックな演奏になりますよ。
まとめ:あなたに合うピアノカノン難易度
ここまで、本当に様々な角度からピアノカノンの難易度について見てきました。情報量が多かったので、最後に大切なポイントを整理しておきましょう。
「ピアノカノン難易度」という、多くの人が抱くこの疑問に対する最も的確な答えは、「あなたがどの楽譜(編曲)を選ぶかによって、ピアノ入門レベルからプロの演奏会レベルまで、難易度は自由自在に変化します」ということに尽きます。
しかし、ほとんどの方がイメージする「あの美しいカノンを、原曲の雰囲気そのままに弾いてみたい。できれば結婚式のような特別な場所でも披露してみたい」という願い。その願いを叶えるためのスイートスポットは、ピアノ教則本で言えばブルグミュラーを終え、ソナチネアルバムに挑戦するくらいの「初中級~中級」レベルに存在します。このレベルのカノンをマスターする過程は、ピアノを弾く上で必要な様々な技術や表現力をバランス良く養うことができる、最高のトレーニングになることは間違いありません。
この記事が、あなたの「カノンを弾きたい」という素敵な夢への、具体的で頼れる地図となれたなら、私にとってこれ以上の喜びはありません。ぜひ、あなたにピッタリのカノンの楽譜を見つけて、あの美しいメロディを自分の指で奏でる感動を味わってください。応援しています!


