こんにちは、電子ピアノナビのピア憎です。元楽器店の鍵盤担当として、曲を聴いて「自分でも弾きたい」と感じる方の相談を受ける機会がありました。ショパンは、よく知られた旋律でも原曲の演奏難易度が高いことが少なくありません。
「ショパンで一番有名な曲は?」「まず何を聴けばいい?」「初心者でも弾ける?」という疑問に、人気曲ベスト10の一覧・聴きどころ・原曲の難易度をまとめてお答えします。
最初の1曲なら、美しい旋律を味わえるノクターン第2番がおすすめ。華やかな演奏が好きなら幻想即興曲、ドラマを感じたいならバラード第1番を聴いてみてください。以下の順位は公開された再生数ランキングではなく、知名度・代表性・聴きやすさから選んだ当サイト独自のおすすめ順です。
- 有名なショパンのピアノ曲10選と正式な作品番号
- 各曲の旋律・聴きどころ・作曲背景の要点
- 原曲の難易度と初心者向け編曲の選び方
- 映画・フィギュアスケートとショパンの関わり
ショパン人気曲ベスト10一覧
まずは10曲を一覧で比較しましょう。曲名や通称の違いで迷わないよう、作品番号も併記しました。難易度は原曲を通して演奏する場合の編集部の大まかな目安で、初級・中級・上級の厳密な共通資格基準ではありません。
| 順位 | 曲名 | 聴きどころ | 原曲の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | ノクターン第2番 変ホ長調 Op.9-2 | 静かな夜、歌う旋律 | 中級〜上級 |
| 2 | 幻想即興曲 嬰ハ短調(遺作)Op.66 | 速い両手と甘い中間部 | 上級 |
| 3 | バラード第1番 ト短調 Op.23 | 静けさから壮大な終盤へ | 上級 |
| 4 | ポロネーズ第6番 変イ長調 Op.53「英雄」 | 堂々としたリズムとオクターブ | 上級 |
| 5 | 練習曲 ホ長調 Op.10-3「別れの曲」 | 歌うような主旋律 | 上級 |
| 6 | 練習曲 ハ短調 Op.10-12「革命」 | 勢いのある左手の音型 | 上級 |
| 7 | ワルツ 変ニ長調 Op.64-1「子犬のワルツ」 | 軽快で愛らしい舞曲 | 中級〜上級 |
| 8 | 前奏曲 変ニ長調 Op.28-15「雨だれ」 | 反復する音と陰影 | 中級〜上級 |
| 9 | ノクターン 嬰ハ短調(遺作) | 静かな哀愁と繊細な歌 | 中級〜上級 |
| 10 | ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 Op.35「葬送」 | 第3楽章「葬送行進曲」 | 上級(全曲) |
音楽史上の作品情報は国立ショパン研究所の作品データベースを基準に照合。原典版の難易度の考え方はヘンレ出版社の難易度解説を参照しています。
ショパンの名曲10選と聴きどころ
1位 ノクターン第2番 Op.9-2
静かな伴奏に乗って、右手の旋律がゆっくりと歌うように進みます。繰り返しのたびに旋律の飾り方が変わるので、同じフレーズでも表情が少しずつ違うところに注目してください。
国立ショパン研究所は、この作品を特に広く親しまれているノクターンとして紹介し、装飾的な旋律の変化を特徴に挙げています。原曲は一見ゆっくりで弾きやすそうですが、左手の伴奏、装飾音、歌わせるタッチの両立が必要です。ヘンレの掲載難度は6(中級区分)で、ピアノを始めたばかりの方向けの原曲ではありません。
旋律の最後で少し時間を伸び縮みさせるルバートと、左手が拍の流れを支える関係を聴いてみましょう。まずはピアニスト2人の演奏を聴き比べると、表情の違いが分かります。
