iLoud Micro Monitor レビュー:コンパクトモニターの実力徹底検証

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iLoud Micro Monitorは、「iLoud Micro Monitor レビュー」と検索する多くの音楽制作者やオーディオ愛好家が注目する、超小型モニタースピーカーである。限られた設置スペースでも妥協のない高音質を実現し、プロフェッショナルな用途から日常のリスニングまで幅広く対応すると評判だ。しかし、そのコンパクトさゆえに「本当に本格的な音が出るのか」「どんな環境に適しているのか」といった疑問を抱く読者も少なくないだろう。本記事では、iLoud Micro Monitorの製品詳細から音質、接続性、メリット・デメリット、さらには上位モデルとの比較まで、多角的な分析を通じてその真価を徹底的に解説する。

この記事を読むことで「iloud micro monitor レビュー」と検索した読者が具体的に理解を深められる点は以下の通りである。

この記事のポイント
  • iLoud Micro Monitorの製品としての基本情報と特徴
  • コンパクトながらもパワフルな音質の秘密と評価
  • 多様な接続方法と設置環境に応じた音響調整
  • 使用上の注意点や他のスピーカーとの比較検討

iLoud Micro Monitor レビュー:製品概要と特徴

iLoud Micro Monitor レビュー:製品概要と特徴
インデックス
  • iLoud Micro Monitorとは
  • コンパクトなサイズとデザイン
  • 主要な接続端子と機能
  • DSPによる音質補正機能
  • 卓上設置と音響特性の調整
  • iLoud Micro Monitorの音質評価
  • 低音域の再現性と解像感

iLoud Micro Monitorとは

iLoud Micro Monitorは、イタリアのメーカーであるIK Multimediaが開発・販売する超小型ステレオモニタリングシステムである。2015年または2016年にリリースされて以来、多くのユーザーに愛用され、小型スタジオモニターの定番としての地位を確立している。このスピーカーは、ポータブルなスタジオモニターのペアとして、正直かつ正確なリニア周波数応答特性を持つプロ品質のバイアンプ設計が特徴だ。

iLoud Micro Monitorは、合計50W RMSのパワーを供給する4つのアンプによって駆動され、2つの3/4インチツイーターと2つの3インチウーファーユニットが極めてクリアで優れた低音レスポンスを提供する。さらに、オンボードの56ビットDSPプロセッサーを搭載し、モニターのパフォーマンスを完全に制御することで、そのサイズと価格からは信じられないほどの正確で詳細な音質を実現している。

このスピーカーは、ミキシング、マスタリング、作曲、プロデュース、クリティカルなリスニングなど、様々な用途に適しており、旅行中や自宅、スタジオといった幅広い状況での使用が可能である。中田ヤスタカ氏や石野卓球氏といった著名ミュージシャンも使用している定番商品でもある。価格帯は30,000円台後半から50,000円台で推移しており、手頃な価格も人気の理由の一つだ。

コンパクトなサイズとデザイン

iLoud Micro Monitorは「世界最小クラスのアクティブ・スタジオ・リファレンス・モニター」を謳っており、そのコンパクトさが大きな特徴である。具体的なサイズは高さ180mm、幅90mm、奥行き135mmで、片側の重量は左スピーカーが920g、右スピーカーが800gと非常に軽量だ(合計1.72kg)。iPhoneと並べてもその小ささが際立ち、デスクに置いても場所を取らず、日本の住宅事情にも最適な省スペース設計となっている

筐体はテクスチャード加工のプラスチック製で、見た目にも頑丈で高級感があるという評価もある。カラーはブラックとホワイトの2色が用意されており、使用環境に合わせて選択できる。

このコンパクトさは、スピーカーをスタジオ外へ持ち出す際にも大きなメリットをもたらす。 バックパックや機材用バッグにも容易に収納できるサイズで、旅行先やホテルなどでのミックス作業にも適している。移動が多いクリエイターにとって、どこでも同じモニタリング環境を構築できることは、作業のストレスを大幅に軽減するだろう。

