Rolandの電子ピアノ「RP701」と「F701」は、ご自宅での演奏に最適なモデルとして人気が高く、「f701 rp701 違い」と調べている方も多いでしょう。本記事では、このF701 RP701 違いを明確にするため、特にモデル選びの大きな決め手となるデザインとサイズ、そして演奏の奥行きを左右するペダル機能に焦点を当て、詳細に比較。あなたにとって最適な一台を見つけるための情報をお届けします。
- デザインとサイズ: F701はスリムでコンパクトなデザイン、RP701は前脚を備えたより伝統的で奥行きのあるデザインであること
- ペダル機能: RP701はグランドピアノの踏み応えと音色変化を再現する「プログレッシブ・ダンパー・アクション・ペダル」を搭載し、F701は連続検出対応だがRP701ほど本格的ではないこと
- 鍵盤蓋と譜面立ての構造: F701の鍵盤蓋は折りたたみ式で譜面立てを兼ねるため位置が低い一方、RP701はスライド式で操作パネルを隠せる「アコースティック・ポジション」に対応し、専用譜面立てが高い位置にあること
- 付属品、操作パネルの位置、カラーバリエーション: RP701には高低自在椅子が標準で付属し操作パネルが中央にあるのに対し、F701には通常椅子は付属せず操作パネルが左端に配置され、暗い木目調のカラーも異なること
F701とRP701、その違いを徹底比較
- どんなピアノ?エントリーモデルの概要
- 金額差とコストパフォーマンス
- 何が違う?基本性能と共通点
- 最大同時発音数と音色の多様性
- ペダル機能の比較と表現力
- エスケープメント機能の解説
どんなピアノ?エントリーモデルの概要

ローランドのF701とRP701は、どちらもデジタルピアノのエントリーモデルとして位置付けられている。これらのモデルは、趣味でピアノを弾く人や、これからピアノを始める人に向けて設計された機種だ。両機種に共通する最大の魅力は、その優れた基本性能にある。具体的には、グランドピアノの豊かな表現力を再現する「スーパーナチュラル・ピアノ音源」と、繊細な指先のタッチコントロールを可能にする「PHA-4スタンダード鍵盤」を搭載している。これにより、美しく優しい音からダイナミックで迫力のある音まで、奏者の思い通りの演奏表現を可能にするのだ。
F701は、現代の住宅に溶け込むスタイリッシュなデザインが特徴である。スリムで洗練されたキャビネットは、奥行き約34.5cmというコンパクトなサイズに設計されており、狭いスペースにも無理なく設置できる点が強みだ。また、操作パネルは日本語表示のディスプレイとアイコン表示のボタンが配置され、デジタルピアノの多彩な機能を直感的に操作できる。ヘッドホン使用時には、グランドピアノのような立体感や奥行きを感じて演奏できる「ヘッドホン・3D・アンビエンス」機能も搭載されており、周囲を気にせず集中して練習に取り組むことができる。
一方、RP701は、お子さんやピアノ初心者が使いやすいよう設計された、家族みんなで楽しめるエントリーモデルだ。はじめての1台に最適なモデルとして、音、タッチ、ペダルといったピアノの基本性能に特にこだわって開発されている。RP701の「スーパーナチュラル・ピアノ音源」は、明るく華やかながらも、音の厚みや響きの豊かさが特長だ。操作パネルには日本語ディスプレイが採用され、ボタン表示もアイコン化されているため、お子さんでも簡単に操作できる親切な設計となっている。さらに、演奏に集中したい場合には、鍵盤蓋をスライドさせて操作パネルを隠す「アコースティック・ポジション」機能も備わっている。前脚を備えたデザインは、高級感と安定感を両立しており、ピアノらしい佇まいを求める人に人気がある。両機種ともにBluetooth機能を搭載しており、スマートフォン連携で音楽再生やアプリを使った楽しい練習が可能だ。
金額差とコストパフォーマンス

