こんにちは!電子ピアノナビのピア憎です。
「自分だけのオリジナル曲を作ってみたい!」その気持ち、すごくよく分かります。頭の中で鳴っているメロディを形にできたら、どんなに素敵だろう…と思いますよね。でも、いざ作曲のやり方を調べてみると、「何から始めればいいの?」「音楽理論って難しそう…」「やっぱり高価なPCや専門機材がないと無理なのかな?」なんて、始める前からたくさんの壁を感じてしまうかもしれません。
でも、本当に安心してください。今の時代、作曲は一部の特別な才能を持つ人だけのものではなく、誰でも気軽に挑戦できる表現活動になっています。実は、手元にあるスマホの作曲アプリを使えば、初心者の方でも驚くほど簡単に曲作りの第一歩を踏み出せるんです。大切なのは、いきなり難しい音楽理論書を読み始めることではなく、まるでブロックを組み立てるように、音を組み合わせる純粋な楽しさを知ることなんですね。
この記事では、音楽の知識がまったくない方でも絶対に迷わないように、具体的な作曲のやり方を「7つのステップ」に分解して、一つひとつ丁寧に解説していきます。どんなテーマで曲を作るかという最初のアイデア出しから、簡単なコード進行の選び方、ふと思いついた鼻歌を素敵なメロディに変えるコツ、そして感動的な歌詞の作り方まで、順を追って見ていきます。この記事を最後までじっくり読み終える頃には、作曲へのハードルがぐっと下がり、「これなら自分にもできるかも!」という確かな手応えを感じられるはずですよ。
- 知識ゼロから始める作曲の具体的な7ステップ
- 初心者でもプロっぽく聴こえる簡単なコード進行パターン
- スマホやPCなど、環境に合わせた作曲の始め方
- 創作活動を長く楽しむための挫折しない心構えとコツ
初心者向けの作曲やり方【7ステップ】
それでは早速、作曲の具体的なやり方を7つのステップに分けて、じっくりと解説していきますね。この順番は、多くのアーティストや作曲家が実践している王道のフローでもあります。この通りに進めていけば、音楽経験がゼロの方でも迷うことなく、1曲の骨組みをしっかりと作り上げることができるかなと思います。最初から100点満点の傑作を目指す必要は全くありません。まずは「最後まで自分の力で作りきってみる」ことを目標に、リラックスしてチャレンジしていきましょう!
まず何から?テーマとコンセプトの決定
作曲の旅は、「この曲で何を表現したいか?」というテーマやコンセプト、つまり「設計図」を作ることから始まります。この最初のステップが、楽曲全体の方向性を決める羅針盤になるので、実は最もクリエイティブで重要な工程なんですね。ここがしっかり固まっていると、後のメロディ作りや歌詞制作で迷子になりにくくなります。
「テーマを決めよう!」と言われても、いきなり壮大なものを考える必要はありません。まずは、あなたの心の中にある、ささやかな感情の欠片を拾い集めることから始めてみましょう。
アイデアの源泉を見つける
曲のテーマは、日常生活のあらゆる瞬間に隠されています。例えば、以下のような切り口で考えてみるのがおすすめです。
- 感情から: 「嬉しい」「悲しい」「切ない」「ワクワクする」といったストレートな感情。
- 情景から: 「雨上がりの虹」「夕暮れの帰り道」「夏の終わりの花火」といった、目に浮かぶ具体的な風景。
- 物語から: 「叶わなかった恋の物語」「夢に向かって頑張る主人公のストーリー」など、ショートフィルムを作るような感覚。
- メッセージから: 「頑張る友達への応援歌」「大切な人への感謝の気持ち」といった、誰かに届けたい言葉。
これらのアイデアを、ノートやスマホのメモ帳に自由に書き出してみるだけでも、作りたい曲の輪郭が少しずつ見えてくるはずです。
テーマとリファレンス曲が決まったら、簡単なコンセプトシートを作っておくのも良いでしょう。「ターゲット(誰に聴かせたいか)」「曲調(アップテンポな応援ソング)」「キーワード(希望、未来、涙)」などを書き留めておけば、いつでも原点に立ち返ることができますよ。
歌詞の作り方とキラーワードの抽出
歌のある楽曲、いわゆる「歌もの」を作る上で、歌詞はメロディと同じくらいリスナーの心に直接響く重要なパーツです。歌詞の作り方には、メロディを先に作る「曲先(きょくせん)」と、歌詞を先に作る「詞先(しせん)」という二つのアプローチがありますが、どちらにもメリット・デメリットがあります。