出典:国立ショパン研究所:ノクターン Op.9-2/ヘンレ:ノクターン集
2位 幻想即興曲(遺作)Op.66
「幻想即興曲」は速い外側の部分と、ゆったり歌う中間部の対比が魅力。速い音符の華やかさに耳を奪われがちですが、中間部の旋律に切り替わる瞬間こそ聴きどころです。
ショパンの死後に出版されたことは確かですが、生前に発表しなかった理由は断定できません。モシェレスの即興曲との類似説や、特定の人物に譜面を渡したためという説などが国立ショパン研究所で紹介されています。難易度は左右の異なるリズムを合わせる必要があり、原曲は上級者向けです。
3位 バラード第1番 Op.23
静かな語り出しが次第に激しくなり、終盤には圧倒的な緊張感が生まれる大曲です。何度も姿を変えて現れる主題に耳を澄ますと、一つの物語を聴いているような感覚になります。
羽生結弦選手のショートプログラムで知られるようになったという方も多いでしょう。また映画『戦場のピアニスト』では、主人公がドイツ将校の前で演奏する重要な場面に使われています。特定の詩の内容をそのまま音楽化した作品とは断定せず、劇的な構成そのものを楽しむのがおすすめです。
4位 ポロネーズ第6番「英雄」
変イ長調 Op.53。堂々としたポロネーズのリズムが特徴です。特に中間部で続く左手のオクターブの反復は、勇壮な行進を連想させます。
「英雄」は広く知られる通称で、曲を聴く際は華やかな主題と、低音が支配する中間部の対比を意識すると楽しめます。国立ショパン研究所もOp.53の勇壮な性格と中間部のオクターブを解説しています。原曲は体力と技術を要する上級曲です。
5位 練習曲 Op.10-3「別れの曲」
ホ長調の練習曲。冒頭の穏やかな旋律が印象的で、日本では「別れの曲」として親しまれています。曲の途中には激しい部分もあり、冒頭だけを知っている方ほど、その変化に驚くかもしれません。
「別れの曲」は作品番号に含まれる正式な副題ではなく、後世に広まった呼び名です。旋律が美しいから簡単というわけではなく、複数の声部を歌い分ける難しい練習曲です。
6位 練習曲 Op.10-12「革命」
ハ短調の練習曲「革命」は、左手の速く激しい音型が絶え間なく続きます。右手の力強い旋律との掛け合いに注目すると、緊迫感の理由が分かります。
1830〜1831年のポーランドの政情と関連付けて語られますが、「ワルシャワ陥落を知り、その場で怒りをぶつけて作曲した」といった具体的な心理や状況は確定史実として扱えません。歴史的背景と、音楽から受ける印象を分けて聴きたい作品です。
「別れの曲」は歌う旋律と内声、「革命」は左手の運動と右手の旋律の関係が聴きどころ。同じ練習曲でも、向き合う課題が大きく異なります。
7位 子犬のワルツ Op.64-1
変ニ長調のワルツ。冒頭から細かな音が軽やかに回転し、思わず笑顔になるような曲です。愛称の由来として、ジョルジュ・サンドの飼い犬が自分の尻尾を追う姿に結び付ける逸話が知られています。
英語では「Minute Waltz」とも呼ばれますが、1分以内で弾かなければならないという意味ではありません。速さより軽やかさ、リズムの楽しさに注目してみましょう。
8位 前奏曲第15番「雨だれ」
変ニ長調 Op.28-15。「雨だれ」と呼ばれる理由は、曲の中で同じ音が繰り返されるため。穏やかな冒頭から暗い中間部に移り、再び落ち着きを取り戻す構成が魅力です。
ジョルジュ・サンドの回想と、雨の多かったマヨルカ島での生活は、この曲のイメージを考える手がかりになります。ただし、特定の日の雨をそのまま描写したという意味ではありません。反復音が気分によって異なる響きに聴こえる点を味わってください。