F701とRP701は、ローランドの10万円台で人気の電子ピアノであり、その価格帯は非常に近い位置にある。具体的な市場価格は時期や販売店によって変動するものの、RP701が約114,800円、F701が約123,800円といった報告もあるため、RP701の方がわずかに安価な傾向が見られる。この価格差が小さいからこそ、ユーザーは機能面やデザイン、付属するものの違いを詳細に比較し、自身の用途にとってのコストパフォーマンスを判断する必要があるだろう。
両機種の主要な基本性能は共通している部分が多い。例えば、ピアノ音源には定評のある「スーパーナチュラル・ピアノ音源」を、鍵盤には「PHA-4スタンダード鍵盤」を搭載している。最大同時発音数も256音、音色数は324音色、内蔵曲数は397曲と同じスペックだ。スピーカーのサイズ(12cm×2)と定格出力(12W×2)も共通しており、BluetoothオーディオおよびMIDI機能にも両機種とも対応している。これらの基本性能が同等であるため、価格差に見合った他の要素が重要となる。
まず、ペダル機能に関して、RP701のダンパーペダルは「PDA(プログレッシブ・ダンパー・アクション)ペダル」を採用している。これは、グランドピアノ特有の踏み応えや微妙なハーフペダル操作による音色変化をより忠実に再現できる点がF701よりも優れているとされている。F701のダンパーペダルも連続検出には対応しているものの、RP701のような「プログレッシブ・ダンパー・アクション」ではないため、より繊細なペダリング表現を求める場合はRP701に軍配が上がるだろう。
次に、RP701には正しい姿勢で演奏できる高低自在椅子が標準で付属する。F701には椅子が付属しないため、もし椅子の購入が必要であれば、その費用を考慮に入れる必要がある。この付属椅子の価格(約9,900円相当)を考慮すると、RP701の「お得感」が増すと言えるだろう。
しかし、F701には明確な強みがある。それは、奥行きが約34.5cm、重さ36.0kgという圧倒的なコンパクトさだ。RP701の奥行きが約46.3cm、重さ46.0kgであるのと比較すると、F701はより省スペースで設置できる。部屋の広さに制約がある場合や、スタイリッシュなデザインを重視し、圧迫感を避けたい場合にはF701が優れた選択肢となる。
結局のところ、どちらのモデルが「高コスパ」かは、ユーザーがどのような点を重視するかで変わる。より本格的な演奏表現と椅子の付属を重視するならRP701、デザイン性や設置スペースの柔軟性を重視するならF701が、それぞれのニーズに応じた賢い選択となるだろう。
何が違う?基本性能と共通点
F701とRP701は、ローランドのエントリーモデルデジタルピアノとして多くの共通点を持つが、デザインや一部の機能性において明確な違いがある。これらの違いを理解することが、どちらのモデルが自分に最適かを判断する上で役立つだろう。
まず、最も重要な共通点として、両機種ともに「スーパーナチュラル・ピアノ音源」と「PHA-4スタンダード鍵盤」を搭載している点が挙げられる。スーパーナチュラル・ピアノ音源は、グランドピアノの特性を徹底的に追求し、鍵盤一つ一つの音色や響きの違い、自然で境目のない音色変化、音の減衰までも忠実に再現する。これにより、アコースティックグランドピアノさながらの、なめらかで表情豊かな演奏が可能だ。PHA-4スタンダード鍵盤は、白鍵が象牙調の見た目と手触りで、エスケープメント機構も備わっており、連打性にも優れている。これにより、指先の微妙なニュアンスまで音に反映させることができ、奏者の思い通りの表現を支える。
音響面では、最大同時発音数が256音、音色数が324音色と、これも両機種で共通している。内蔵曲も397曲が収録されており、リスニング曲、アンサンブル曲、エンターテイメント曲、そしてスケールやハノン、バイエル、ブルグミュラー、ツェルニー100番といったレッスン曲が充実している。メトロノームや録音機能、ヘッドホンでの練習に対応する「ヘッドホン・3D・アンビエンス」機能も共通して搭載されている。