| 手法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 詞先 (Lyrics First) | メッセージ性や物語性を強く打ち出せる。伝えたいことが明確になる。 | 文字数に縛られてメロディが不自然になったり、リズムが悪くなったりすることがある。 |
| 曲先 (Music First) | メロディの響きや心地よさを最優先できる。キャッチーなフレーズが生まれやすい。 | 良いメロディができても、それに合う言葉がなかなか見つからないことがある。 |
どちらが良いというわけではありませんが、初心者の方や「伝えたいメッセージ」が明確にある場合は、歌詞の核となる部分から先に考える「詞先」のアプローチを試してみるのがおすすめです。なぜなら、曲のゴールが最初から見えるため、途中で迷走しにくいからです。
サビの心臓部「キラーワード」を決める
いきなりAメロから順番に歌詞を書き始めようとすると、途中で何が言いたいのか分からなくなってしまいがちです。そこで、まず初めにその曲で一番伝えたい感情やメッセージを象徴する、強力な「キラーワード」を決めましょう。
例えば、「ありがとう」「さよなら」「忘れない」「信じてる」「会いたい」といった、聴いた人の心に突き刺さるような言葉です。このキラーワードを、楽曲のクライマックスである「サビ」の最も印象的な部分に配置することをイメージします。このたった一つの言葉が、歌詞全体の道しるべになってくれます。
最初から完璧な詩や文学的な表現を目指す必要は全くありません。むしろ、自分の心から素直に出てきた、少し不器用なくらいの言葉の方が、リスナーの共感を呼ぶことも多いです。まずは伝えたい感情を一つに絞り、それに関連する単語やフレーズを思いつくままに書き出していくことから始めてみてください。それが、あなただけの物語の始まりになります。
簡単なコード進行の選び方
作曲と聞いて多くの初心者が「最大の壁」と感じるのが、この「コード進行」かもしれませんね。「コード理論は複雑で難しそう…」「音楽理論を勉強しないと作れないんでしょ?」というイメージが強いですが、どうか安心してください。実は、世の中にあふれるヒット曲のほとんどは、いくつかの“魔法の”定番パターンを元に作られているんです。
ですから、初心者が作曲を始める上で最も効率的で、かつ挫折しにくい方法は、ゼロから複雑な理論を学ぶことではありません。実績のある「王道進行」と呼ばれる黄金パターンを、レシピのようにそのまま拝借してしまうことです。これはカンニングではなく、偉大な先人たちが築き上げた「心地よい響きの公式」を学ぶ、ということです。
まずはこれだけ!J-POPの王道進行
数ある定番進行の中でも、特に日本のポップスで圧倒的によく使われ、切なさ、疾走感、感動といった感情を自由自在に表現できる、まさに魔法のようなコード進行があります。それが「王道進行」です。
他にもある!覚えておくと便利な定番進行
王道進行に慣れてきたら、他の定番パターンも試してみると、作れる曲のバリエーションが一気に広がります。ここでは代表的なものをいくつか紹介しますね。
- カノン進行 (I-V-VIm-IIIm-IV-I-IV-V): パッヘルベルの「カノン」で有名な進行。壮大で感動的なバラードから、明るいポップスまで幅広く使えます。(例: C→G→Am→Em→F→C→F→G)
- 小室進行 (VIm-IV-V-I): 90年代のJ-POPを席巻した、キャッチーで少し哀愁のある進行です。サビで使うと非常にエモーショナルになります。(例: Am→F→G→C)
- 丸の内サディスティック進行 (IV-III7-VIm-Vm7-I7): 近年のシティポップなどでよく使われる、お洒落で都会的な響きが特徴の進行です。少しだけ複雑ですが、使いこなせると一気にプロっぽい雰囲気が出ます。
コード進行は、いわば楽曲の「骨格」や「設計図」です。しっかりとした心地よい骨格さえあれば、その上に乗せるメロディは驚くほど自由奔放に、そして自然に生まれてきます。まずは気に入った進行を一つ見つけ、それをひたすらループさせて音の響きを楽しむことから始めてみましょう。
鼻歌からメロディを作るコツ
しっかりとしたコード進行という土台が完成したら、次はいよいよ作曲の主役である「メロディ」を生み出す作業です。メロディ作りは「才能やセンスが全て」と思われがちですが、決してそんなことはありません。実は、誰にでも実践できる、キャッチーなメロディを作るためのコツが存在するんです。
