「ショパンが愛したPLEYELの響きを、自宅の電子ピアノで弾けたら面白そう」。KORGのPoetry Magnifique(ポエトリー・マニフィーク)が気になっているあなたは、たぶん普通の電子ピアノとは少し違うものを探しているんじゃないかなと思います。
Poetry Magnifiqueは、単に「音がいい」「木目がきれい」というだけのモデルではありません。1843年製PLEYELを修復してサンプリングした音色と、現代的なイタリアン・コンサート・グランド・ピアノの音色を1台に搭載し、さらにPLEYEL3では80鍵の音域や430Hzのピッチまで再現するという、かなり振り切ったコンセプトを持っています。
私は元楽器店員として長く電子ピアノを見てきましたが、20万円前後のモデルを比較するときは、どうしても「鍵盤が上位か」「スピーカーが何Wか」「木製鍵盤か」といったスペック競争になりがちです。でもPoetry Magnifiqueは少し違います。ショパンをどう鳴らすかという明確なテーマから、音色・筐体・電源・デザインまで組み立てられているところが、このモデルの面白さなんですよ。
その一方で、購入前には冷静に見ておきたいポイントもあります。本体は47kgありますし、鍵盤はKORGのRH3で木製鍵盤ではありません。Bluetoothはオーディオ受信用で、Bluetooth MIDI対応が公式仕様に記載されているわけでもありません。
この記事では、ショパン愛用PLEYELの音色を搭載したPoetry Magnifiqueの魅力を中心に、1843年製PLEYEL音源、80鍵・430Hzの再現、RH3鍵盤、EvoTone、スピーカー、Bluetooth/USB、サイズ、価格まで詳しく見ていきます。「ショパン好きなら買いなのか」「普通の電子ピアノとして選んでもいいのか」まで判断できるようにまとめますね。
1843年製PLEYEL音色の特徴、PLEYEL3の80鍵・430Hz設定、イタリアン・グランドとの違い、RH3鍵盤と3本ペダル、EvoToneと40W×2スピーカー、Bluetooth/USB接続、サイズ・重量・価格、そしてPoetry Magnifiqueが向いている人・向いていない人までわかります。
Poetry Magnifiqueとは
Poetry Magnifiqueは、KORGが2025年9月に発表した据え置き型デジタルピアノです。先代にあたる「Poetry」が持っていた1843年製PLEYELとイタリアン・コンサート・グランドという2つの個性的なピアノ音色を受け継ぎながら、筐体、スピーカー構造、電源、デザインなどを改めて見直しています。

| 項目 | Poetry Magnifique |
|---|---|
| 鍵盤 | RH3、88鍵(A0~C8) |
| 音源 | ステレオPCM音源 |
| 最大同時発音数 | 120音 |
| 音色 | 30音色 |
| 代表的なピアノ音色 | 1843年製PLEYEL/イタリアン・コンサート・グランド |
| スピーカー | 12cm×2 |
| アンプ | 40W×2 |
| ペダル | ダンパー/ソステヌート/ソフト |
| Bluetooth | Bluetoothオーディオ(A2DP Sink) |
| USB | USB Type-B、MIDI/AUDIO対応 |
| サイズ | 幅1,349×奥行349×高さ766mm |
| 重量 | 47kg(専用スタンド込み) |
| カラー | Poetic Brown |
スペックだけを見ると、「RH3の88鍵盤を搭載した据え置き型電子ピアノ」という位置づけです。ただし、この機種はスペック表だけ見ても価値がわかりにくいんですよね。最大のポイントは、やはり1843年製PLEYELを中心にした音づくりです。
ピア憎Poetry Magnifiqueは「万能な20万円クラス」を目指したというより、ショパンの音楽を深く楽しむ方向へ強く個性を振ったモデル、と考えると理解しやすいですよ。
2台の名器を1台で楽しむ
現代的なイタリアン音色
Poetry Magnifiqueには、1843年製PLEYELだけでなく、現代のイタリアン・コンサート・グランド・ピアノをイメージした音色も搭載されています。
KORGはこの音を、華やかで透明感があり、豊かな表現力を持つサウンドと説明しています。PLEYELが柔らかく少し古典的な色合いを持つのに対して、こちらは輪郭が明確で、現代のコンサートグランドらしいスケール感を楽しむための音色です。