デジタル機能の面では、Bluetoothオーディオ機能とBluetooth MIDI機能も両機種に備わっている。これにより、スマートフォンのお気に入りの曲をピアノのスピーカーから再生したり、ローランドのオリジナルアプリ「Roland Piano App」(Piano Every Day)と連携して、譜面表示、音当てゲーム、練習記録といった多彩なコンテンツを楽しんだりすることが可能だ。
では、具体的な違いは何だろうか。最も大きな違いは、デザインとそれに伴う物理的な構造、そしてペダル性能である。RP701のダンパーペダルは、「PDA(プログレッシブ・ダンパー・アクション)ペダル」を採用しており、グランドピアノのペダリングに近い、より繊細な表現力を実現している点がF701の連続検出ペダルよりも優位とされている。
デザイン面では、F701は奥行き約34.5cm、重さ36.0kgのスリムでモダンなコンパクトデザインが特徴で、部屋への圧迫感が少ない。鍵盤蓋は折りたたみ式で、蓋がそのまま譜面立てになる。操作パネルは左端にまとまっている。一方、RP701は前脚付きで高さがあり、よりピアノらしい安定感と高級感を持つデザインが特徴だ。鍵盤蓋はスライド式で、操作パネルを隠す「アコースティック・ポジション」に対応している。操作パネルは鍵盤の奥中央に配置され、日本語表示で直感的に操作できる。
付属の高低自在椅子の有無も違いの一つで、RP701には付属するが、F701には付属しない。これらの違いは、演奏の本格性、設置スペースの制約、デザインへの好みといった、ユーザーの多様なニーズに応えるための選択肢となっている。
最大同時発音数と音色の多様性
F701とRP701は、ローランドのエントリーモデルながら、最大同時発音数と音色の多様性において共通して高い水準を実現している。この点は、ピアノ演奏の質と楽しさに直結する重要な要素だ。
具体的に両機種の最大同時発音数は256音である。最大同時発音数とは、ピアノが同時に発することのできる音の数を意味し、この数値が大きいほど、音が重なったりペダルを使って音を伸ばしたりする際に、音が途切れることなく豊かな響きを維持できる。例えば、複雑な和音を素早く弾いたり、ダンパーペダルを深く踏み込んで音の余韻を重ねたりするような演奏でも、256音あれば十分に多くの音が同時に鳴り続けるため、音切れの心配はほとんどないだろう。これにより、表現の幅が広がり、演奏者はより自由な音楽表現を楽しめる。
音色の多様性も両機種の大きな強みだ。F701とRP701は、共通して324種類の音色を内蔵している。この豊富な音色ラインナップには、グランドピアノの様々なバリエーション(コンサートピアノ、バラードピアノ、メロウピアノ、ブライトピアノなど)はもちろんのこと,、アップライトピアノやクラシカルピアノ(フォルテピアノ、チェンバロ)も含まれる。さらに、エレクトリックピアノ、オルガン、ストリングス(バイオリン、チェロ、オーケストラなど)、ブラス、シンセサイザー、ドラム、ボイス、効果音など、多岐にわたる楽器の音色が収録されている。
これだけの音色があれば、同じ曲でも様々な楽器の音で試したり、異なる音色を重ねて演奏したり(デュアル演奏)、鍵盤を左右に分けて異なる音色で演奏したり(スプリット演奏)と、多彩な楽しみ方ができる。例えば、ピアノの音色にストリングスの音色を重ねて壮大なサウンドを奏でたり、左手でベース、右手でピアノといったアンサンブルを一人で楽しんだりすることが可能だ。
また、ただ音色が多いだけでなく、これらの音色にはローランド独自の「スーパーナチュラル・ピアノ音源」が採用されている。この音源は、単に録音された音を再生するサンプリング音源とは異なり、グランドピアノの音の生成プロセスを徹底的に解析し、鍵盤を弾く強さによる音質や音色の変化を境目なく滑らかに再現する。これにより、豊富な音色を単なる「プリセット」としてではなく、生楽器に近い表現力で演奏できるのだ。
