現在、ステージピアノの購入を検討しており、「yamaha cp88」というキーワードで調べている読者は多いだろう。本機は、ヤマハが100年以上培ったピアノ製造のクラフトマンシップと、45年にわたるシンセサイザー開発の歴史を結集した新時代のステージピアノである。しかし、高価な買い物であるため、本当にCP88が自分に合うのか、その詳細な機能や潜在的なデメリットを知りたいと考えているはずだ。
この記事では、CP88が誇るプレミアムなアコースティックピアノ音色のクオリティから、ピアニストの感性を満たすNW-GH鍵盤の鍵盤タッチ、直感的なOne to One操作を可能にするインターフェイス、さらに音色切り替え時のシームレスサウンド切替機能やファームウェアアップデートによる拡張性まで、多角的に分析する。CP88とCP73の鍵盤ユニットの違いや、購入前にユーザーが注意すべき留意点も解説するため、この記事を読み終える頃には、CP88があなたのライブや制作環境にとって最良の選択肢であるかどうかが明確になるだろう。
この記事を読むことでyamaha cp88と検索した読者が具体的に何について理解を深められるか
- CP88に搭載された最高峰のアコースティック・エレクトリックピアノの音色と特徴を理解できる
- NW-GH鍵盤がもたらすリアルなタッチ感と、CP73との鍵盤の違いを把握できる
- ライブ演奏で役立つ直感的な操作性、シームレスな音色切り替え、各種接続機能を知ることができる
- ファームウェアアップデートの履歴と、検討すべきデメリットや注意点を明確にできる
ヤマハ CP88のコアとなるサウンドと鍵盤の特長

- プレミアムなアコースティックピアノ音色
- ピアニストの感性を満たすNW-GH鍵盤のタッチ
- エレクトリックピアノ音色とエフェクト
- One to One操作の直感的インターフェイス
- 過酷なツアーに耐える堅牢性や可搬性
プレミアムなアコースティックピアノ音色
CP88には、ステージピアノに求められる厳選されたグランドピアノやアップライトピアノの音色が搭載されている。音源方式にはAWM2が採用されており、最大同時発音数は128音である。
具体的には、ヤマハの最高峰コンサートグランドピアノ「CFX」からサンプリングされた音色が含まれる。CFXはきらびやかでワイドレンジな表現力が特長であり、多彩なジャンルに対応する。また、優雅なウィンナートーンが特徴的なベーゼンドルファー「290インペリアル」、クラシカルな演奏表現に適した「S700」も収録されている。これらの音色は、鍵盤タッチの強さに応じて細かく音の調整や合わせ込みがなされており、ソロ演奏に映える濃密さや、アンサンブルの中でも埋もれない力強さを両立している。
また、アップライトピアノの音色も充実しており、使い込まれた個体が収録された「U1」 や「SU7」といった音源が搭載されている。特にU1のサウンドは、家で練習していたアップライトピアノのノスタルジックな空気感を再現しており、非常に魅力的である。なお、ファームウェアのアップデートにより、C7やV2.00でのCFX 2022、Imperial Plusなど、新しい音色コンテンツが追加されることもあった。
ピアニストの感性を満たすNW-GH鍵盤のタッチ
CP88の演奏フィールを決定づける鍵盤には、NW-GH鍵盤(Natural Wood Graded Hammer、木製象牙調・黒檀調仕上げ)が採用されている。この鍵盤は、アコースティックピアノの鍵盤に近い弾き心地を実現したハンマー鍵盤であり、特にグランドピアノの演奏感を再現するために、鍵盤の高低によって重さが変えられている。
具体的には、低音部では重く、高音部では軽くなるというグランドピアノ特有の自然なタッチを忠実に再現している。白鍵には無垢材が用いられ、表面は象牙や黒檀の質感を再現した多孔性のある素材で仕上げられており、これにより演奏時に汗をかいても指が滑りにくく、安定した演奏性を実現する。鍵盤タッチの感触は非常に繊細であり、材質や機構だけでは語り尽くせない部分があるため、購入前には必ず試奏することが推奨される。鍵盤を弾く強さに対するベロシティの出方を決めるベロシティーカーブは、[TOUCH]ボタンや[MENU]からNormal、Soft、Hard、Wide、Fixedの5タイプに設定可能である。
エレクトリックピアノ音色とエフェクト