ここがPoetry Magnifiqueの面白いところ。ショパンの同じ曲でも、イタリアン・グランドで弾くのか、PLEYELで弾くのかによって、かなり違った方向から作品を見ることができます。
たとえば、力強く華やかな響きや広いダイナミックレンジを楽しみたいならイタリアン。弱音のニュアンスや、現代のグランドとは違う少し親密な響きに耳を向けたいならPLEYEL、と使い分けるイメージです。
1843年製PLEYEL音色
もう一方が、この記事の主役ともいえる1843年製PLEYEL(プレイエル)です。
PLEYELは、ショパンが強く好んでいたことで知られるフランスのピアノメーカーです。ショパンはエラールなど他社のピアノも演奏していましたが、PLEYELとの関係は深く、現在残る資料でもその嗜好を確認できます。
Poetry Magnifiqueに採用された音源は、ショパンが33歳だった1843年に製造されたPLEYELを修復し、サンプリングしたものです。ここで誤解しないでほしいのは、「ショパン本人がこの特定の1843年製個体を所有していた」と説明されているわけではないことです。
あくまで、ショパンが実際にPLEYELを好んでいた時代と同時期の楽器を、可能な限り当時に近い状態へ修復して音源化したもの、と理解するのが正確でしょう。
KORGによれば、対象となったPLEYELはフランスから日本へ移送され、修復が必要な消耗品を除いて、当時の部品をフランスから取り寄せながら可能な限り1843年当時に近い状態へ戻されています。
音の特徴として挙げられているのは、ウォルナット材を使ったPLEYEL筐体に由来する、木の温もりを感じさせる味わい深い響きです。
「1843年製PLEYELの音色を搭載している」と「ショパン本人が弾いた特定のピアノをサンプリングした」は同じ意味ではありません。Poetry Magnifiqueの魅力は、ショパンと関係の深いPLEYELの同時代の響きを現代の電子ピアノで体験できる点にあります。
| 比較 | イタリアン・グランド | 1843年製PLEYEL |
|---|---|---|
| 方向性 | 現代的なコンサートグランド | 19世紀PLEYELの響きを再現 |
| 音の印象 | 華やか・透明感・力強さ | 柔らかさ・木質感・親密さ |
| 得意な楽しみ方 | 幅広いピアノ曲、現代的な演奏 | ショパンなどロマン派作品の研究 |
| 鍵盤音域 | 88鍵 | PLEYEL3では80鍵を再現 |
| ピッチ | 現代的な設定で使用 | 430Hzへの設定が可能 |
PLEYEL3の再現が面白い
80鍵の音域まで再現
Poetry MagnifiqueにはPLEYEL系の音色が3種類あり、その中でも特に尖っているのが「PLEYEL3」です。
本体そのものは現代標準の88鍵ですが、PLEYEL3を選ぶと、サンプリング元となったPLEYELと同じ80鍵の音域が再現されます。そのため、88鍵のうち両端を合わせた8鍵については、押しても音が出ません。
普通の電子ピアノなら「全部の鍵盤から音が鳴る」のが当たり前ですよね。にもかかわらず、あえて音が出ないようにする。これは性能不足ではなく、当時の楽器を体験するための仕様です。
もちろんPLEYEL3以外の音色を選べば、88鍵すべてを通常どおり使えます。「80鍵しか使えない電子ピアノ」ではないので、そこは安心してください。
PLEYEL3選択時に端の鍵盤から音が出ないのは正常な仕様です。通常の88鍵ピアノとして練習するときは、別のピアノ音色へ切り替えて使いましょう。
ピアノ練習では基本的に88鍵を選びたい理由については、88鍵盤ペダル付き電子ピアノの選び方でも詳しく解説しています。Poetry Magnifiqueも通常時は88鍵なので、本格的なピアノ練習にも対応できます。
430Hzへ切り替え可能
PLEYEL3と合わせてぜひ試したいのが、430Hzへのピッチ変更です。
現代のピアノではA=440Hz前後が一般的ですが、KORGはPoetry Magnifiqueで再現するPLEYELについて430Hzという低めの設定を採用しています。
FUNCTIONボタン、PIANOボタン、DISPLAYボタンを使う操作で430Hzへ切り替えられます。数字だけ見ると10Hzの違いですが、全体の音高が少し低くなることで、同じ曲でも現代の440Hzとは印象が変わります。
ショパンの曲を「現代のコンサートピアノで弾く」のではなく、19世紀当時の響きへ少し近づけて考えてみる。Poetry Magnifiqueを選ぶ意味は、こういう遊び方ができるところにあるかなと思います。
シングルアクションとは