これらの特徴は、初心者から経験者まで、あらゆるレベルの演奏者が音楽表現を追求し、日々の練習を飽きずに続けられる環境を提供している。
ペダル機能の比較と表現力
電子ピアノにおけるペダル機能は、演奏に奥行きと豊かな表現を加える上で欠かせない要素だ。F701とRP701は、どちらもアコースティックピアノと同様にダンパー、ソフト、ソステヌートの3本ペダルを搭載しているが、特にダンパーペダルにおいてその性能に明確な違いがある。
F701のダンパーペダルは「連続検出」に対応している。これは、ペダルを踏み込む深さに応じて音の余韻や響きが変化する機能であり、ペダルを深く踏み込めば音が長く伸び、浅く踏み込めば短く減衰するなど、微妙なニュアンスを表現できる。この機能は、外部接続式のキーボード用ペダルと比較して高いクオリティであり、これからピアノを始める人や、趣味で気軽に演奏する人にとっては十分に満足できるレベルだ。ソフトペダルは音に柔らかさを、ソステヌートペダルは特定のだた音にのみ余韻を与える機能を持ち、これらも演奏表現に貢献する。
一方、RP701のダンパーペダルは、F701よりも高性能な「PDA(プログレッシブ・ダンパー・アクション)ペダル」を搭載している。このPDAペダルは、グランドピアノ特有の踏み応えと、それに伴う音色変化をより忠実に再現するよう設計されている。具体的には、ペダルを踏み始めたときの軽さから、ダンパーが弦から離れ始める瞬間の重みへと段階的に変化するアコースティックピアノの感覚を再現し、ハーフペダルの効き始めをより掴みやすくしている。これにより、微妙な余韻や響きのコントロールが格段に向上する。例えば、ハーフペダル時に鍵盤から指を離した後、音がすぐに減衰するのではなく、豊かな広がりと響きが残るというグランドピアノ独特の余韻もリアルに表現できる。RP701は、連続検出機能に加えて、このようなペダルの物理的な応答性と音響的な変化を高度に再現することで、上級者の高度なペダリングにも応える表現力を実現しているのだ。
このように、ペダル機能の表現力という点では、RP701がF701よりも優位にあると言えるだろう。より本格的な演奏表現を追求したい場合や、グランドピアノの繊細なタッチに近い感触で練習したい人には、RP701のPDAペダルが大きなメリットとなる。しかし、F701のペダルも基本的な連続検出機能を備えており、入門者や趣味の範囲であれば十分な表現力を提供するため、自身の演奏レベルや求める表現の深さ、そして予算を考慮して選択することが重要だ。
エスケープメント機能の解説
F701とRP701は、どちらもローランドの「PHA-4スタンダード鍵盤」を採用しており、この鍵盤には「エスケープメント機構」が組み込まれている。このエスケープメント機能は、デジタルピアノの鍵盤タッチをアコースティックグランドピアノのそれに近づけるための重要な技術の一つだ。
具体的に、エスケープメントとは、アコースティックピアノにおいて、ハンマーが弦を叩いた後すぐに弦から離れる仕組みを指す。鍵盤をゆっくりと押し込んだ際に、指先に「カックン」というわずかな抵抗感やクリック感が伝わるのは、この機構によるものだ。このクリック感は、特に弱い力で鍵盤を弾く「弱打」の際に顕著に感じられる。アコースティックピアノのハンマーアクションを再現することで、演奏者はより繊細なニュアンスを鍵盤から感じ取ることができ、表現豊かな演奏を可能にする。
PHA-4スタンダード鍵盤は、白鍵が象牙のような見た目と手触りを再現しており、これは演奏時の指の滑りを抑制し、より安定したタッチをサポートする効果がある。また、この鍵盤は連打性にも優れており,、速いパッセージや複雑なリズムの曲でも、鍵盤がスムーズに反応し、演奏者の意図を正確に音に反映させることができる。
RP701については、「高精細なセンサー」も備えていることが明記されており、これによりPHA-4スタンダード鍵盤のタッチの微妙なニュアンスが、さらに高精度に音源に伝達されることが期待できる。これは、物理的な鍵盤の感触だけでなく、その感触が実際にどのように音として再現されるかという点でも、より質の高い演奏体験を提供することにつながるだろう。