主要な接続端子と機能

iLoud Micro Monitorは、そのコンパクトなボディに多様な接続端子と機能を備え、幅広いデバイスとの連携を可能にしている。

豊富な入力オプション

入力端子としては、RCA(アンバランス)端子と1/8インチステレオミニ(アンバランス)端子を搭載している。これにより、PC、USB-DAC、オーディオインターフェース、音楽プレーヤー、スマートフォン、タブレットなど、様々な音源を接続できる。特に、PCやオーディオインターフェースからの音源と、モニターやFireTVのようなデバイスからの音源を同時に接続して使用するユーザーもいる

Bluetoothワイヤレス接続

Bluetooth接続(A2DPプロトコル対応)にも対応しており、スマートフォンやタブレットから手軽にワイヤレスで音楽をストリーミング再生できる。Bluetooth接続はSBCコーデックのみに対応しており、システム遅延は約155ミリ秒とされている。これにより、ケーブル接続の手間を省き、よりカジュアルなリスニング環境を構築できるのが大きなメリットである。

直感的な操作性と設置補助機能

音量調整は左スピーカーの前面にあるボリュームノブで左右同時に行え、正確なバランス調整が容易である。電源は背面のスライドスイッチでON/OFFを切り替える方式だ。

スピーカーの底面には、卓上での設置を最適化するための2段階の角度調整が可能なゴム製スタンドが備わっている。これにより、スピーカーをデスクに直置きしても、ツイーターとウーファーの中間点がリスナーの耳の高さに近づくよう調整でき、最適なリスニングポジションを確保しやすくなっている

さらに、マイクスタンド取り付け用のUNC 3/8インチ-16ネジ穴も底部に装備されており、卓上マイクスタンドなどを使用してスピーカーをデスクから浮かせ、不要な反射音や振動を軽減し、音質を向上させることも可能である。左右のスピーカーを接続する2mの4ピンケーブルも付属しているが、このケーブルはやや固く、取り回しがしにくいという意見も一部で聞かれる。

DSPによる音質補正機能

iLoud Micro Monitorの音質を支える重要な要素の一つが、内蔵された56ビットDSP(デジタルシグナルプロセッサー)による音質補正機能である。このDSPは、位相と周波数特性を細かくコントロールし、驚くほど正確で詳細なサウンドを実現している。

特に注目すべきは、スピーカー背面に搭載された3つのEQスイッチである。これらは「Acoustic settings」として提供されており、好みの音作りというよりも、設置環境の音響特性に合わせてサウンドを最適化することを目的としている。

DESKフィルター

卓上設置時に発生しやすい中低域のブーストを補正するノッチフィルターである。これは、机などの設置面からの音の乱反射により、特定の周波数帯域が不自然に強調される現象を抑える役割を果たす。DESKモードをオンにすると、1kHzから10kHzの間に+3.5dBのブースト、400Hz以下を-1dBカットするベル型のノッチフィルターが作動する。これにより、デスクトップでのモニタリングにおいて、よりフラットでクリアな音響特性を得られる

HFフィルター(High Frequency Filter)

高域レベルを調整するシェルフタイプのEQで、4kHz以上の周波数帯域に対して0dBまたは+2dBの増減を設定できる。音響環境や個人の好みに合わせて高音の明るさを調整するために使用される。

LFフィルター(Low Frequency Filter)

低域レベルを調整するシェルフタイプのEQで、250Hz以下の周波数帯域に対して0dBまたは-3dBの増減を設定できる。このフィルターは、壁や天井からの近接効果による低域の問題を調整するのに役立つ。

これらのEQスイッチは、部屋の音響特性やスピーカーの置き方によって最適な設定が異なるため、使用環境に合わせて調整することが非常に重要である。DSPテクノロジーは、小さなスペースでは不可能と考えられていた正確な位相、定位、そしてリニアな周波数特性を実現する上で不可欠な役割を担っている。

卓上設置と音響特性の調整

iLoud Micro Monitorは、様々な設置環境でその性能を最大限に引き出すための工夫が凝らされている。特に、限られたスペースでの卓上設置に特化した設計が特徴だ。