当時のPLEYELを知るうえでもう一つ重要なのが、鍵盤アクションです。19世紀のPLEYELにはシングル・エスケープメントの機構が使われていました。
現代のグランドピアノで一般的なダブル・エスケープメントは、鍵盤を完全に戻しきらなくても次の打鍵をしやすくする仕組みです。それに対して当時のPLEYELは、同音を高速で繰り返す演奏では現代のグランドほど有利ではありませんでした。
ただし、ここは非常に大事です。Poetry MagnifiqueのRH3鍵盤そのものが、19世紀PLEYELのシングルアクション機構へ物理的に変化するわけではありません。
Poetry Magnifiqueが再現している中心は、PLEYELのサンプリング音色、80鍵音域、430Hzなどです。鍵盤機構はあくまで現代のKORG RH3。原楽器の歴史的な構造を知ったうえで音を聴くと、PLEYEL音色の意味がより理解しやすくなる、という位置づけで考えるのが正確です。
RH3鍵盤の弾き心地
通常のピアノ演奏を支える鍵盤には、KORGのRH3(リアル・ウェイテッド・ハンマー・アクション3)が採用されています。
低音域ほど重く、高音域ほど軽くなるよう重量バランスを変えた88鍵ハンマーアクションで、KORGの据え置き型やステージピアノでも長く採用されてきた鍵盤です。
高い連打性能を持ち、速いパッセージでも強弱をつけて演奏できることがKORGから案内されています。また、ハンマー部には鉛を使用していません。
タッチ・コントロールは5種類。軽め、標準、重め、安定、一定から選べるので、指の力や曲に合わせて反応を調整できます。
Poetry MagnifiqueのRH3は本格的なハンマーアクションですが、木製鍵盤ではありません。20万円前後では木製鍵盤を搭載する他社モデルも候補に入るため、「ショパン音色より鍵盤素材を最優先したい」という人は必ず試弾して比較したいところです。
ここはPoetry Magnifiqueを選ぶうえで大きな分岐点です。PLEYEL音源に価値を感じるなら非常に面白いモデルですが、「20万円出すなら、とにかく木製鍵盤が欲しい」という人とは選び方が違います。
3本ペダルで表現できる
ショパンを弾くなら、鍵盤だけでなくペダルも大切です。Poetry Magnifiqueはダンパー、ソステヌート、ソフトの3本ペダルを標準装備しています。
さらにダンパーとソフトペダルはハーフペダルに対応。オン/オフだけではなく、踏み込み量による微妙な効果の違いを使えます。
特にショパンでは、ペダルを踏みっぱなしにするのではなく、和声が濁らない範囲で響きをつないだり、浅く踏み替えたりするコントロールが重要になります。そう考えると、3本ペダルとハーフペダル対応は、この機種のコンセプトと相性がいいですよ。
Magnifiqueでは従来モデルからペダル位置も見直され、足元の空間に余裕を持たせています。こうした地味な改良は、長時間弾く人ほど効いてきます。
EvoToneが音を支える

専用電源EvoTone
Magnifiqueになって大きく強化された部分の一つが、電源です。
KORGはPoetry Magnifique用に、電子ピアノ専用電源ユニット「EvoTone(エボトーン)」を新たに開発しています。一般的な外付けACアダプターではなく、電源ユニットを本体へ内蔵した構造です。
KORGによれば、これは同社の電子ピアノとして初の試み。ピアノの鋭いアタックや強い打鍵時にも歪みを抑え、余裕のある電力供給によって、弱音から力強い音まで支えることを狙っています。
電源と音質というと少しオーディオ的な話に聞こえるかもしれません。でも電子ピアノは、音源だけで音が決まるわけではありません。D/A変換、アンプ、電源、スピーカー、筐体まで含めて、最後に耳へ届く音が作られます。
その意味では、サンプル音源を豪華にするだけではなく、電源や筐体まで手を入れたMagnifiqueの方向性には納得できます。
40W×2のスピーカー
スピーカーは12cm×2、アンプ出力は40W×2です。
筐体も従来より剛性と密閉性を高めた設計で、スピーカーの振動をコントロールしながら音の輪郭を出す方向へ進化しています。
スピーカーは前方へ音が抜けるよう配置されているので、背面を壁へ近づけても音がこもりにくい設計です。電子ピアノは壁際に置く家庭が多いので、これはかなり現実的な作りですね。
さらに、ヘッドホン使用時には「ステレオ・サウンド・オプティマイザー」を利用できます。夜間はヘッドホン中心という家庭でも、PLEYEL音色を楽しみやすくなっています。
Poetic Brownのデザイン

Poetry MagnifiqueのカラーはPoetic Brown。ショパンの持つ柔らかく温かなイメージをもとにした木目調仕上げです。