その最も効果的で直感的な方法が、これまで作ってきたコード進行をループ再生しながら、それに合わせて気持ちよく「鼻歌」を歌ってみることです。この時、絶対にやってはいけないのが、いきなり「ドレミファソラシド」という音階からメロディを考えようとすること。理論から入ろうとすると、頭でっかちで不自然な、歌いにくいメロディになりがちです。
リズム先行で考える「タタタ♪」アプローチ
歌いやすく、そして聴く人の耳に残りやすいメロディを作る最大の秘訣は、音程よりも先に「リズム」から考えることです。言葉には自然なアクセントや抑揚がありますよね。その言葉のリズム感を、まずは手拍子や「ラララ♪」「タタタ♪」といった簡単な声で表現してみるのです。
この方法なら、音楽理論を知らなくても、言葉の響きを活かした自然でキャッチーなメロディが生まれやすくなります。思いついた鼻歌は、忘れないうちにスマートフォンのボイスメモ機能などですぐに録音しておくのが鉄則です。後から客観的に聴き返してみると、「このフレーズ、意外と良いかも!」という発見がよくありますよ。
ドラマチックなメロディにするためのヒント
さらにメロディを魅力的にするための、いくつかの簡単なテクニックも紹介します。
- 音の高低差(レンジ)を意識する: Aメロは比較的低い音域で落ち着いた雰囲気に、Bメロで少しずつ音程を上げていき、サビで最も高い音域を使って感情を爆発させる、といったように高低差を付けると、曲にドラマチックな展開が生まれます。
- 繰り返し(反復)と変化を使い分ける: 同じようなリズムや音の動きのパターンを繰り返すことで、リスナーの耳にメロディが定着しやすくなります。ただし、全く同じことの繰り返しでは飽きられてしまうので、2回目は少しだけ音程を変える、といった小さな変化を加えるのがポイントです。
難しく考えすぎず、まずはあなたの心が「気持ちいい」と感じる音の並びを探すゲームだと思って、自由に鼻歌を歌ってみてください。
楽曲構成の基本と順番
さて、テーマ、歌詞の断片、コード進行、そしてメロディのパーツが揃ってきたら、最後のステップとして、それらを一つの楽曲という「パッケージ」に組み立てていきます。この組み立て作業を「編曲」や「アレンジ」と呼びますが、その土台となるのが「楽曲構成」です。どんなに良いメロディや歌詞があっても、構成がしっかりしていないと、リスナーは何を伝えたいのか分からず、まとまりのない印象になってしまいます。
世の中のほとんどのポップスには、リスナーを自然に引き込み、サビで最も感動させるための「黄金律」とも言える構成パターンが存在します。初心者のうちは、この実績のある王道の構成をテンプレートとして活用するのが、曲を破綻させずに完成させるための最も確実な方法です。
J-POPの王道3部構成「Aメロ・Bメロ・サビ」
まずは最も基本的で重要な3つのセクションの役割を理解しましょう。
- Aメロ (Verse): 曲の導入部分。これから始まる物語の世界観や状況をリスナーに提示する役割があります。そのため、メロディや演奏は比較的静かで落ち着いたトーンになることが多いです。
- Bメロ (Bridge): Aメロとサビを繋ぐ「橋渡し」の役割。Aメロの静かな雰囲気から少しずつテンションを上げていき、「この後どうなるんだろう?」というリスナーの期待感を醸成します。サビへの助走区間ですね。
- サビ (Chorus): 曲のクライマックスであり、顔となる部分。一番伝えたいメッセージやキラーワードを乗せ、メロディも最も高く、感情的に盛り上がるセクションです。リスナーに最も覚えてほしい部分でもあります。
初心者のうちは、まずこの「Aメロ → Bメロ → サビ」というシンプルな流れで「1コーラス」を完成させることを最初のゴールに設定するのが非常におすすめです。いきなりフルコーラスを作ろうとすると、途方もない作業に感じて挫折しやすくなりますからね。
フルコーラスの一般的な楽曲構成例
1コーラスを完成させることに慣れてきたら、さらに曲を発展させてフルコーラスの構成に挑戦してみましょう。J-POPで非常によく使われる構成の一例は以下の通りです。