スピーカーの底部には、2段階の角度調整が可能なゴム製スタンドが内蔵されている。これにより、スピーカーをデスクに直置きする際でも、ツイーターとウーファーの中間点がリスナーの耳の高さに近づくよう角度を調整できる。測定結果からも、この傾斜機能を使用することでデスクトップ設置時の周波数特性が改善されることが示されている。机上面からスピーカーを浮かせることで、振動や不要な反射音を軽減し、よりクリアなサウンドを得られる効果もある

スピーカースタンドやマイクスタンドの活用

さらに音質を追求するならば、スピーカースタンドやマイクスタンドの活用が推奨される。iLoud Micro Monitorの底部には、標準的な3/8インチのマイクスタンド取り付け用のネジ穴が装備されており、これによりスピーカーを理想的な高さに設置し、デスクからの反射音を効果的に低減できる。これは、特に部屋の音響環境が完璧ではない場所でのモニタリングにおいて、周波数応答の linearity を改善し、より正確なサウンドを得るために非常に有効な手段である。

最適なリスニングポジションと部屋の音響

ステレオ環境で使用する場合、最適なリスニングポジションは、スピーカーとリスナーが正三角形の頂点を構成する「スイートスポット」の中央に位置することである。また、スピーカーと壁、天井、床との距離も対称的に保つことが重要であり、特に壁から最低20cm(8インチ)の距離を確保することで、低域の不必要な強調を避けることができる。部屋の音響特性はモニターシステムのパフォーマンスに大きく影響するため、最低限の音響処理を施すことも推奨されている。これらの適切な設置と音響調整により、iLoud Micro Monitorのポテンシャルを最大限に引き出し、正確なモニタリング環境を構築できるだろう。

iLoud Micro Monitorの音質評価

iLoud Micro Monitorの音質は、そのコンパクトなサイズを考えると驚異的と評価されている。特に、価格帯とサイズを考慮すると「大満足」の一言に尽きるという声が多く聞かれる。

サイズを超えたパワフルな低音

まず、最も印象的なのは「サイズからは想像できないパワフルな低音再生能力」である。この小さな筐体から信じられないほどの量感ある低音を繰り出し、初めて聴いた際には多くのユーザーが衝撃を受ける。ただ量が多いだけでなく、その低音の質も非常に高く、ぼやけたりせず、タイトで引き締まっている。ベースラインのニュアンスやバスドラムの芯のある音を正確に聞き取ることができ、特にヒップホップやEDMなどの低音重視のジャンルではその真価を発揮する。これは、独自の先進的なDSP技術と最適化されたバスレフポート設計によるものである。周波数特性は-3dBで55Hz~20kHz、-10dBで45Hz~22kHzとされている。

卓越した空間表現と定位感

iLoud Micro Monitorは「卓越した空間表現と定位感」にも優れている。ステレオイメージが広く、音源がどこに配置されているかを正確に把握できるため、ボーカルが中央にしっかりと定位し、左右にパンニングされた楽器も明確な位置で聞こえる。奥行き感も感じられ、音場が立体的に構築されることで、まるで音が空中に浮かんでいるかのような感覚を覚えることもある。このような特性は、音楽制作におけるミキシングやマスタリング作業において非常に重要であり、動画編集時のBGMとナレーションのバランス調整や効果音の配置にも役立つ

高音の明瞭度と音の弾力感

高音の明瞭度も非常に高く、シンバルのきらめきやアコースティックギターの弦が擦れる音、ボーカルの息遣いなど、細かな音まで非常にクリアに聞き取ることができる。音の一つ一つが埋もれることなく、鮮明に耳に届く解像度の高さが特徴である。また、音全体には「適度な弾力感」があり、硬すぎず柔らかすぎず、しなやかで応答性の良いサウンドにより、音楽の持つ躍動感やグルーヴ感を余すところなく伝えてくれる。

モニター用途としての総合評価

全体的に見て、iLoud Micro Monitorは「モニター的な音」であり、過度な色付けなく原音を忠実に再現しようとする姿勢が感じられる。そのため、YouTube動画作成時の音のモニターなど、正確な音の判断が求められる用途において非常に高い満足度を提供する。ただし、純粋な音楽鑑賞目的では、ピュアオーディオスピーカーのような「艶やかさ」や「エモーショナルな表現」には一歩譲るかもしれない。