同じ音が続いていても、周囲の和音が変わると色合いが変化します。穏やかな部分と暗い中間部の対比を、音量だけでなく和声の変化から聴いてみましょう。
9位 ノクターン 嬰ハ短調(遺作)
「ノクターン第20番」と呼ばれることの多い、嬰ハ短調の遺作です。穏やかな旋律の中に切なさがあり、静かな時間に聴きたい1曲です。
映画『戦場のピアニスト』の冒頭ではこの曲が使われます。一方、主人公がドイツ将校の前で弾くのはバラード第1番です。混同しやすい2曲ですが、それぞれ異なる場面で重要な役割を担っています。
10位 ソナタ第2番「葬送」Op.35
ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 Op.35は全4楽章からなる大作です。第3楽章「葬送行進曲」の旋律が特に有名ですが、全曲を聴くと、激しい第1・第2楽章から終楽章までの劇的な流れを味わえます。
「ソナタ全体が死の物語を描く」と言い切るのではなく、第3楽章の葬送行進曲を中心に、音楽の対比をどう感じるかという聴き方を提案します。全曲を演奏するには高度な技術と構成力が求められます。
短時間で印象的な旋律を聴きたいなら「ノクターン第2番」→「別れの曲」→「雨だれ」。演奏の迫力を楽しみたいなら「幻想即興曲」→「革命」→「英雄ポロネーズ」がおすすめです。これは編集部の提案であり、公式な鑑賞順ではありません。
ショパン初心者におすすめの聴き方
ショパンを初めて聴く人は、1曲を何度も聴くよりも、最初は性格の違う3曲を選ぶと好みが見つかりやすくなります。穏やかな音楽ならノクターン、軽快さならワルツ、ドラマ性ならバラード、とジャンルで選ぶ方法です。
同じ曲でも演奏者によってテンポやフレージングが異なります。国立ショパン研究所の作品ページには演奏を聴けるものもあるため、作品番号で検索して聴き比べるのもよい方法です。
※上の動画は元記事から引き継いだYouTube埋め込みです。配信元の公開状況・演奏者・収録曲は変更されることがあります。動画の内容を公式音源と保証するものではありません。
初心者が弾けるショパンの曲は?
ここが最も誤解されやすい点です。「知っている曲」=「原曲を簡単に弾ける曲」ではありません。ノクターン第2番も、原曲のリズムや表現を再現するには学習経験が必要です。初心者が挑戦するなら、曲の短さだけでなく譜面の編曲レベルを確認しましょう。
| 目的 | 最初の候補 | 注意点 |
|---|---|---|
| 聴いて楽しむ | ノクターン第2番・雨だれ | 難易度は気にせず、好きな演奏を選ぶ |
| 原曲を練習する入口 | 前奏曲第7番 Op.28-7、前奏曲第4番 Op.28-4 | 短い作品でも音の響かせ方は簡単ではない |
| 好きな名曲を初級で弾く | ノクターン第2番・別れの曲の初級編曲 | 原曲とは音型・調・長さが異なる場合がある |
| 発表会で挑戦する | 子犬のワルツ、ノクターン第2番 | 指導者と難度・練習期間を相談する |
ヤマハ「ぷりんと楽譜」では、ノクターン第2番に初級編曲や中級向けの楽譜など複数の選択肢があります。弾きたい曲名だけでなく、アレンジの有無・編成・難易度を必ず見比べましょう。
関連:難しそうで簡単なクラシックピアノ曲も、これから弾く曲を探したい方に役立ちます。
また、電子ピアノの鍵盤や練習機能から選びたい方は初心者向けの弾きやすいピアノの選び方を参考にしてください。
楽譜を1曲から探す方法
曲の一部分をやさしく弾きたい人には、難易度別の編曲譜を探す方法が現実的です。練習中の方は、原曲とアレンジの違いを理解したうえで、現在の読譜力に合う楽譜を選んでください。