CP88は、アコースティックピアノ音色に劣らず、エレクトリックピアノ(エレピ)のサウンドも充実している。エレピ音色は全て新規サンプリングされており、ローズ系(Rd)、ウーリッツァー系(Wr)、クラビネット系(Clv)、DX系(DX)が抜かりなく収録されている。
特にローズ系は、78年、75年、73年と年代別に異なる個性をしっかり収録している点が特長である。エレピセクションには専用のエフェクトが用意されており、トレモロやフェイザーなどの定番エフェクトが万全に備えられている。これらのエフェクトは、ノブやボタンでリアルタイムに調整できるOne to One操作に対応しており、演奏中に曲の雰囲気に合わせて即興でサウンドメイキングが行える。
エレピセクションのインサーションエフェクトは3系統あり、ディストーションやドライブといったアンプの歪みを再現するエフェクト、オートパン、トレモロ、リングモジュレーター、タッチワウといったモジュレーション系エフェクト、そしてヤマハ伝統の多重コーラスやフランジャー、フェーザーなどが用意されている。
One to One操作の直感的インターフェイス
CP88のコントロールパネルは、従来のCPとは異なる無骨で斬新なデザインを採用し、各種スイッチやノブがズラリと並んでいる。このデザインは「One to One」スタイルと名付けられ、個々のスイッチやノブには単一の機能のみが割り振られている。裏機能がなく、見たまんまのレイアウトであるため、非常に直感的でマニュアル要らずの操作性を実現している。
パネルはPiano(赤)、E.Piano(黄)、Sub(緑)の3つの専用セクションに分かれており、ステージ演奏に必要なすべての操作子が配置されている。音色を切り替えてもLEDインジケーターで現在の値が確認できるため、ストレスなく演奏に集中できる。特に、レイヤーやスプリットの設定は、モードを選択せずにスイッチをオンにするだけで完了する。これができれば、演奏者は複雑な設定に気を取られることなく、音楽表現に集中することができる。
過酷なツアーに耐える堅牢性や可搬性
CP88は、ステージピアノに不可欠な堅牢性と可搬性を高い次元で両立している。本体の外装は強く軽いアルミの板を大きく曲げて内部を包み込むような構造としてデザインされており、高い剛性を持っている。
CP88は88鍵モデルでありながら、重量は18.6kgに抑えられている。過酷なツアーユースにも耐えられるように設計されており、コンパクトなサイズとこの軽量さにより、自分の楽器を持ってライブハウスやスタジオに行くことが現実的になっている。別売の専用ソフトケース(SC-CP88)もラインナップされており、大口径のキャスターと牽引用ハンドルが付いているため、持ち運びの負担を軽減できる。このケースは楽譜やシールド、各種ペダル、ラップトップなども入れられる大容量ポケットを備えている。
ライブや制作現場で役立つヤマハ CP88の機能分析

- 音色切り替え時のシームレスサウンド切替
- DAWや外部機器との接続性と設定
- ファームウェアアップデートによる拡張性
- CP88とCP73の鍵盤ユニットの違い
- 試奏レビューから見る鍵盤タッチの評価
- ユーザーが注意すべきデメリットと留意点
- 多角的な分析を踏まえたyamaha cp88の結論
音色切り替え時のシームレスサウンド切替
ステージ演奏において音色切り替え時の音切れは致命的だが、CP88はこの問題を解決するSSS(Seamless Sound Switching、シームレスサウンド切替)に対応したライブセット機能を搭載している。ライブセットサウンドは、各セクションのボイスとエフェクト設定の組み合わせであり、これを切り替えても音が途切れることなく自然につながる。
ライブセットは最大160音色(8音色×20ページ)まで登録でき、セットリストに合わせて瞬時に音色を呼び出すことが可能だ。また、ファームウェアバージョン2.00以降では、「Section SW Mode」という機能が追加された。これにより、セクションスイッチをオフにした際でも音が鳴り続けるモード(Next Key)が選択可能となり、ライブセット間の切り替えだけでなく、セクションレベルでのシームレスなサウンド切り替えを可能にするものであり、表現の幅が広がった。
DAWや外部機器との接続性と設定
CP88は、ライブや制作現場での様々な接続ニーズに対応している。リアパネルには、標準フォーン端子に加え、PA卓に直結できるXLRバランス出力端子(OUTPUT [L]/[R])が用意されており、小規模なライブなどでもノイズを気にすることなく外部機器に接続できる。