音量については必要十分なレベルが出せるとの声が多いが、低音を深く追求したり、非常に大きな音量で使用したりすると、歪みやクリッピング、ポートノイズが発生する場合がある点には注意が必要である。また、電源オン時にホワイトノイズが発生するという意見もあるが、音楽再生時には気にならないレベルである。

低音域の再現性と解像感

iLoud Micro Monitorの低音域は、その小さなサイズからは想像もつかないほどのパワフルな再現性を持っていることで広く評価されている。多くのユーザーが初めて聴いたときに「こんな小さな箱から、本当にこんな低音が出るのか?」と驚きを隠せないほどだ。

質を伴う低音の量感

このスピーカーの低音は、単に量が多いだけでなく、質も非常に高いのが特徴である。ぼやけたり、だらだらと伸びたりするような安っぽい低音ではなく、タイトで引き締まっており、アタック感やグルーヴ感を正確に表現してくれる。バスドラムのフェザリングのような非常に小さな音のニュアンスまで聞き取ることができ、ベースラインの芯のある音もしっかりと把握できる。ヒップホップやEDMなど、低音域が重視されるジャンルでは特にその真価を発揮し、DJ練習用としても推奨される

低音域の周波数応答は、-10dBで45Hzまで再生可能とされており、これは小型スピーカーとしては非常に優れた数値である。一般的な小型スピーカーに見られる「低音不足を気付かせないトリック」のような不自然な強調はなく、ナチュラルな低音再生を実現している。これは、IK Multimedia独自の先進的なDSP技術と、入念に設計された前面のバスレフポート機構による恩恵である。

解像感と注意点

低音域の解像度については、多くのユーザーがクリアさを感じている一方で、より大型のモニターと比較すると「解像度に不満がある」「もやっとした感じ」という意見も一部で見られる。また、特定の帯域で「ポートノイズ」が発生する場合があるとの報告もある。これはバスレフ型エンクロージャーのポートを通過する空気の流れによって発生するノイズで、楽曲中では目立たない場合もあるが、動画のようなコンテンツでは目立つ可能性がある。

ただし、サイズや価格を考慮すれば、iLoud Micro Monitorが提供する低音域の再現性は非常に高く、ヘッドホンでの低音モニタリングによる疲労を軽減する上でも大きなメリットとなるだろう。


iLoud Micro Monitor レビュー:多角的な分析

iLoud Micro Monitor レビュー:多角的な分析
インデックス
  • 優れた空間表現と定位感
  • 持ち運びやすさと設置の自由度
  • コストパフォーマンスの分析
  • 使用上のノイズと注意点
  • 他のモニタースピーカーとの比較
  • iLoud Micro Monitor レビューの総括

優れた空間表現と定位感

iLoud Micro Monitorは、そのサイズからは想像できないほど優れた空間表現と音の定位感を持っている。ステレオイメージが非常に広く、音源がどの位置に配置されているのかを正確に把握することが可能だ。

具体的には、ボーカルがサウンドの中心にしっかりと定位し、左右にパンニングされた楽器の音がそれぞれ明確な位置で聞こえてくる。また、奥行き感も感じられ、音場が立体的に構築されるため、まるで音が空中に浮かんでいるかのような臨場感を得られることもある

このような優れた空間表現と定位感は、音楽制作におけるミキシングやマスタリング作業において極めて重要である。各楽器のバランスや配置を正確に把握できることで、より質の高い作品作りが可能となる。例えば、YouTube動画の制作では、BGMとナレーションのバランス調整や、効果音の適切な配置といった細かな音の調整を正確に行うことができる。映画やドラマの視聴においても、爆発音や足音の方向性、セリフの明瞭度など、サウンドから得られる情報が格段に増え、没入感を高める効果が期待できる。

しかし、一部のレビューでは、そのコンパクトなサイズゆえに「定位も解像度も甘く、音に薄皮が何枚かかかった感じがする」「もやっとした感じ」という意見も聞かれる。これは、より大型で高価なプロ用モニターと比較した場合のシビアな評価であると考えられる。上位モデルのiLoud Micro Monitor Proでは、さらに定位感が向上しているという指摘もある。それでも、このサイズと価格帯でiLoud Micro Monitorが提供する空間表現と定位感は、多くのユーザーにとって十分満足できるレベルにあると言えるだろう