このエスケープメント機能が搭載されていることで、F701とRP701は、安価なキーボードのような軽いタッチとは一線を画し、「本物のピアノに近い弾きごたえ」を持つ電子ピアノとして評価されている。これは、ピアノを始めたばかりの人が正しい指の感覚を身につける上で非常に重要であり、将来的にアコースティックピアノに移行する際にもスムーズに対応できる基礎を築く手助けとなる。
そのため、演奏の表現力や、アコースティックピアノに近いリアルな感触を重視する人にとって、F701とRP701の共通するエスケープメント機能は、購入を検討する上で見逃せない重要なポイントとなるだろう。
ローランドF701とRP701の機能差を解説
- Bluetooth機能とアプリ連携
- デザインと設置スペースの違い
- 鍵盤蓋と操作パネルの構造
- 付属品とカラーバリエーション
- 発売日と買い替え時の考慮点
- Roland F701とRP701の主な違いを総括
Bluetooth機能とアプリ連携

F701とRP701は、どちらも現代のデジタルピアノに欠かせないBluetooth機能を搭載している。この機能により、スマートフォンやタブレットといったモバイル機器との連携が可能になり、演奏だけでなく、日々の練習や音楽鑑賞の体験を大きく広げられる。
まず、「Bluetoothオーディオ機能」を活用すると、スマートフォンなどのお気に入りの音楽や、YouTubeなどのオンラインコンテンツの音声を、ピアノ本体のスピーカーから再生できる。F701やRP701に搭載されているスピーカーは、スマートフォン内蔵のスピーカーよりも音質が良く、パワフルなサウンドを提供するため、楽曲をよりダイナミックに楽しむことができるだろう。オンラインのピアノレッスン動画を再生しながら、その伴奏に合わせてピアノを弾くといった使い方も可能だ。これにより、自宅にいながらにして、まるで先生が隣にいるかのような臨場感のある練習が可能になる。
次に、「Bluetooth MIDI機能」は、ローランドが提供する無料のオリジナルアプリ「Roland Piano App」(または「Piano Every Day」)との連携を可能にする。このアプリは、ピアノの練習を楽しく、効果的に進めるための様々なコンテンツを内蔵している。例えば、聴音力を養う「フラッシュカード」のような音当てゲームや、1週間で1曲をマスターする「One Week Master」など、基礎力を楽しみながら身につけられる。また、内蔵曲の譜面を表示したり、自分の演奏を自動で記録し、タイムラインで表示する機能も搭載しているため、練習の進捗を視覚的に確認したり、後から演奏を聴き返したりすることが容易になる。RP701では、お子さんの練習状況を保護者が確認できる「見守り機能」としても活用できるとされている。さらに、「Piano Designer」アプリを使えば、ピアノの音の要素を細かく調節し、好みのサウンドにカスタマイズすることも可能だ。
このように、F701とRP701に共通するBluetooth機能とアプリ連携は、単なる楽器演奏に留まらず、学習、練習、そして音楽鑑賞といった多角的な側面から、ユーザーの音楽ライフを豊かにする非常に強力なツールとなっている。これはデジタルピアノならではの大きなメリットであり、初心者から上級者まで、すべてのユーザーにとって練習意欲の向上とスキルアップに繋がるだろう。
デザインと設置スペースの違い
F701とRP701は、ローランドのエントリーモデルデジタルピアノながら、デザインとそれに伴う設置スペースの要件において、明確なコンセプトの違いを持っている。この違いは、自宅での使用環境や、インテリアへのこだわりによって、ユーザーの選択に大きな影響を与えるポイントとなるだろう。