黒や白が中心になりがちな電子ピアノの中では、かなり家具寄りの雰囲気があります。鍵盤やペダルの根元には赤いフェルトを使い、細部にもクラシックピアノらしいアクセントを入れています。
そして個人的に実用面でいいと思うのが、鍵盤蓋を閉めると天面がフラットになる構造です。
使っていないときに「電子楽器感」が前面に出にくく、リビング家具の中にもなじみやすいんですよ。譜面などを一時的に置けるのも便利です。
フラットになるからといって、重い物や飲み物を常設するのは避けたほうが安心です。電子ピアノ内部には電子回路やスピーカーがあります。譜面などを一時的に置く程度と考えましょう。
サイズと47kgは要確認
購入前に必ず見てほしいのがサイズです。Poetry Magnifiqueは幅1,349mm、奥行349mm、高さ766mm。鍵盤蓋を開けたときの高さは1,011mmになります。
奥行34.9cmなので、据え置き型としてはかなりスリムです。一方で重量は47kgあります。
ここは見落としやすいですね。「奥行が薄い=簡単に動かせる」と思わないほうがいいです。47kgあるので、購入後に一人で部屋を移動させるような使い方には向きません。
搬入経路、玄関幅、階段、エレベーター、設置階まで含めて事前に確認してください。販売店によって配送・組立・階段上げ・特殊搬入の条件も違います。
電子ピアノの一般的な寸法感については、電子ピアノの大きさ比較も参考になります。設置スペースは本体寸法ぴったりではなく、椅子を引くスペースまで考えるのがコツですよ。
接続機能もかなり充実
Bluetoothオーディオ対応
Poetry MagnifiqueはBluetoothオーディオに対応しています。スマートフォンやタブレットの音楽をワイヤレスで本体スピーカーへ送り、曲に合わせて演奏できます。
YouTubeの演奏動画、伴奏音源、レッスン音源などを流す使い方にも便利です。ピアノを弾かないときには、Bluetoothスピーカーとして使うこともできます。
公式仕様に記載されている無線方式はBluetoothのA2DP Sink、つまりオーディオ受信用です。Bluetooth MIDI対応としては案内されていないので、MIDIデータを使うレッスンアプリではUSB接続を基本に考えてください。
USB MIDI/AUDIO対応
USB端子はType-Bで、USB MIDIとUSB AUDIOの両方に対応しています。
スマートフォン、タブレット、パソコンと接続すれば、レッスンアプリ、外部音源、DAWでの録音・制作などへ発展させられます。
ただし接続する端末によって必要なケーブルやアダプターが異なります。USB-C搭載端末とLightning端末でも条件が違うので、「買えばそのまま無線でMIDI接続できる」と考えず、使いたいアプリと端末の接続方法まで確認しておきましょう。
ショパン50曲を内蔵
Poetry Magnifiqueには、ショパンのピアノ曲が50曲収録されています。それとは別に音色デモが10曲あるので、デモソング全体では60曲です。
面白いのは、ショパン50曲をイタリアン・グランドとPLEYELで聴き比べられること。同じ作品でもピアノが変わると何が違って聞こえるのかを確認できます。
これ、単なるBGM機能として見るともったいないです。自分が練習している曲を聴いて、イタリアンではどう響くのか、PLEYELではどこに耳が行くのかを比較すると、音色づくりのヒントにもなります。
さらに50曲の中から選ばれた23曲を収録した演奏用譜面が付属します。買った日から、音源を聴いて楽譜を開き、そのままショパンを弾き始められる構成です。
価格と付属品を確認

2026年9月時点では、国内の複数の楽器店で税込198,000円前後の販売例を確認できます。ただし、Poetry Magnifiqueは販売店によって価格、ポイント還元、配送設置費、在庫、キャンペーン内容が変わります。
そのため「定価が198,000円」と固定的に考えるより、実際の支払総額を販売店ごとに確認するほうがいいです。
標準付属品は、電源コード、ヘッドホン、スピーカー・ボックスとペダルを含む専用スタンド、ショパン23曲収録のピアノ演奏用譜面です。
一方、Poetic Brownに合わせた専用ピアノ椅子PC-400PBは別売です。販売店独自のセットで椅子が付く場合もあるので、本体価格だけではなくセット内容を比べるといいですよ。
ピア憎47kgの据え置き型なので、私は「数千円安い店」より、配送・組立・椅子・保証まで含めた総額で選ぶことをおすすめします。