持ち運びやすさと設置の自由度

iLoud Micro Monitorは、その卓越した携帯性と設置の自由度によって、多様な作業環境に対応できる点が大きな強みである。

驚異的なポータビリティ

幅90mm×高さ180mm×奥行き135mm、重量1.72kg(ペア)という超小型・軽量設計は、バックパックや機材用バッグにも容易に収納できる。これにより、スタジオだけでなく、ホテルや旅行先など、場所を選ばずに本格的なモニタリング環境を構築することが可能である。移動の多い音楽制作者やコンテンツクリエイターにとって、どこでも同じ基準の音で作業できる安心感は計り知れないメリットとなる。実際に、長期間にわたる移動の多いユーザーからは、その携帯性が高く評価されている。

多様な設置オプション

iLoud Micro Monitorは、設置環境に柔軟に対応するための様々な工夫が施されている。

  • 卓上設置の最適化: スピーカー底部には2段階の角度調整が可能なゴム製スタンドが内蔵されており、デスクに直置きする際でも、ツイーターとウーファーの中間点がリスナーの耳の高さに近づくよう調整できる。これにより、卓上設置時の周波数特性の改善が期待できる。
  • マイクスタンドマウント: スピーカー底部には標準的な3/8インチのマイクスタンド取り付け用ネジ穴が装備されており、卓上マイクスタンドなどを用いてスピーカーをデスクから浮かせ、不要な反射音や振動を軽減し、音質を向上させることも可能だ。これにより、限られたデスクスペースでも最適なリスニングポジションを確保しやすくなる。
  • 簡単な取り回し: 小さく軽量であるため、スイートスポットの調整が容易である。日本の一般的な住宅事情において、大きなスピーカーでは実現が難しい正確なモニタリング環境を、手軽に構築できる点も大きなメリットだ。

これらの特徴により、iLoud Micro Monitorは省スペース環境や移動が多いユーザーにとって、非常に実用的な選択肢となっている。また、長期間の使用にも耐えうる堅牢性も評価されている。

コストパフォーマンスの分析

iLoud Micro Monitorは、その価格帯において突出したコストパフォーマンスの高さで知られている。市場価格は約3万円台後半から5万円台で推移しており、アマゾンのブラックフライデーセールなどでさらに安価に購入できた事例もある。

卓越した音質と機能性の両立

この価格帯で提供される音質は「驚異的」と評されることが多い。「サイズからは考えられない音」、「値段なりかそれ以上の価値を感じさせるサウンド」という声も多く聞かれる。特に、コンパクトさにもかかわらず、しっかりとした低音再生能力を備えている点は、他の同価格帯の小型スピーカーと比較しても優位性がある。一部の意見では、Genelec 8010Aのような高精度なモニターと比較しても、低音域の表現力でiLoud Micro Monitorが勝るとする声もある。

同クラス製品との比較

価格を考慮すれば、iLoud Micro Monitorは高級機だけが提供してきた機能を備えているとされる。これは、バイアンプ駆動、DSPによるクロスオーバーとEQ補正、専用スタンド、マイクスタンド用ネジ穴といった要素を指す。

以下に、主要な小型モニタースピーカーとの比較をまとめる。

モデル名ウーファー周波数応答出力入力端子サイズ (幅×高×奥)価格帯(ペア、参考)特長
iLoud Micro Monitor3インチ55Hz~20kHz50W RMSRCA、3.5mm、Bluetooth90×180×135mm約3.5~5万円コンパクト、低音パワフル、Bluetooth対応、DSP補正
TANNOY Reveal501a5インチ60Hz~20kHz50W RMSXLR、RCA184×303×238mm約5万円音質良好だが大型、一部でノイズ報告
Genelec 8010A3インチ67Hz~25kHz50WXLR121×195×116mm約6万円高精度、プロ向け、一部で低音不足の意見
Fostex PM0.4n4インチ(非公開)(非公開)RCA、TRS(非公開)約3.5万円低音の輪郭に課題、音量を上げた時の迫力
iLoud Micro Monitor Pro3インチ50Hz~20kHz(±2dB)50W RMS(単体)RCA、バランスXLR106×206×158mm約9.5万円出力2倍、ARC音場補正、X-MONITOR、左右独立設計、Bluetooth非対応