F701は、「モダン・インテリアに合うスタイリッシュなピアノ」というコンセプトのもと、スリムで洗練されたデザインが最大の特徴だ。奥行きはわずか約34.5cm、重さも36.0kgと軽量に設計されており、一般的な電子ピアノと比較しても非常にコンパクトだ。このサイズ感は、リビングや寝室など、限られたスペースにも無理なく設置できる柔軟性を提供する。A4用紙1枚分くらいの奥行きと表現されるほどで、部屋に置いても圧迫感が少なく、まるで家具の一部のようにインテリアに溶け込むだろう。また、軽量であるため、掃除の際に一時的に動かしたり、引っ越しが多い場合でも比較的容易に運搬できるという実用的なメリットもある。背面にも配慮があり、配線が目立たないような工夫も施されているため、設置場所の自由度が高い。
一方、RP701は、「はじめてのピアノに最適。家族で楽しめるピアノ」というコンセプトを体現しており、前脚を備えた、より本格的なピアノらしい佇まいと安定感を持つデザインが特徴だ。奥行きは約46.3cm、重さは46.0kgと、F701よりはやや大きめだが、その分しっかりとした存在感と安定性を提供している。RP701のデザインは、ローランドの上位モデルであるLX/HPシリーズのデザイン要素を継承しており、ピアノらしい上質感を持ちながらも、曲線と直線を活かしたモダンな印象を与える。しっかりとした足元は、演奏中の安定性を高めるだけでなく、地震などの万一の際にも倒れにくいという安心感をもたらすだろう。
このように、F701は省スペース性とインテリアへの調和を最優先に考えるユーザーに最適であり、RP701は、リビングなどでピアノとしての存在感を演出しつつ、演奏中の安定感を重視するユーザーに適していると言える。どちらを選ぶかは、部屋の広さやレイアウト、そしてピアノを単なる楽器としてだけでなく、インテリアの一部としてどう見せたいかという視点が重要になるだろう。
鍵盤蓋と操作パネルの構造

F701とRP701は、鍵盤蓋と操作パネルの構造において、それぞれ異なるデザイン哲学が反映されている。この違いは、ユーザーの日常的な使い勝手や、演奏への集中度に影響を与える重要な要素だ。
F701の鍵盤蓋は、「折りたたみ式」を採用している。この構造は、蓋を閉じた際に本体全体がフラットになり、奥行き約34.5cmというF701のスリムなデザインをさらに際立たせる。これにより、使わないときにはピアノが部屋にすっきりと収まり、圧迫感を与えない。蓋を開けると、その蓋がそのまま譜面立ての役割を果たす一体型デザインだ。このため、譜面立ての位置はRP701よりも低くなる。操作パネルは、本体の左端にコンパクトにまとめられて配置されている。このデザインは、スタイリッシュさを追求する一方で、RP701のような操作パネルを完全に隠す「アコースティック・ポジション」には対応していない。常に操作パネルが見えている状態を許容できる人や、デザインのシンプルさを重視する人には適しているだろう。ただし、小さなお子さんが使う場合、折りたたみ式の蓋の開閉時には、指を挟まないように注意が必要である。
一方、RP701の鍵盤蓋は、「スライド式」で引き出しのようにスムーズに出し入れできる構造だ。RP701の大きな特長の一つは、「アコースティック・ポジション」に対応していることである。この機能は、鍵盤蓋を途中の位置までスライドさせることで、ディスプレイや操作ボタンを覆い隠すことができる。これにより、演奏中に誤ってボタンに触れる心配がなくなり、また余計な視覚情報が遮断されるため、アコースティックピアノを弾いているかのような感覚で、より演奏に集中できる。特に、気が散りやすいお子さんの練習時には、この集中を促す効果が期待できるだろう。RP701の操作パネルは、鍵盤の奥の中央部分に配置されており、日本語表示のディスプレイとアイコン表示のボタンが採用されているため、初めての人やピアノを習い始めたばかりのお子さんでも、直感的に多彩な機能を簡単に操作できる。譜面立ては本体上面に固定されており、目線に合う高さにあるため、楽譜が見やすい点もメリットだ。また、譜面押さえも付属しているため、楽譜が風などでめくれるのを防ぎ、安定して置ける。