もちろん、この構成が絶対というわけではありません。しかし、このテンプレートを知っておくだけで、曲全体の流れを設計するのが非常に楽になります。まずはこの型に沿ってパーツを配置してみて、そこから自分なりに崩していくのが良いでしょう。短い曲でもいいので、まずは「イントロからアウトロまで」という一連の流れを最後まで作りきった時の達成感は、何物にも代えがたいものですよ。
DTMでの作曲やり方と最新技術
ここまでは、作曲のアイデア出しから構成までの、いわば「設計図」を作る工程を見てきました。ここからは、その設計図を元に、パソコンやスマートフォンを使って実際に「音」という「家」を建てていく具体的な方法について解説します。DTM(デスクトップミュージック)と呼ばれるこの分野は、テクノロジーの進化と共に驚くほど身近なものになりました。最新技術を味方につければ、あなたの創作の可能性は無限に広がります。
PCで始めるDTMの必須機材
パソコンを使って本格的な楽曲制作を行う「DTM」は、今やプロの音楽制作現場でも主流となっています。自宅の部屋が、アイデア次第で無限の音を生み出すスタジオになるのです。「プロみたいで難しそう…」と感じるかもしれませんが、最初は必要最低限の機材からスタートすれば全く問題ありません。ここでは、DTMを始めるために最低限揃えたい基本アイテムとその選び方について、詳しく見ていきましょう。
MIDIキーボードは演奏経験がないと敬遠しがちですが、コードの響きを確認したり、リズムを打ち込んだりするだけでも作業効率が劇的に向上します。もし電子ピアノをお持ちであれば、それがMIDIキーボードの代わりになることも多いです。電子ピアノをDTMのMIDIキーボードとして活用する方法については、別の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
これらの機材を揃えることで、あなたの作曲環境は一気にプロフェッショナルなレベルに近づきます。最初は操作に戸惑うかもしれませんが、一つひとつの機能を覚えていく過程もまた、DTMの大きな楽しみの一つですよ。
スマホや作曲アプリで手軽に挑戦
「DTMには興味があるけど、いきなりPCや機材を揃えるのはハードルが高い…」そう感じる方も多いと思います。そんな方にこそ、まず試していただきたいのが、今や誰もが持っているスマートフォンやタブレットを使った作曲です。近年の作曲アプリの進化は本当に目覚ましく、プロのアーティストがアイデアスケッチに使うことも珍しくありません。何より、初期投資ほぼゼロで、思い立ったその瞬間から作曲を始められる手軽さが最大の魅力です。
特にiPhoneやiPadユーザーであれば、プリインストールされているApple純正アプリ「GarageBand(ガレージバンド)」を使わない手はありません。無料とは思えないほど高機能で、初心者から上級者まで満足できる機能が詰まっています。
GarageBandはなぜ初心者最強なのか?
GarageBandが初心者にとって最適な理由は、音楽理論の知識がなくても、直感的な操作で本格的な音楽制作ができてしまう点にあります。
- スマートインストゥルメント: ギターやピアノが弾けなくても、画面に表示されたコード名をタップするだけで、自動でプロが演奏したようなカッコいいフレーズを奏でてくれます。コード進行の響きを学ぶのにも最適です。
- 豊富なループ素材: プロのドラマーが叩いたクールなビートや、お洒落なベースラインなど、数千種類もの著作権フリーの音源素材(ループ)が使い放題。これらをパズルのように組み合わせるだけでも、簡単に1曲の伴奏が完成します。
- 多機能な録音機能: スマホの内蔵マイクを使って、自分の鼻歌やボーカル、アコースティックギターの音などを手軽に録音し、楽曲に取り込むことができます。
もちろん、Androidユーザー向けにも「BandLab」や「FL Studio Mobile」といった優れた作曲アプリがたくさんあります。まずはこれらのアプリで曲作りの楽しさを存分に味わい、「もっと本格的に音質や編集にこだわりたい!」と感じたタイミングでPCでのDTMにステップアップする、というのが最も挫折しにくく、理想的な流れかもしれませんね。通勤電車の中やベッドの上で、あなただけのヒット曲の種が生まれるかもしれませんよ。
ボカロ曲制作の専門的な手順