表に示されるように、iLoud Micro Monitorは、その価格、サイズ、音質のバランスにおいて非常に優れている。特に、Bluetooth接続に対応している点も利便性を高め、コストパフォーマンスに大きく貢献している。上位モデルのiLoud Micro Monitor Proが登場した現在でも、そのコストパフォーマンスの高さと手軽さから、多くのユーザーにとって依然として魅力的な選択肢であり続けている

使用上のノイズと注意点

iLoud Micro Monitorは多くのメリットを持つ一方で、使用環境や接続方法によってはいくつかの注意点が存在する。

ノイズ問題

  • ホワイトノイズ: 電源をオンにした際に、常時発生するホワイトノイズが気になるという意見が一部のユーザーから聞かれる。これはBluetooth機能が搭載されていることによって生じるノイズであるとされる。しかし、音楽再生時にはほとんど気にならないレベルであるという意見が多数派である。
  • ミニステレオ端子からのノイズ: モニターのイヤホン端子(例:ASUS ProArt PA279CV-R)からミニステレオ端子で接続すると、大きな「ジーっ」というノイズが発生するとの報告がある。RCA接続ではノイズがない場合が多く、これは接続元の出力品質やグランドループの問題、あるいはiLoud Micro Monitorとの入力インピーダンスの相性が原因である可能性が指摘されている。このノイズがあまりにも大きい場合は、ミニステレオ端子の使用を避けるか、ノイズ対策機器の導入を検討する必要がある。

音質に関する注意点

  • 音割れ・ポートノイズ: 低音を強調しすぎたり、非常に大きな音量で使用したりすると、歪みやクリッピング(音の信号が機器の許容能力を超えて歪む現象)が発生する場合がある。また、特定の帯域で「ポートノイズ」(バスレフポートを通過する空気の流れによるノイズ)が発生することが報告されている。楽曲中では目立たないこともあるが、動画のようなコンテンツでは目立つ可能性がある。
  • リスニング用途への向き不向き: iLoud Micro Monitorは原音忠実な「モニター的な音」を目指しているため、音に過度な色付けがない。そのため、純粋な音楽鑑賞目的で「艶感」や「エモーショナルな表現」を重視するユーザーには物足りなさを感じるかもしれない。

その他の注意点

  • ケーブルの取り回し: 左右のスピーカーを接続する付属の4ピンケーブルはやや固く、取り回しがしにくいという意見がある。また、電源アダプターが2つに分かれている点も考慮する必要がある。
  • 横置きは非推奨: iLoud Micro Monitorは縦置きでの使用が推奨されており、側面が盛り上がった形状のため、横置きにすると安定性が極めて悪く、落下のリスクが高まる。音質上のメリットも少ないため、縦置きでの使用が最も適切である。
  • 電源ON/OFFの順序: パワードスピーカーの基本的なルールとして「最後にON、最初にOFF」を推奨している。システムを起動する際は、他の機器の電源を入れてからiLoud Micro Monitorを最後にONにし、シャットダウンする際はiLoud Micro Monitorを最初にOFFにする。
  • 最適なパフォーマンスには慣らしが必要: スピーカーは最適な音響性能を発揮するまでに数日かかる場合がある。

これらの注意点を理解した上で使用することで、iLoud Micro Monitorの持つ高いポテンシャルを最大限に引き出し、快適なオーディオ環境を構築できるだろう。

他のモニタースピーカーとの比較

iLoud Micro Monitorは、その独特なコンセプトと性能から、様々なモニタースピーカーと比較検討の対象となる。ここでは、主要な競合製品や関連製品との比較を通じて、その特徴をより明確にする。