PR(広告):ショパンの曲の楽譜を1曲ずつ探したい方へ。初級・中級などの編曲レベルを確認して選べるサービスです。原曲と編曲譜は区別して探しましょう。
ヤマハ「ぷりんと楽譜」広告主の公式サービスで「ノクターン第2番」の複数の楽譜を確認しています。価格・販売作品・編曲内容は変動するため、購入時にヤマハ公式の商品一覧をご確認ください。
映画やフィギュアで聴けるショパン

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羽生結弦選手のショートプログラムで知られるバラード第1番、映画『戦場のピアニスト』に登場するノクターン嬰ハ短調(遺作)やバラード第1番など、ショパンの音楽は競技や映像作品でも親しまれています。
映画では曲が短く編集される場合があります。そこで聴いた音楽が気に入ったら、作品番号を確認して、ピアノ独奏の全曲演奏も聴いてみてください。
『戦場のピアニスト』(2002年):冒頭のラジオ局で流れる曲=ノクターン嬰ハ短調(遺作)、ドイツ将校の前で主人公が演奏する曲=バラード第1番 Op.23。この2場面は混同しないようにしましょう。
ショパンの生涯と作品の背景
フレデリック・ショパン(1810〜1849年)はポーランドに生まれ、成人後はパリを中心に活動した作曲家・ピアニストです。ポロネーズやマズルカに代表されるポーランドの舞曲を、独自のピアノ芸術に発展させました。
ジョルジュ・サンドとの関係やマヨルカ島での滞在は、作品を理解する手掛かりになります。ただし、作品の旋律一つひとつを特定の出来事や恋愛感情に結び付ける説明には慎重であるべきです。資料から確認できる事実と後世の逸話を分けて紹介します。
祖国の歴史:ポロネーズやマズルカにはポーランド由来の舞曲の伝統があります。
パリでの活動:ショパンはサロン文化の中で独自のピアノ音楽を発展させました。
サンドとの関係:マヨルカ島滞在と前奏曲集の成立を考える背景になりますが、「雨だれ」の物語そのものと混同しないようにしましょう。
癒やしのために聴くならどの曲?
落ち着いたピアノ曲を探すなら、ノクターン第2番、ノクターン嬰ハ短調(遺作)、前奏曲第15番「雨だれ」などから選ぶとよいでしょう。ただし「必ず眠れる」「自律神経が整う」といった効果を約束するものではありません。音楽を聴いて落ち着くかどうかには個人差があります。
寝る前に聴くときは大音量を避け、自分にとって心地よい演奏と音量を選びましょう。刺激の強い「革命」や「英雄ポロネーズ」が好きな人もいれば、穏やかなノクターンの方が落ち着く人もいます。
聴く楽しさから「弾いてみたい」という気持ちが生まれたら、初心者向けの弾きやすくかっこいいピアノ曲や、中級者向けの発表会の選曲も参考にしてください。
ショパン人気曲のよくある質問
まとめ:最初は好きな1曲から
ショパンの人気曲を最初から全曲聴く必要はありません。歌う旋律が好きならノクターン第2番、迫力なら幻想即興曲、ドラマ性ならバラード第1番から選びましょう。気に入った曲が見つかったら、原曲と初心者向けの編曲を聞き比べ、実際に弾いてみるのも楽しいものです。
- ランキングは当サイト独自のおすすめ10曲であり、再生回数による公式順位ではない
- 作品番号を確認すると、原曲や演奏動画を探しやすい
- 原曲の難しさと初級編曲の難しさは区別する
- 歴史的な逸話を事実として断定せず、作品そのものの響きを楽しむ
ピア憎まずはノクターン第2番を1曲聴いて、気になった旋律を覚えてみましょう。楽譜で弾くなら、原曲か初級編曲かの確認が大切です。
参考・一次資料:国立ショパン研究所・作品一覧/ノクターン第2番/幻想即興曲/前奏曲第15番/ヘンレの難易度基準(確認日:2026年10月28日)