DAWソフトウェアがインストールされたコンピューターとの接続には、USBケーブルを介してMIDIデータとオーディオデータの両方を送受信できるUSB [TO HOST]端子が搭載されている。この機能により、CP88をDAWの外部音源やMIDIキーボードとして使用したり、本体での演奏をDAWに録音したりすることが可能となる。オーディオデータの送受信は、サンプリング周波数44.1kHz、2チャンネルで行われる。
また、iPhoneやiPadとの接続にも対応しており、アプリケーションと一緒に使用する場合、通信によるノイズを避けるため、機内モードをオンにした上でWi-Fiをオンにすることが推奨されている。その他、フットスイッチやフットコントローラー(FC7など)を接続するための端子も用意されており、ボリュームやトーンなどさまざまなパラメーターを割り当ててリアルタイムに操作できる。
ファームウェアアップデートによる拡張性
CP88は、発売後もファームウェアアップデートを通じて機能の追加や改善が継続的に行われており、ユーザーの要望に応じた進化を続けている。ファームウェアのアップデートは、製品の機能を十分に生かすために最新バージョンに更新することが推奨されている。
アップデートはUSB [TO DEVICE]端子にUSBフラッシュメモリーを接続して実行するが、アップデート前に大切なデータ(ライブセットサウンドなど)をUSBフラッシュメモリーに保存しておくことが強く推奨される。最新のファームウェアは、ヤマハのウェブサイトからダウンロードすることができる。
過去のアップデートでは、例えばV2.00でCFX 2022やImperial Plusといった新規音色が追加された。また、V1.30ではマスターEQの設定をライブセットサウンドに保存できるよう改善され、V2.00ではOutput Gain機能の追加(最大±24dBの音量調整)など、ライブでの実用性を高める機能が多数実装されている。
CP88とCP73の鍵盤ユニットの違い
CP88とCP73は、単に鍵盤数が異なるだけでなく、搭載されている鍵盤ユニットが異なり、想定される用途が明確に分かれている。
CP88には、グランドピアノのタッチを忠実に再現するNW-GH鍵盤(木製象牙調・黒檀調仕上げ)が採用されている。これは、低音部が重く高音部が軽くなるアコースティックな重量感を再現しており、本格的なピアノ演奏を志向するピアニスト向けである。
一方、CP73にはBHS鍵盤(バランスドハンマーアクション)が採用されている。この鍵盤は、鍵盤の重さが均一で、エレピやオルガン、シンセサイザーなど、幅広い音色を演奏するアンサンブルのキーボーディスト向けである。また、CP73は最低音から最高音がE〜Eの73鍵レイアウトであり、ギターやベースとのアンサンブルに高い親和性を持つ。
鍵盤ユニットの違いだけでなく、両モデルは鍵盤タッチに対する音源のレスポンス(ベロシティーカーブ)自体も異なり、それぞれの鍵盤に合った最適な弾き心地が調整されている。これは、CPシリーズが単なる鍵盤数のバリエーションではなく、用途に応じて積極的に選ぶべき完成された楽器であることを示している。
試奏レビューから見る鍵盤タッチの評価
鍵盤のタッチは、楽器の「弾き心地」という最も重要な要素であり、CP88のNW-GH鍵盤は多くのユーザーから高く評価されている。あるユーザーは、今まで触れたキーボードの中で一番良いアクションだと評している。また、「鍵盤の質感やレスポンスが本物のピアノに一番近く、特にダイナミックレンジの幅に感動した」という意見もあり、そのタッチ感はピアノとの一体感を感じさせるほどである。
一方で、タッチの好みは個人差が大きい部分であるため、注意が必要だ。ネットレビューで「重い」という意見が散見される一方で、実際に触れると「軽い」と感じるユーザーもいる。また、弱く弾こうとすると「つっかかる」感じがあり、そこが歯痒いと感じるユーザーもいるようだ。これらのことから、最終的な判断には、ダイナミクスの表現と繊細なタッチが求められる演奏において、試奏を通じて自分のタッチとの相性を確認することが不可欠である。
ユーザーが注意すべきデメリットと留意点
CP88はステージピアノとしての完成度は高いが、いくつかのデメリットや留意点も存在する。