Genelec 8010Aとの比較

Genelec 8010Aは、プロオーディオ業界で高い評価を得ている小型モニターであり、iLoud Micro Monitorの比較対象としてよく挙げられる。Genelec 8010Aは高精度な音質が特徴だが、価格はiLoud Micro Monitorより高価である。低音域については意見が分かれ、iLoud Micro Monitorの方がしっかり出るとの声がある一方で、8010Aは低音不足や「泥っぽい」「ソフトな低音」という評価もある。全体的なクオリティ、特に中高音の透明感や解像感、ダイナミックレンジではGenelec 8010Aが優位という意見も存在する。筐体の質感は8010Aの方が良いと評されることもある。

TANNOY Reveal501aとの比較

TANNOY Reveal501aは、以前のメインモニターとして使用していたユーザーが、ノイズ問題、サイズ、左右独立のボリューム調整の不便さからiLoud Micro Monitorに乗り換えた事例がある。iLoud Micro Monitorはよりコンパクトでノイズが少なく、音量調整も片側で完結する利便性で優れている

Fostex PM0.4nとの比較

Fostex PM0.4nも小型モニターの定番の一つである。PM0.4nは低音の輪郭がぼやける、サイズが大きいといった課題が指摘されている。iLoud Micro Monitorは、低音のクリアさや音の分離感で勝ると評価されている。一方で、音量を上げた時の迫力や低音の「塊感」はPM0.4nに軍配が上がるという意見もある。

IK Multimedia iLoud (無印)との比較

iLoud無印は、バッテリー駆動、ギターアンプ機能、より優れた携帯性が特徴で、カジュアルなリスニングやアウトドアでの使用に適している。iLoud Micro Monitorの方が低音域がしっかり出るが、携帯性の手軽さではiLoud無印が勝る。

IK Multimedia iLoud Micro Monitor Proとの比較

iLoud Micro Monitor Proは、iLoud Micro Monitorの上位モデルとして2024年9月にリリースされた。Pro版は、出力が2倍になり、ARC音場補正機能、バランスXLR入力、左右独立設計といったプロフェッショナルな機能が追加されている。定位感、低域の質、ステレオイメージも向上し、クリッピングまでの余裕も大きい。ただし、Pro版はBluetooth接続に対応しておらず、価格もiLoud Micro Monitorの倍近くする。

これらの比較から、iLoud Micro Monitorは、価格、サイズ、音質、機能性のバランスが非常に優れており、特にコンパクトさと手軽さ、そしてそのサイズからは信じられないほどの音質を求めるユーザーにとって、非常に強力な選択肢となることがわかる。

iLoud Micro Monitor レビューの総括

iLoud Micro Monitorは、そのコンパクトなサイズと価格帯をはるかに超える性能を持つ、まさに「小さな巨人」と呼ぶにふさわしいモニタースピーカーである。

  • デスクに置ける省スペース設計で日本の住宅事情に最適である。
  • サイズからは想像できないパワフルかつ質の高い低音を再生可能だ。
  • 優れた空間表現と正確な定位感により、ミキシングや動画編集作業の精度を高める。
  • Bluetooth接続にも対応し、日常の音楽リスニングにも手軽に活用できる。
  • 価格と性能のバランスが非常に高く、コストパフォーマンスに優れる製品だ。
  • 卓上設置に最適化された角度調整機能やマイクスタンドマウントに対応する。
  • DSPによる音響補正機能で、部屋の環境に合わせた音質調整が可能である。
  • DTM初心者からプロまで、幅広いユーザーのニーズに応える実力を持つ。
  • 左右スピーカー接続ケーブルの固さや一部の接続端子でのノイズ発生がある。
  • ポートノイズや音量による歪みが発生する可能性もあるため注意が必要だ。
  • 音楽鑑賞目的では、モニター用途のため艶感やエモーショナルな表現に物足りなさを感じる場合もある。
  • しかし、原音を忠実に再現するフラットな特性は、正確な音の判断に寄与する。
  • 長期間の移動が多いユーザーや、限られたスペースでの作業が多い人に特に推奨できる。
  • 上位モデルのPro版が出た後も、その手頃な価格と利便性で現役の選択肢である。
  • 購入を検討する際は、自身の使用目的や環境を考慮し、最適なモデルを選定することが鍵となる。
ピア僧

1976年、北海道生まれ。

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