DTMの中でも特に人気が高く、独自の文化圏を築いているのが、ボーカロイド(通称ボカロ)を使った楽曲制作です。機械の歌声でありながら、クリエイターの工夫次第で人間以上にエモーショナルな表現も可能なボカロは、多くの「ボカロP」と呼ばれるクリエイターたちを惹きつけてやみません。ボカロ曲制作は、通常のDTMの工程に加えて、いくつかの専門的なソフトと技術が必要になります。
ボカロPになるために最低限必要なものは、以下の3つのソフトウェアです。
- DAWソフト: 曲の伴奏(オケ)を作るための土台。これは通常のDTMと同じですね。
- ボーカルエディター: メロディや歌詞を打ち込み、ボーカロイドに歌わせるための専用ソフト。最近ではDAW上でプラグインとして動作する「Piapro Studio」などが主流です。
- 音声ライブラリ(ボイスバンク): 「初音ミク」や「鏡音リン・レン」といった、キャラクターの声の元となるデータベースです。どのキャラクターを選ぶかで、曲の印象が大きく変わります。
歌声に命を吹き込む「調声」の技術
ボカロ曲制作において、最も重要で、かつクリエイターの個性が光る工程が「調声(ちょうせい)」です。これは、ただメロディと歌詞を打ち込むだけでなく、ボーカロイドの歌声をより人間らしく、感情豊かに聴かせるための細かな調整作業全般を指します。この調声の巧みさが、リスナーに「神調教!」と言わせる鍵となります。
これらのパラメータを一つひとつ丁寧に調整していくことで、無機質な合成音声に魂が吹き込まれていくのです。非常に根気のいる作業ですが、自分のイメージ通りの歌声が完成した時の喜びは格別です。これからボカロPを目指す方は、ぜひこの「調声」という奥深い世界の探求を楽しんでみてください。(出典:クリプトン・フューチャー・メディア株式会社「初音ミク V4X」製品ページ)
また、ボカロシーンでは音楽だけでなく、イラストや映像と一体となった作品として評価されることが多いのも特徴です。楽曲制作の段階から、どんな映像にしたいかという視覚的なイメージを膨らませておくことも、多くの人に作品を届けるための重要な要素になります。
ゲーム音楽におけるループ作曲のコツ
ゲーム音楽の制作は、一般的なJ-POPやボカロ曲の制作とは少し異なる、独特のノウハウと技術が求められます。なぜなら、ゲーム音楽の多くは、リスナーが能動的に聴くのではなく、ゲームプレイの背景(BGM)として「長時間、繰り返し聴かれる」ことを前提に作られるからです。この「飽きさせずに、いかに自然にループさせるか」という点が、ゲーム音楽作曲家の腕の見せ所と言えるでしょう。
シームレスループの技術的な処理
フィールドBGMなどで、曲の終わりと始まりが分からないように滑らかに繋がって聴こえる技術を「シームレスループ」と呼びます。DAWソフト上でこれを作成するには、少し技術的な工夫が必要です。
最も一般的な手法は、曲の終端部分にある楽器の残響音(リバーブやディレイのテイル)を、曲の冒頭部分にコピー&ペーストするというものです。これにより、ループの繋ぎ目で音が不自然に途切れることなく、前のループの余韻が次のループの頭に自然に重なるため、リスナーはどこが繋ぎ目か全く意識せずに音楽に没頭できます。
ゲーム体験と同期するインタラクティブミュージック
近年のゲーム音楽では、プレイヤーの状況に応じて音楽がリアルタイムに変化する「インタラクティブミュージック」という手法が積極的に取り入れられています。これにより、ゲームへの没入感が飛躍的に高まります。
- 垂直遷移 (Vertical Remixing): 同じ曲の再生を続けながら、楽器の抜き差しで音楽の印象を変える手法。例えば、通常時は静かなメロディだけが流れているが、敵に遭遇すると同時に激しいドラムやベースが加わって戦闘モードに移行する、といった演出です。
- 水平遷移 (Horizontal Re-sequencing): プレイヤーのアクションや特定のエリアへの侵入をトリガーに、全く別の曲へとスムーズに移行する手法。街のBGMからダンジョンのBGMへ、クロスフェードしながら自然に切り替わります。
このように、ゲーム音楽はただ曲を作るだけでなく、ゲームデザイナーの意図を汲み取り、プレイヤーの感情をどうコントロールするかという、演出家のような視点も求められる、非常にクリエイティブで奥深い世界なのです。
話題のAI作曲ツールの活用法