まず、音色のエディット機能に関して、CP88は直感的なリアルタイム操作を重視しているため、シンセサイザーのようにADSRレベルから深く音色をエディットし、管理することには向いていない。オルガン音色はサブセクションに収録されているが、オルガン演奏に欠かせないドローバー(音色を調整するレバー)が搭載されていない。これは、CP88の操作性に特化したデザインの代償と言える。
次に、練習に関する機能として、CP88はDAWソフトを併用することが前提とされていることが理由と考えられるが、メトロノーム機能が省かれているという指摘がある。自宅で軽く練習する際に、内蔵されたクリック音がすぐに聴けないのは不便に感じられるだろう。
さらに、DTMでCP88の音源をDAWに取り込む場合、CP88の音源はVSTやAUといったプラグインではないため、オーディオインターフェースを介してオーディオ録音の手順を必要とする点も留意が必要である。また、本体に保存したライブセットサウンドなどのデータは、故障や誤操作によって失われる可能性があるため、大切なデータはUSBフラッシュメモリーやコンピューターなどの外部機器にバックアップとして保存しておくことが強く推奨される。
多角的な分析を踏まえたyamaha cp88の結論
CP88は、ヤマハが長年の伝統と革新的な技術を結集して生み出した、新時代のステージピアノである。その魅力は、プレミアムなアコースティックピアノ音色と、ピアニストの感性に応えるNW-GH鍵盤の最高の組み合わせにある。
この鍵盤は、低音から高音にかけて重さが変化するグランドピアノのタッチを忠実に再現しており、プロのミュージシャンからも高く評価されている。また、ローズ系、DX系を含む新規サンプリングされたエレクトリックピアノ音色も充実しており、ヴィンテージサウンドを忠実に再現している。
CP88は、音源と鍵盤が高い次元でマッチングされた「本物」を感じさせるステージピアノであり、弾き語りやポップス/インストゥルメンタルなど、ダイナミクスの表現と繊細なタッチが求められる演奏で特にその真価を発揮する。
しかし、シンセ音色の深いエディットや本格的なオルガン演奏を主目的とする場合は、CP88は適さない場合もある。これらの点を理解した上で、自分の演奏スタイルや用途に合わせてCP88または73鍵モデルのCP73(BHS鍵盤)を選ぶことが、後悔のない選択につながるだろう。
総じて、yamaha cp88は最高のステージパフォーマンスを実現するための信頼できる相棒である。
多角的な分析を踏まえたyamaha cp88の結論
- CP88は100年以上のピアノ製造技術と45年のシンセサイザー開発の伝統が融合した製品である。
- 鍵盤には木製象牙調黒檀調仕上げのNW-GH鍵盤を採用しグランドピアノのリアルなタッチ感を再現する。
- CFXやベーゼンドルファーインペリアルなど厳選されたプレミアムなアコースティックピアノ音色が搭載されている。
- エレクトリックピアノ音色も新規サンプリングされ年代別のローズ系などヴィンテージサウンドを忠実に再現する。
- ノブやスイッチが1対1で機能に対応するOne to Oneインターフェイスで直感的な操作性を実現している。
- ライブセット機能は最大160音色を登録できSSSにより音切れのないシームレスなサウンド切替が可能である。
- 本体は強く軽いアルミ素材で88鍵モデルとしては軽量な18.6kgの可搬性を実現しツアーユースに耐える。
- CP73は軽量な13.1kgでバランスドハンマー鍵盤を採用しエレピやオルガン演奏に最適化されている。
- ファームウェアアップデートにより新規音色Output Gain機能Section SW Modeなど拡張性が継続されている。
- DAW連携に強くUSB TO HOST経由でMIDIデータとオーディオデータの送受信に対応し制作にも活用できる。
- 外部出力としてXLRバランス端子を装備しておりライブ現場でのノイズに対する耐性に優れている。
- 鍵盤の繊細さゆえに弱く弾くとつっかかる感じがするといったタッチの特性は試奏で確認すべき点である。
- シンセ音色の深いエディットやオルガン演奏に必要なドローバー機能は搭載されていない点に留意が必要だ。
- メトロノーム機能が省かれているため自宅練習でクリック音が必要な場合は外部機器の併用が必要となる。
- CP88は最高のサウンドクオリティと繊細な演奏表現を求めるピアニストにとって信頼性の高いステージピアノである。