このように、F701はデザインのシンプルさと省スペース性を追求した構造であるのに対し、RP701は、よりピアノらしい演奏環境と実用的な機能性を重視した設計となっている。ユーザーは自身の好みや用途に応じて、これらの構造的な違いを考慮して選択すべきだろう。
付属品とカラーバリエーション

F701とRP701は、ローランドのエントリーモデルデジタルピアノとして、それぞれに魅力的な付属品とカラーバリエーションが用意されている。これらは、ピアノを自宅に導入する際の利便性や、インテリアとの調和を考える上で重要なポイントとなるだろう。
F701には、購入後すぐに演奏を始められるよう、必要なものが一通り揃っている。具体的には、取扱説明書、安全上のご注意チラシ、そしてピアノ演奏に役立つ楽譜集「ローランド ピアノ名曲集」が付属する。電源関連では、ACアダプターと電源コードが同梱されている。周囲に配慮しながら練習できるよう、ヘッドホンとヘッドホンフックも付属しており,、夜間や集合住宅での練習にも困らない。また、F701には、正しい姿勢で演奏できる「専用高低自在椅子」が標準で付属する点が特筆すべきメリットだ。通常、高低自在椅子は別売りで1万円程度の費用がかかる場合があるため、これは初期費用を抑えたいユーザーにとって大きな利点となるだろう。F701のスリムで軽量なデザインを補完するためか、「転倒防止金具」も付属する。カラーバリエーションは、モダンなインテリアに馴染む3色展開だ。洗練されたホワイト、ピアノらしい上質感のあるブラック、そして優しく明るい木目のライトオーク調仕上げが用意されている。特にライトオーク調は、温かみのある木目調で、明るい部屋やフローリングの部屋に合わせやすいと人気を集めている。
一方、RP701の付属品もF701と多くの点で共通している。取扱説明書、安全上のご注意チラシ、楽譜集「ローランド ピアノ名曲集」、ACアダプター、電源コード、ヘッドホン、ヘッドホンフック、そしてF701と同様に「専用高低自在椅子」が付属する。RP701はF701に比べて本体に前脚があり、デザイン的に安定感があるため、F701に付属するような転倒防止金具は同梱されていない。RP701の付属椅子も、X字型の簡易的な椅子とは異なり、正しい姿勢での演奏をサポートし、ガタつきが少ない点が評価されている。カラーバリエーションも3色展開だが、F701とは一部異なる。RP701では、落ち着いた色合いでお部屋に馴染みやすいダークローズウッド調仕上げ、F701と共通のやさしい木目のライトオーク調仕上げ、そして白い壁の部屋に合わせやすいさわやかなホワイトがラインナップされている。ダークローズウッド調はF701の黒木目調とは異なる深みのある色合いで、より高級感を演出したい場合に適している。
このように、両機種ともにユーザーがすぐに演奏を始められるよう配慮された付属品が揃っている。カラーバリエーションについても、それぞれのモデルが持つデザインコンセプト(F701のモダンでスリムな印象、RP701のピアノらしい上質感)に合わせた選択肢が提供されており、ユーザーは自身のインテリアや好みに合わせて最適な一台を選ぶことができるだろう。
発売日と買い替え時の考慮点
F701とRP701は、ローランドの電子ピアノのエントリーモデルとして同時期に発売された兄弟機のような関係性にある。発売時期を理解することは、モデル選択や将来的な買い替え計画を立てる上で役立つだろう。
RP701は2020年11月に発売された比較的新しい機種だ。このモデルは「はじめてのピアノだからこそ、こだわりの音とタッチで」というコンセプトを掲げ、使いやすさとデザイン性を向上させた本格派エントリーモデルとして登場した。一方、F701に関しては、具体的な発売日の明記は今回のソースにはないものの、価格.comの情報ではF701-LAが2021年1月30日に発売されたとされている。これはRP701とほぼ同時期か、ごくわずかに遅れて市場に投入されたことを示唆しており、両機種が同じ世代のモデルであることを裏付けている。