2025年現在、音楽制作の世界は、生成AIの登場によってまさに革命的な変化の渦中にあります。「Suno AI」や「Udio」に代表されるAI作曲ツールは、音楽の専門知識が全くない人でも、テキストで「〇〇のような雰囲気で、〇〇についての曲」と指示するだけで、ボーカル入りの高品質な楽曲をわずか数十秒で生成してしまう驚異的な能力を持っています。これは、作曲という行為の民主化をさらに加速させる、強力なツールであることは間違いありません。
これらのAIツールは、アイデアが浮かばない時のブレインストーミングの相手として使ったり、自分の曲の仮歌を歌ってもらったり、あるいは簡単なBGMを素早く作成したりと、クリエイターの強力なアシスタントとして様々な活用法が考えられます。
商用利用の前に知るべき著作権のリスク
しかし、この便利なAI作曲ツールを、特にブログのBGMや動画コンテンツ、あるいは自身の作品として商用利用する際には、著作権に関する重大なリスクを正しく理解しておく必要があります。ここを曖昧にしたまま利用すると、後で思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があるため、十分に注意してください。
これらのリスクを最小限に抑え、AIを安全に活用するためには、AIが生成したものを「完成品」としてそのまま使うのではなく、あくまで「素材」や「パーツ」として捉えることが極めて重要です。具体的には、AIが生成したメロディやコード進行をDAWに取り込み、そこに自分自身で大幅なアレンジを加えたり、オリジナルのメロディを重ねたり、自作の歌詞を乗せて歌ったりといった、「人間による明確な創作的寄与」を付け加えるプロセスが不可欠です。AIは強力な武器ですが、最終的な責任とクリエイティビティの舵取りは、常に人間である我々自身が握るべきだ、と私は考えています。
挫折しない作曲やり方の心構え
ここまで、作曲を始めるための具体的なステップや技術的な方法論をたくさん見てきました。しかし、どんなに優れたノウハウを知っていても、創作活動を長く楽しむ上で最も大切になるのは、実は技術そのものよりも「続けるための心構え(マインドセット)」だったりします。残念ながら、作曲を意気揚々と始めた人の7割から9割が、1曲も完成させることができないまま途中でやめてしまう、というデータもあるほど、挫折しやすいのが現実です。
その最大の原因、そして最大の敵は、あなたの心の中に潜む「完璧主義」です。最初の一曲目から、プロのアーティストが作ったような、非の打ち所がない完璧なクオリティの曲を作ろうと意気込んでしまうと、必ず理想と現実のギャップに打ちのめされます。「自分には才能がないんだ…」と感じ、作る楽しさよりも苦しさが上回ってしまい、やがてDAWソフトを開くことさえ億劫になってしまうのです。
挫折の壁を乗り越えるための具体的な処方箋
もしあなたが作曲の途中で壁にぶつかったら、以下のことを思い出してください。
- 「作り方がわからない」と感じたら: ゼロから生み出そうとせず、まずは好きな曲を徹底的に真似る「耳コピ」や「分析」から始めましょう。コード進行、曲の構成、使われている楽器などを真似て再現してみることで、ヒット曲の構造を体で覚えることができます。
- 「曲を作りきることができない」と感じたら: 目標を極限まで、笑ってしまうくらい下げてみましょう。「フルコーラス作る」ではなく、「8小節のループを作る」「15秒のジングルを作る」「サビのメロディだけ作る」でOKです。どんなに短くても、粗削りでも、「完成させた」という小さな成功体験を積み重ねることが、自信と次へのモチベーションに繋がります。
- 「音楽理論の壁」に恐怖を感じたら: 理論は後からで大丈夫です。まずは楽器やアプリで実際に音を鳴らし、「このコードの響き、好きだな」「この音の組み合わせ、気持ちいいな」という「遊び」や「感覚」を最優先してください。楽しさを感じていれば、必要になった時に理論を学ぶ意欲も自然と湧いてきます。
そして最後に。どうか、他人と自分の作品を比べないでください。SNSを見れば、驚くほど素晴らしい作品を作る同世代のクリエイターがたくさんいるかもしれません。でも、あなたの目的は彼らに勝つことではなく、あなた自身の心の中にあるものを、あなただけの音で表現することのはずです。昨日よりほんの少しでも成長できた自分を褒めてあげてください。その積み重ねの先にこそ、あなたにしか作れない、誰かの心を動かす一曲が待っていると、私は信じています。