Poetry Magnifiqueの現在価格・在庫・配送条件を比較してみてください。本体価格が同じでも、配送設置費や椅子の有無で実質負担が変わることがあります。
メトロノーム特典は要確認
発売時には、本体購入後にアンケートへ回答した人を対象に、Poetic Brown仕様の特製KDM-3メトロノームをプレゼントするキャンペーンが案内されていました。
ただし、このキャンペーンは2025年の製品発売時に「年内予定・予定数量到達で終了」と案内されたものです。2026年現在も同じ条件で実施されているとは限りません。
特典を目的に購入する場合は、必ずKORG公式サイトまたは購入予定店で最新情報を確認してください。
向いている人・向かない人
| 向いている人 | 理由 |
|---|---|
| ショパンが好き | 1843年製PLEYEL音色、430Hz、80鍵再現を楽しめる |
| 音色の違いを研究したい | 現代的イタリアン・グランドとの比較ができる |
| クラシック中心に弾く | RH3の88鍵、3本ペダル、ハーフペダルを装備 |
| 家具になじむデザインが欲しい | Poetic Brownとフラットトップを採用 |
| スマホやPCも使いたい | Bluetoothオーディオ、USB MIDI/AUDIO対応 |
逆に、誰にでも最適という機種でもありません。
木製鍵盤を最優先したい人、頻繁に移動させたい人、Bluetooth MIDIを必須とする人、多機能な伴奏・音色を重視する人には別モデルが合う可能性があります。Poetry Magnifiqueの価値は、単純なスペック数ではなくPLEYELを中心としたコンセプトにあります。
要するに、20万円で何でもできる機種を探すというより、「このPLEYELの音を家で弾きたい」と思えるかどうかが購入判断のかなり大きなポイントになります。
試弾で確認したい5項目
Poetry Magnifiqueは、できれば購入前に実機を弾いてほしいモデルです。スペックだけで判断するなら、私は次の5つを店頭で確認します。
①PLEYELとイタリアン・グランドの違いに魅力を感じるか、②RH3鍵盤の重さが自分に合うか、③弱音をどこまでコントロールしやすいか、④スピーカーで弾いたときの低音と高音のバランス、⑤430Hz+PLEYEL3を実際に弾いて「この機種ならではの価値」を感じるか、の5点です。
特に大切なのは①と⑤です。PLEYEL音色にそれほど興味がないなら、同価格帯には別方向の魅力を持つ電子ピアノもあります。
逆に、430Hzに下げたPLEYEL3でノクターンやマズルカを弾いた瞬間に「これ、面白いな」と思えたなら、Poetry Magnifiqueを選ぶ理由はかなり明確です。
Poetry Magnifiqueの魅力

KORG Poetry Magnifiqueの最大の魅力は、単純なスペック競争から少し離れたところにあります。
1843年製PLEYELを修復してサンプリングし、PLEYEL3では80鍵の音域を再現。さらに430Hzへ切り替えられ、ショパンが好んだPLEYELの世界を現代のデジタルピアノから考えられる。
その一方で、普段の練習では88鍵RH3、3本ペダル、最大120音同時発音、40W×2アンプ、USB MIDI/AUDIO、Bluetoothオーディオを使えるので、「歴史楽器の再現だけに特化した特殊機」ではありません。
EvoToneや新しい筐体、前方へ抜けるスピーカー構造、Poetic Brownの外観まで含めて、家庭用電子ピアノとしてちゃんと成立させたうえで、PLEYELという個性を足している。ここがMagnifiqueの強みです。
もちろん、RH3は木製鍵盤ではありませんし、47kgあるので気軽に動かせるモデルでもありません。20万円前後という予算なら、ほかのメーカーにも魅力的な機種があります。
だから私は「20万円前後ならPoetry Magnifiqueが絶対に一番」とは考えません。電子ピアノは、あなたが何を弾きたいかで選ぶべきだからです。
ただ、「ショパンの曲が好き」「現代のピアノとは違うPLEYELの響きを研究したい」「音楽史そのものを弾く楽しさが欲しい」という人にとっては、この機種にしかない明確な魅力があります。
ピア憎Poetry Magnifiqueは「高性能だから買うピアノ」というより、「この音の世界に入りたいから選ぶピアノ」。そこに惹かれるなら、一度PLEYEL3+430Hzでショパンを弾いてみてほしいですね。
購入する場合は、本体価格だけではなく、在庫、配送設置費、階段上げ、保証、PC-400PBなど椅子の有無まで確認してから販売店を比べてください。