電子ピアノの一般的な寿命は10年から20年程度とされているが、これは使用頻度、メーカーの品質、そしてどれだけ適切にメンテナンスが行われているかによって大きく変動する。F701もRP701も、「スーパーナチュラル・ピアノ音源」や「PHA-4スタンダード鍵盤」といったローランドの定評ある基幹技術を搭載しているため、適切なケアを施せば、長期にわたってその性能を維持することが期待できるだろう。
買い替えを検討する際は、まず現在使用している電子ピアノの現状を把握することが重要だ。例えば、音が出ない、異音がする、鍵盤の戻りが悪い、電源が入らないといった不具合が発生した場合、まずは修理が可能かどうか、また部品の供給状況を確認すべきだ。ローランドの場合、製造打ち切り後6年間は補修用性能部品を保有しており、部品があれば修理対応が可能とされている。しかし、もし修理が困難である場合や、費用が高額になる場合は、新しい機種への買い替えを検討する良い機会となるだろう。
F701とRP701は、エントリーモデルとしては非常に高い水準の基本性能と多機能を備えているため、購入後すぐに上位モデルへの買い替えが必要になる可能性は低い。むしろ、これらのモデルでピアノの練習を継続し、さらに高度な演奏表現を求めるようになった際に、より高性能なモデル(例えば、ローランドのHPシリーズなど、より高度な音源やスピーカーシステムを搭載した機種)へのステップアップを検討するのが自然な流れとなるだろう。
例えば、HP702のような上位モデルでは、「スーパーナチュラル・ピアノ・モデリング音源」を採用しており、最大同時発音数が無制限、スピーカー出力もより強力である。これはRP701の「スーパーナチュラル・ピアノ音源」が音をサンプリングする方式であるのに対し、アコースティックピアノの音の生成プロセスをリアルタイムで再現する「モデリング」という異なるアプローチを取っており、より立体感のある音響体験を提供する。
結論として、F701とRP701は、発売時期が近く、基本的な演奏性能は共通しているため、どちらかを選べば、当面は買い替えの心配なく演奏を楽しむことができるだろう。重要なのは、自身のライフスタイルや演奏目標に合わせて、F701のコンパクトさやRP701のペダル性能といった細かな違いを理解し、現在のニーズに最も合致するモデルを選択することだ。そして、購入後は定期的なメンテナンスを心がけることで、電子ピアノの寿命を最大限に延ばすことができるだろう。
Roland F701とRP701の主な違いを総括
- F701はスリムでコンパクトなデザインで、奥行きが約34.5cmと浅い
- RP701は前脚を備えたより伝統的なデザインで、奥行きが46.3cmと深い
- F701は36.0kgとRP701より軽量である
- RP701は46.0kgとF701より重い
- F701の鍵盤蓋は折りたたみ式で、譜面立てとしても機能するが位置が低い
- RP701の鍵盤蓋はスライド式で、操作パネルを隠す「アコースティック・ポジション」に対応する
- RP701には譜面押さえ付きの専用譜面立てがあり、F701より高い位置にある
- RP701のダンパーペダルは、グランドピアノの踏み応えと音色変化を再現する「プログレッシブ・ダンパー・アクション・ペダル」を搭載する
- F701のダンパーペダルは連続検出に対応するものの、RP701ほど本格的なペダル機能ではない
- F701の操作パネルは本体の左端に配置されている
- RP701の操作パネルは鍵盤の中央に配置されている
- RP701には高低自在椅子(BNC-05)が標準で付属する
- F701には通常、高低自在椅子は付属しない
- F701の暗い木目調のカラーは「黒木目調仕上げ」である
- RP701の暗い木目調のカラーは「ダークローズウッド調仕上げ」である